急に建設業許可が必要に?!早めの準備がカギ

「請負金額500万円(建築一式では1500万円)以上の工事には建設業許可が必要」というのは業界で広く知られています。しかし、それ以下の「軽微な工事」でも、元請業者から「許可がないと仕事を依頼できない」「許可をとってくれ」と言われるケースが増えています。これは昨今の法令遵守意識の高まりからくるものです。
 取引先から「許可を取ってほしい」と要請されてから初めて、許可取得のための行動を起こしても、建設業許可はすぐに取得できるものではありません。7つの主要な要件を満たし、証明書類も整えなければなりません。この記事では、建設業許可の重要性と、将来のために準備すべきポイントについて解説します。

目次

建設業許可が必要な工事金額の基準とは?

建設業許可は、一定の規模を超える工事を請け負う場合に必要な資格です。その基準は以下の通りです

工事1件の請負金額が500万円以上(建築一式工事の場合は1,500万円以上)
これらを超える工事は、法律上「軽微な工事」とは認められず、建設業許可が必要となります。これに対し、金額がこれ以下の工事は「軽微な工事」とされ、許可がなくても請負可能です。


軽微な工事でも許可が求められる背景

昨今、建設業界ではコンプライアンス(法令遵守)意識の向上取引先の信頼構築が重視されるようになっています。このため、「軽微な工事」であっても、建設業許可を持たない事業者に仕事を依頼することを避ける傾向が強まっています。特に元請業者や発注者は、万が一トラブルが発生した際に責任の所在を明確にする必要があるため、許可を持つ事業者を優先するケースが増えています。これは、許可を持っていることで信頼性が高まり、技術力も保障されると考えられるためです。結果として、軽微な工事であっても許可の有無が受注に大きく影響するようになっています。許可を取得することは、信頼性を高めるだけでなく、将来のビジネスの機会を広げる、または失わないために重要な要素です。

コンプライアンス意識の高まりと信頼構築の重要性

近年、建設業界では**法令遵守(コンプライアンス)**が強く求められるようになっています。取引先や発注者は、工事を依頼する相手に対して法的に適正な手続きを踏んでいることを重視する傾向が強まっています。そのため、建設業許可を取得していることは、法令を順守し、適切な業務を遂行する能力の証明として受け止められます。

加えて、建設業許可を持つ事業者は、経営基盤や技術力が一定の基準を満たしているとされ、取引先からの信頼を得やすくなります。これにより、安定したビジネス関係を築く上で、許可は不可欠な要素となっています。

許可がないと抱える「信頼性不足」のリスク

一方で、許可を持たない事業者は、**「信頼性が不足しているのでは?」**というイメージを持たれるリスクがあります。特に元請業者や大手企業は、トラブル回避の観点から、許可のない事業者に仕事を依頼することをためらう場合があります。結果として、軽微な工事であっても受注のチャンスを逃すことになり、将来的なビジネスの可能性を狭める原因となります。許可取得は、こうしたリスクを回避し、取引先からの信頼を確保するための大きなステップと言えます。

許可取得の要件と準備のハードル

建設業許可を取得するためには、法律で定められた7つの要件を満たし、それを証明する書類を整える必要があります。これらをすべてクリアし、適切に申請を行わなければ許可を得ることはできません。

許可取得のための7つの条件

  1. 常勤役員等(経営業務の管理責任者)
    • 建設業での経営経験や実績を持つ者が、常勤で経営業務を管理する必要があります。
  2. 専任技術者(営業所ごと)
    • 営業所ごとに一定の資格や実務経験を持つ専任技術者を配置しなければなりません。
  3. 欠格要件に当てはまらないこと
    • 破産者で復権を得ていない場合や一定の法律違反を犯した場合などは許可を取得できません。
  4. 誠実性
    • 詐欺や不正行為を行わず、誠実に業務を遂行できる体制を持つことが求められます。
  5. 財産的基礎
    • 資本金や純資産額が500万円以上であること、または外部からの資金調達能力があることを示す必要があります。
  6. 営業所要件
    • 許可を取得する営業所が法令で定める設備や環境を備えていることが条件です。
  7. 社会保険への加入
    • 社会保険に適切に加入していることが求められます。

必要な書類の例と準備のハードル

これらの要件を満たしていることを証明するためには、以下のような書類を準備する必要があります:

  • 常勤役員等(経営業務の管理責任者)
    • 過去の工事契約書や決算書、役員在任証明書など。
  • 専任技術者
    • 技術資格の証明書や実務経験を証明する工事台帳や請負契約書。
  • 財産的基礎
    • 貸借対照表、預金残高証明書、税務申告書など。
  • 営業所要件
    • 営業所の賃貸借契約書や写真、配置図。
  • 社会保険加入
    • 保険料納付証明書、加入証明書。

これらの書類を揃えるには多くの手間と時間がかかり、特に過去の工事実績を証明する書類が不足しているケースがよくあります。また、財産的基礎を示すための純資産額の要件を満たすことが難しい中小企業も少なくありません。

許可取得のための事前準備の重要性

許可取得は、書類の不備や条件の未達によって申請が却下されるリスクも伴います。そのため、条件を満たす経営体制の整備や、書類の管理を日頃から行うことが重要です。建設業許可は信頼とビジネス拡大の鍵となるため、早めに準備を進めることが成功への近道です。

将来の取引や経営の安定性を見据えた許可取得の重要性

建設業許可が不要な「軽微な工事」のみを請け負っている場合でも、将来的に取引先から許可を求められる可能性は高まっています。特に元請業者や大手企業と取引する際には、許可の有無がビジネスチャンスに大きく影響します。さらに、建設業許可は取引先からの信頼構築だけでなく、経営の安定性を確保する要素ともなります。例えば、許可を持つ事業者は技術力や経営基盤が認められているため、許可を持たない事業者よりも、受注の幅が広がり、安定した収益を得ることが可能になります。今すぐ許可が必要でなくても、将来のために早めに準備を始めることが重要です。


許可取得の条件を満たすための経営のコツ

建設業許可を取得するには、条件を満たし、それを証明する必要があります。特に、常勤役員等(経営業務の管理責任者)の条件をクリアするには、建設業の役員として5年間の経験が必要です。このため、一人親方の個人事業主が自身で経営業務の管理責任者に就任する場合、最低でも5年を要します。この要件を満たすまでの間に、準備が整わないまま重要な取引を逃すリスクがあります。今すぐ許可を取得したい場合には、既に経営業務の管理責任者の要件を満たしている人物を外部から招聘しなくてはなりません。名義貸しはみとめられません。

また、専任技術者の要件を満たすためには、業種ごとに定められている資格を取得することが早道です。資格がなく、「10年以上の実務経験」で専任技術者になろうとする場合は時間もかかる上に、準備すべき書類も膨大になります。これらを踏まえ、将来の許可取得を見据え、経営体制を整備しながら、早めの準備を始めることが成功の鍵です。

まとめ:許可取得で未来を広げよう

建設業許可を取得することは、単なる法的な要件を満たすだけでなく、取引先からの信頼の獲得や、ビジネスチャンスの拡大に直結します。許可を持つ事業者は、取引先にとって「信頼できるパートナー」と認識されやすく、安定した受注や新しい契約の機会を得ることが可能です。また、長期的に見ても、許可の有無が経営の安定性や成長の大きな差を生む要因となります。しかし、許可取得には多くの条件を満たし、それを証明する書類を整える必要があります。だからこそ、早めの準備と具体的な計画が重要です。最初の一歩を踏み出すことで、未来の可能性が広がります。行政書士 井戸 規光生 事務所では、建設業許可の申請だけでなく、毎年の事業年度終了届、変更届、更新手続きのサポートや、日々の業務に忙殺される事業者様への、各種手続きの期限管理も承っております。初回相談は無料ですので、是非お電話、お問い合わせフォームなどからお問い合わせください。あなたの未来を共に築くお手伝いをいたします!

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この記事を書いた人

2024年に「行政書士 井戸 規光生 事務所」を設立しました。
建設業、遺言・相続サポート業務に特化した名古屋市南部の地域密着型事務所です。
高校時代はラグビー部に所属。地元名古屋のスポーツチームを応援しています。

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