相続後に発覚!土地が分かれていたせいで揉めるケースと対策

相続手続きが完了したと思ったら、「土地が分かれていた」ことに気づき、思わぬトラブルに発展するケースがあります。親が生前に土地を分筆していたことを相続人が知らず、遺産分割の話し合いが進んだ後に発覚することで、遺産分割の話し合いが振り出しに戻ることも少なくありません。たとえば、兄が家を、弟が畑を相続するつもりだったのに、実は登記上は細かく区切られた複数の土地だったため、思い描いていた分け方ができなくなる、といった事態も起こります。このような問題を避けるには、相続前に土地の登記情報を正確に把握し、分割の方法を慎重に検討することが大切です。今回は、土地が分かれていたこと、それに気づかないで起こる具体的なトラブルと、スムーズに解決するためのポイントについて解説します。 (最後にちょっとしたこぼれ話も掲載しております。お楽しみに)

目次

「一筆」「二筆」とは?「分筆」とは?

土地の登記上、「一筆の土地」とは、一つの地番で登記されている土地のことを指します。これに対し、「二筆の土地」とは、登記上二つの地番に分かれている土地のことです。また、「分筆」とは、一筆の土地を二筆以上に分ける登記手続きのことを意味し、相続や売買の際に行われることがあります。

土地が分かれていたことで起こるトラブル事例

相続人が一筆の土地だと思っていたら、実は複数に分かれていたケース

相続人が「この土地は一つだ」と思っていても、実際には分筆されていて複数の地番になっていることがあります。例えば、親が生前に相続対策や売却のために土地を分けていた場合、相続人がその事実を知らないまま遺産分割を進めると、思わぬ混乱が生じます。登記を確認せずに「この部分を兄に、あの部分を弟に」と話を進めてしまうと、後になって「そもそも地番が異なるので分け方を見直さなければならない」といった事態になりかねません。

また、相続人どころか、生前に土地についての遺言書を書いていた遺言者までも、自分の土地が分かれていることに気づいていなかったケースもあります。この場合、遺言書も本人の誤認に基づいて書かれていますから、相続手続きには役に立ちません。

兄が家を、弟が畑を相続するつもりだったのに計画通りにいかないケース

例えば、兄が家を、弟が畑を相続する予定で話を進めていたとします。しかし、登記を確認したところ、家の敷地と畑の土地が細かく分筆されていたため、兄が受け取る土地の中に畑の一部が含まれていたり、弟の土地の中に家の一部がかかっていたりすることが判明。結果として、当初の計画通りに分けることができず、分割協議をやり直さなければならなくなるケースもあります。

このような問題を防ぐためには、相続前に土地の登記情報をしっかり確認し、分筆の有無を把握しておくことが重要です。

一部の土地に抵当権が設定されていたケース

親が生前に資金調達のため、一部の土地を担保にして金融機関から融資を受けていたケースでは、相続人がその事実を知らずに相続手続きを進めてしまうことがあります。このような場合、相続人は遺産分割協議を経て土地を分割した後で、登記簿を確認した際に初めて抵当権の存在に気づくことになります。たとえば、兄が自宅の敷地を、弟が農地を相続する予定で合意していたものの、実は農地の一部に抵当権が設定されており、その土地を自由に処分できないことが判明する、といった事例です。この場合、相続人は再度協議を行い、抵当権を解除するための手続きや、他の財産を代替として提供する方法などを検討しなければなりません。抵当権の存在を見落とすことで、分割協議が振り出しに戻り、相続人間でのトラブルや追加の費用が発生する可能性があります。

トラブルを防ぐために必要な確認事項

相続時に土地が分筆されていたことを知らずに進めると、遺産分割協議のやり直しや予期せぬトラブルが発生することがあります。こうした問題を未然に防ぐためには、相続前に土地の状況を正しく把握し、相続人全員で情報を共有することが重要です。また、分筆がある場合は、行政書士などの専門家に相談することで、スムーズな手続きを進めることができます。

相続前に土地の登記情報を確認する

まず、相続前に法務局で「登記事項証明書」や「地図(公図)」を取得し、土地の地目・地番・分筆の有無を確認することが不可欠です。相続人が「一つの土地」と思っていても、実際には複数の地番に分かれている場合があり、それを知らずに相続を進めると、分け方の見直しを余儀なくされることがあります。特に、地目が異なっていたり、登記上の地番が想定と違っていたりすると、計画通りに遺産を分割できないケースが発生します。事前に正確な情報を把握することで、スムーズな相続手続きにつながります。

相続人全員で土地の状況を共有する

土地の登記情報を確認した後は、その内容を相続人全員で共有することが重要です。遺産分割協議を進める際、分筆の有無を知らずに話し合いを進めると、後から「想定していた土地と違う」といった問題が生じ、協議が振り出しに戻る可能性があります。例えば、兄が自宅の敷地を、弟が畑を相続する予定だったにもかかわらず、実際には登記上細かく分かれた土地であった場合、改めて分け方を検討する必要が出てきます。こうした事態を防ぐためにも、事前に相続人全員が土地の状況を把握し、認識のずれをなくすことが大切です。

行政書士に相談する

相続する土地に分筆がある場合や、境界の確認が必要な場合は、行政書士や専門家に相談することをおすすめします。行政書士は、登記情報をもとに、遺産分割協議がスムーズに進むようサポートします。また、土地の境界が不明瞭な場合、他の専門家と連携して境界確定を行うことも可能です。さらに、相続登記の手続きについても専門的な知識を持った司法書士と連携しているため、相続人自身で手続きを行うよりも円滑に進めることができます。トラブルを未然に防ぐためにも、早い段階で専門家に相談し、適切な手続きを進めることが重要です。

まとめ

これまでご紹介してきたように、土地が分筆されていることに気づかずに遺言書を作成したり、相続手続きを進めたりすると、遺産分割協議が混乱し、相続人同士の対立を招く可能性があります。想定していた分け方ができず、協議のやり直しやトラブルに発展することも少なくありません。これを防ぐためには、相続前に登記情報と公図を慎重に確認し、地目や地番、分筆の有無を把握したうえで分割方法を検討することが重要です。行政書士に相談すれば、登記情報の確認から手続きの代行までスムーズに進めることができ、安心して相続を進めることができます。 行政書士井戸 規光生事務所では、ご相談者様それぞれの事情に沿って、遺言書作成サポートや相続手続きの代行を行っております。 不動産の相続に関しましても、他士業と連携し、登記情報を慎重に確認することで、安心確実な手続きを行っております。 初回相談は無料です。是非ぜひお気軽に、お電話(052-602-9061)、FAX(050-1545-5775)、お問い合わせフォーム、もしくはEメール ido.kimioアットマークofficeido からご相談ください。ご連絡お待ちしております。

(こぼれ話)

私たち行政書士は、ご相談者様との面談で、「父の名義になっている土地を~」との言葉を完全に信じるわけにはまいりません。これはご相談者様を疑っているわけではなく、勘違いの起こりやすいポイントで、もし勘違いに気づかないまま手続きを進めると後で大変なことになる事を理解しているからです。行政書士は必ず登記簿謄本を確認し、正確な情報に基づいて手続きを進めます。ご相談者様の認識と実際の登記内容に違いがある場合でも、早い段階で修正すれば、大きなトラブルを未然に防ぐことができます。相続手続きを安心して進めるためにも、専門家による丁寧な確認が欠かせません。

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この記事を書いた人

2024年に「行政書士 井戸 規光生 事務所」を設立しました。
建設業、遺言・相続サポート業務に特化した名古屋市南部の地域密着型事務所です。
高校時代はラグビー部に所属。地元名古屋のスポーツチームを応援しています。

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