失敗しない公正証書遺言の作り方!家族の安心を未来に残そう

相続に関するトラブルを未然に防ぐため、遺言書を作成することは非常に重要です。その中でも「公正証書遺言」は、法的に最も信頼性が高い方法として知られています。しかし、「どのように作成すればいいのか分からない」「何を準備すればいいのか不安」と感じる方も多いのではないでしょうか。本記事では、初めての方でも安心して取り組めるよう、公正証書遺言の具体的な作成手順と注意点を分かりやすく解説します。家族の安心を未来に残す第一歩として、ぜひ参考にしてください。

目次

公正証書遺言とは?

公正証書遺言は、公証役場で公証人が作成する遺言書のことを指します。作成時には遺言者本人が公証人に口述で遺言内容を伝え、その内容が正式な文書として記録されます。この遺言書は、法律で定められた厳格な手続きに基づいて作成されるため、偽造や無効とされるリスクが極めて低いことが特徴です。

自筆証書遺言との違い

自筆証書遺言と比較すると、公正証書遺言には多くの利点があります。自筆証書遺言は、遺言者自身がすべて手書きで作成するため、形式不備や紛失、改ざんのリスクがあります。一方、公正証書遺言は公証人が関与するため形式面の不備がなく、遺言書の原本も公証役場で保管されるため、紛失や改ざんの心配がありません。

法的に安全で信頼性が高い理由

公正証書遺言は、公証人という第三者が遺言の内容と手続きを確認し、法的に適正であることを保証する点で信頼性が非常に高いといえます。また、証人2名の立ち会いが必要なため、遺言者の意思が明確に確認されます。これらの特徴から、公正証書遺言はトラブルを未然に防ぐ最良の方法として広く利用されています。

公正証書遺言を作るメリット

法的トラブルを回避

公正証書遺言は、公証人という専門家が作成するため、法律的な不備が生じるリスクが非常に低い点が大きなメリットです。例えば、自筆証書遺言では形式のミスや内容の曖昧さが原因で無効となるケースがありますが、公正証書遺言ではそうした心配はほとんどありません。また、遺言の内容が明確に記録されるため、相続人間での解釈の違いやトラブルの発生を未然に防ぐことができます。

紛失や改ざんの防止

遺言書を自宅で保管する場合、紛失や改ざん、さらには相続人による隠匿といったリスクがあります。しかし、公正証書遺言では原本が公証役場に厳重に保管されるため、これらの問題が発生する可能性がありません。遺言書が確実に保管され、必要なときに取り出せる安心感は、公正証書遺言ならではの利点です。

高齢者や身体の不自由な方でも作成可能

公正証書遺言は、身体的な制約を抱える方にも優しい仕組みが整っています。たとえば、字を書くことが難しい場合でも、遺言内容を口述で公証人に伝えることで作成できます。また、体調が悪く公証役場に出向けない場合には、公証人が自宅や病院に出張する対応も可能です。これにより、高齢者や身体に障害のある方でも、自分の意思を確実に遺言書として残せます。

公正証書遺言作成の流れ

事前準備

公正証書遺言を作成する際には、まず遺言の内容を具体的に考えることが重要です。財産をどのように分配するか、誰に何を遺すのかを明確に決めましょう。

書類の準備

  1.   遺言者と相続人との続柄が分かる戸籍謄本
       相続人が甥、姪等、本人の戸籍謄本だけでは遺言者との続柄が不明の場合は、続柄の分かる戸籍謄本も準備する。
  2. 遺言者の印鑑登録証明書(発行から3か月以内)と実印
  3.   受遺者(遺言者の財産の遺贈を受ける者)の住民票、手紙、ハガキその他住所の記載のあるもの
    遺言者の財産を相続人以外の者に遺贈する場合は、その受遺者の戸籍謄本ではなく、住民票、手紙、ハガキその他住所の記載のあるものを準備する。受遺者が法人の場合は、登記簿謄本(登記事項証明書)または代表者の資格証明書が必要(公に認知されている公益の団体の場合は不要。)。
  4.    固定資産税納税通知書または固定資産評価証明書
       遺言者の財産に不動産が含まれている場合に、準備する。
  5.    不動産の登記簿謄本(登記事項証明書)
       遺言公正証書に、所在・地番等不動産を特定する事項を記載するために必要です。個々の不動産の特定をしない場合は不要。
  6.    預貯金等の通帳またはそのコピー等
       銀行等の預貯金口座を特定するために必要。
  7.    証人の確認資料
       遺言公正証書を作成する場合、その場に立ち会う証人2名が必要。ご自身で証人を手配される方は、証人の住所、氏名、生年月日の分かる資料を準備する。
       証人は、誰でもなれるものではなく、推定相続人および受遺者、それぞれの配偶者、直系血族等の利害関係人や未成年者等は証人になれません。
      ( 適当な証人がいないときは、公証役場で証人をご紹介することもできる。)
  8.    遺言執行者の特定資料
       遺言執行者とは、遺言の内容を実現する者であり、遺言書で遺言執行者を指定することができる。相続人または受遺者以外の方を遺言執行者とする場合は、その方の住所、氏名、生年月日が確認できる資料(例えば、住民票や運転免許証のコピーなど)を準備する。

公証人との事前相談

書類の準備が整ったら、公証人役場で事前相談を行います。この段階では、遺言内容や必要書類が適切であるかを確認してもらいます。不明点や不備があれば、この時点で修正できます。また、遺言内容が法律に違反していないか、問題がないかも公証人が確認してくれるため安心です。

公正証書遺言の作成

準備と相談を終えたら、正式作成の日を予約します。初回の相談から3週間程度かそれ以上は開けるようにと公証人からは言われます。 必要書類が足りなかったら、この期間に揃えます。正式作成日には証人2人と共に出頭し、公証人役場で遺言書を正式に作成します。遺言者が公証人に遺言内容を口述し、その内容をもとに公証人が遺言書を作成します。その後、遺言者と証人が内容を確認し、署名押印を行います。この手続きにより、法律上の形式が整った遺言書が完成します。

原本の保管

作成された公正証書遺言の原本は、公証人役場で厳重に保管されます。遺言者本人には謄本または正本が渡されますが、原本は安全に管理されているため、紛失や改ざんの心配がありません。必要なときに遺言書が確実に確認できる仕組みです。

安心して遺言を残すために

このように、公正証書遺言の作成にはいくつかの手順がありますが、専門家のサポートを受けながら進めることでスムーズに作成できます。家族への想いを形にする第一歩として、ぜひ検討してみてください。


公正証書遺言作成時の注意点

証人の要件

公正証書遺言の作成には証人2名の立ち会いが必要ですが、証人には一定の要件があります。具体的には、法定相続人や遺贈を受ける予定の人、またその配偶者や直系血族は証人になれません。未成年者もなれません。これにより、利害関係が絡むことで遺言の公正さが疑われる事態を防ぐことができます。証人が見つからない場合は、公証人役場に相談して紹介を受けることも可能です。

費用が発生する

公正証書遺言の作成には、財産額に応じた手数料が発生します。

目的の価額手数料
100万円以下5000円
100万円を超え200万円以下7000円
200万円を超え500万円以下11000円
500万円を超え1000万円以下17000円
1000万円を超え3000万円以下23000円
3000万円を超え5000万円以下29000円
5000万円を超え1億円以下43000円
1億円を超え3億円以下4万3000円に超過額5000万円までごとに1万3000円を加算した額
3億円を超え10億円以下9万5000円に超過額5000万円までごとに1万1000円を加算した額
10億円を超える場合24万9000円に超過額5000万円までごとに8000円を加算した額

これは遺産の総額に対してではなく、公正証書遺言に書き込む遺産の一つずつに対してかかってきます。具体的な金額は初回の面談で公証人に確認しておくと安心です。費用面を考慮した上で、遺言の内容を計画的に整理することが大切です。

本人の意思能力が重要

公正証書遺言を作成する際、遺言者の意思能力が確認されます。認知症などで判断能力が低下している場合、公証人が作成を認めないことがあります。そのため、遺言書は判断能力がしっかりとしているうちに作成することが重要です。公正証書遺言を確実に作成するためには、これらの注意点を把握し、準備を整えることが必要です。

まとめ: 公正証書遺言を活用して安心を得よう

公正証書遺言は、遺言内容が明確に記録されるため、相続をめぐる家族間の争いを未然に防ぐ有効な手段です。行政書士に相談しながら作成を進めることで、手続きがスムーズになり、内容の適法性や妥当性も保証されます。公正証書遺言を活用し、安心を未来に残す準備を始めましょう。行政書士井戸 規光生事務所では、ご相談者様それぞれの事情に沿った遺言書作成サポートを行っております。 公正証書遺言を希望されるお客様にも、原案作成時のご助言から、必要書類の収集、作成代行、公証役場への同行、証人就任だけでなく、遺言執行者への就任まで、万全なサポートを行います。 また、相続人間でもトラブルがある場合には弁護士を、相続税についてのお悩みには税理士をご紹介することで、一連の手続きを行ってまいります。 初回相談は無料です。是非ぜひお気軽に、お電話(052-602-9061)、FAX(050-1545-5775)、お問い合わせフォーム、もしくはEメール ido.kimioアットマークofficeido からご相談ください。ご連絡お待ちしております。

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この記事を書いた人

2024年に「行政書士 井戸 規光生 事務所」を設立しました。
建設業、遺言・相続サポート業務に特化した名古屋市南部の地域密着型事務所です。
高校時代はラグビー部に所属。地元名古屋のスポーツチームを応援しています。

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