「遺言なんて書きたくない!」その気持ちよく分かります

「遺言なんて書きたくない!」そのお気持ち、よく分かります。遺言と聞くと、どうしても「自分の死」を意識させられてしまいますよね。それに、わざわざ面倒な書類を作らなくても、家族は自分の気持ちを分かってくれているはずだし、なんとかうまくやってくれるだろう……と思うのも、自然なことです。実際、「遺言を書かなくても大丈夫」と考える人は非常に多く、ある調査では遺言を残して亡くなる方は全体の1割未満ともされています。それでも問題が起きないケースもあるでしょう。だからこそ、わざわざ手間をかけてまで遺言を作る意味を感じられないのは当然かもしれません。

でも、少しだけ視点を変えてみませんか?実は、遺言は「自分のため」ではなく「家族のため」に作るものなんです。そんなふうに考えると、少しだけ遺言の意味が変わって見えてくるかもしれません。

目次

遺言書なんて書きたくない」その主な理由6つ 

ここでは、遺言書を書きたくない、まだ書かなくてもよいと考える理由について、Q(質問)アンドA(回答)方式で紹介していきます。

Q「死を意識したくない・縁起でもない・まだ元気だから必要ないでしょ?」


人はいくつになっても自分の死を意識するのは嫌なものです。遺言書を書くことで自分の死を連想させられるのが嫌で、「死」を前提とした行動に抵抗を感じるのももっともです。また、高齢化社会の進展に伴い、年齢こそ70代、80代に達していても、元気で働いたり、旅や趣味を楽しんだりしている方々も連日マスコミで紹介されています。こうした方々が「なんで死ぬことなんて考えないといけないの?」「自分にはまだまだ時間がある」と思うのも無理はありません。

回答:確かに、自分の死を意識するのは嫌なことですし、「まだ元気だから、今考える必要はない」と感じるのは自然なことです。ただ、遺言書は「死」を連想させるものではなく、むしろ「これからの家族の安心」を作るためのものと考えてみてはいかがでしょうか。 遺言書を用意することは、自分が元気なうちにこそできる「家族への思いやりの準備」です。特に、元気でアクティブに過ごしている方なら、これまで築いてきた大切な財産や想いを、どのように家族に託したいかを考えるのは「ポジティブな未来の話」とも言えます。また、万が一のことがあったときに、家族が慌てたり悩んだりしないようにしておくことも、元気で活動的な今だからこそ取り組めることです。「遺言=死」ではなく、「家族のために安心を残す方法」と捉えてみると、遺言書が少し違った意味を持ってくるかもしれません。

Q「家族は遺言書なんてなくても話し合って解決できるでしょ?」

率直な物言いを避ける日本の文化も大きく影響しています。それがお金というデリケートな話題になればなおさらです。「あとはうまくやってね」「仲良くやってね」「皆まで言わせないで」という気持ちになるのも理解できるところです。そしてもちろん、40代、50代の子ども世代も「遺言書があれば、遺産分割の時に難しい手続きや、気まずい遺産分割協議をしなくても済むらしいけれど、『親に遺言書を書いて』なんて、自分が財産を狙っていると思われそうで言えない」と思ってしまいます。

回答: 確かに、家族同士で話し合って解決できれば、それが一番理想的です。しかし、日本の文化的背景やお金にまつわる話題のデリケートさを考えると、現実にはそう簡単ではありません。たとえば、「皆まで言わせないで」といった遠回しな態度が誤解を生むこともありますし、兄弟姉妹間で小さな認識のズレがトラブルに発展することも少なくありません。また、遺産分割の手続きには法的な要件があり、相続人全員の同意が必要です。この過程で意見が対立すると、スムーズに解決できず、関係がぎくしゃくしてしまうこともあります。そうしたトラブルを未然に防ぐために、遺言書があると非常に役立ちます。親が「自分の意思」を明確に示すことで、子どもたちが迷わずに済むからです。 また、子ども世代が「遺言書を書いてほしい」と言い出せないのも無理はありません。そのため、親から率先して「家族が楽になるように」と準備をしておくことで、子どもたちの負担を減らし、円満な相続を実現できるのです。遺言書は、家族を守るための「思いやりのメッセージ」として考えてみてはいかがでしょうか?

Q「書くのが面倒法律的なことが難しそう・完璧な内容が思いつかない」

遺言について少し勉強してみたものの、「自筆証書遺言」や「公正証書遺言」や「法定相続割合」や「遺留分」などの専門用語が理解できなかった。いろんなことに気を付けないと無効になってしまうらしいし、どのように書いたら良いのか分からない。迷ってしまう。詳しく調べる方法もよく分からない。と思われる方も多くいらっしゃいます。

回答: 遺言書作成に関する専門用語や注意点が多く、迷ってしまう気持ちはよくわかります。実際、「自筆証書遺言」や「公正証書遺言」など形式の違いや、「遺留分」などの法律用語は、一見すると複雑でわかりにくいものです。しかし、こうした悩みを一つ一つ解消しながら進めるための方法は、いくつもあります。まず、遺言書作成の負担を軽減したい方には、専門家への相談が非常に有効です。行政書士や司法書士など、相続に詳しいプロに依頼すれば、形式や内容についてのアドバイスを受けながらスムーズに進めることができます。専門家にサポートを依頼することで、無効になるリスクも避けやすくなります。また、「完璧な文面が考えられない」と悩む必要はありません。遺言書は、まず「自分の考えや希望」を明確にすることが大切です。むしろ、最初から完璧を目指さない姿勢が大切です。自分の希望する内容を書き言葉ではなく、話し言葉で専門家に伝えることで、専門家が真意をくみ取り正式な文書として通用する形に起こしてもくれます。 遺言書作成は「家族の安心のための準備」と考え、専門家の力を借りながら少しずつ進めてみてはいかがでしょうか?誰でも気軽に始められる方法があるので、まずは一歩を踏み出してみてください。

Q「遺言書には高額な費用がかかる?」

「遺言書」で検索すると、いろんな会社や弁護士、司法書士、行政書士のホームページが出てきて、「10万円から」や、「5万円から」のように上限が分からない。また、「確実なものにしたいなら公正証書による遺言、公正証書遺言がおすすめですよ」ともよく言われるが、公正証書遺言は高いというイメージがある。こんな方もいらっしゃいます。

回答:遺言書には自筆証書遺言と、公正証書遺言があます。自筆証書遺言は安価に作成できるものの、無効になってしまったり、紛失、破棄、発見されないなどの危険があったりします。こうした心配と無縁の公正証書遺言は公証役場に支払う手数料や、作成時に証人に支払う報酬もあり、それだけで10万円を超えてしまう場合もあります。ただし、これらは作成前に、サポートする士業に料金をしっかり確認すれば、「もうこれ以上はかからない」、「後はその金額で自分が納得できるかどうかだけ」という状態にできます。

Q「実は不平等な分配を望んでいるが、後ろめたさから書面にできない」

子どもが三人いて、全員の境遇は様々。社会的、経済的に成功している子も、そうでない子も。本心では、不遇な子に多めに財産を残してあげたいが、それを露骨に文章にするのは後ろめたい。他の子どもたちに内緒で、財産を渡してしまえばよいのでは?

回答:人の口に鍵はかけられません。こうした行いはいつか必ずばれます。2人の兄弟の内1人だけを内緒で生命保険の受取人に指定していたが、保険会社から、もう一人の方に保険金の支払い通知が届いてしまうといったケースもあります。このような場合は、しっかりと遺言書に自分の遺志を書き(中身を知らせる必要はありません)、理由を説明するために「付言事項」(法定な根拠や強制力はないが、最後の手紙として、遺言書をこのような内容に決めた理由)を書くことができます。

Q「兄弟や、前妻との間の子に相続権なんてないんじゃないの?」

回答:子どもがいなくて、お互いの両親もすでに亡くなっている夫婦は、片方が亡くなった場合はもう片方の配偶者が全額相続できる。だから特に遺言書などでの準備をしていない。(これは誤りで、亡くなった方に兄弟姉妹がいれば遺産の相続を主張できます)。

回答:離婚歴があり、前妻との間に子どもがいるが、何年もあっていない。どうやら母親に色々吹きこまれて自分の事を嫌っているようだ。自分の遺産は今の妻と、その間にできた子どもだけに渡したい。相続権があるのも今の妻とその間にできた子だけ。(これも誤りで、前妻との間の子にも相続権はあります)このような誤った思い込みで、遺言書を書かず、いざ相続の時に亡き配偶者の兄弟姉妹や、前妻との間の子に内緒で相続手続きしようと思っても、役所は受け付けません。必ず彼らに相続権がある事が知られます。

まとめ

ここまでご覧になられていかがでしょうか?「遺言書を書く」ことに対する抵抗感や心の中のハードルが少しでもなくなれば幸いです。「遺言書」は決してネガティブ、マイナスな言葉ではなく、むしろ人生にポジティブ、プラスに作用する言葉です。実際に「書いたことで心のモヤモヤが晴れて、活力が取り戻せた」という方が圧倒的に多いです。 行政書士井戸規光生事務所では、相続診断士の資格を有する行政書士が、ご依頼者様一人ひとりの状況に合わせて、遺言書作成のサポートを行っております。いきなり、財産の額や、誰に相続させたいかなどを伺うのではなく、ご相談者様のこれまでの人生の足跡や、現在の経済的、身体的状況、または交友関係から個人的な悩みをお聞かせいただいたうえで、最適な解決策をご提案いたします。初回相談は無料ですので、ぜひお気軽にお電話やお問い合わせフォームからご相談ください。ご連絡お待ちしております。

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この記事を書いた人

2024年に「行政書士 井戸 規光生 事務所」を設立しました。
建設業、遺言・相続サポート業務に特化した名古屋市南部の地域密着型事務所です。
高校時代はラグビー部に所属。地元名古屋のスポーツチームを応援しています。

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