まだ大丈夫…が一番危ない!認知症と遺言書のリアルな関係

人は誰しも「自分はまだ元気だ」「認知症になるのはもっと先のことだ」と思いがちです。ところが、いざ判断能力が衰えてからでは、遺言書を作ることができません。遺言書がなければ、残された家族は相続手続きで悩み、時には争いにまで発展します。実際に、認知症の発症がきっかけで遺言の作成が間に合わなかったケースは少なくありません。本記事では、「認知症になる前に遺言書を準備しておくべき理由」と「どのように備えるのが最も効果的か」を、行政書士の実務経験を踏まえて解説します。元気なうちに遺言書を整えておくことが、家族にとっても本人にとっても最大の安心につながります。

目次

年齢別・男女別の認知症リスク

人が一生のうちに認知症になる確率は、性別や年齢とともに大きく上昇します。例えば、一部の研究によれば、女性は生涯で約 65 %、男性は約 41 %の確率で認知症を発症するとされています。また、年齢別に見ると、65〜69歳では男性で2.8 %、女性で3.8 %**にとどまるものの、80〜85歳では男性16.8 %、女性24.2 %、95歳以上では男性50.6 %、女性は驚くことに83.7 %に達するというデータもあります。こうして見ると、「いつかなるかもしれない」が現実になる確率は、加齢とともに確実に高まり、特に高齢女性のリスクは非常に高いことがわかります。

認知症と遺言能力の関係

遺言書を有効に作成するためには、法律上「遺言能力」が必要です。これは、自分の財産の内容を理解し、誰に何を与えるのかを判断できる能力を指します。軽度の認知症であっても、判断能力に疑問が残る場合、遺言の有効性をめぐって相続人の間で争いが起きやすくなります。実際に「遺言書は残されているが、本人に判断能力があったのか不明だ」として無効を主張する訴訟は少なくありません。つまり、「まだ大丈夫」という油断が、結果として家族に大きな負担を背負わせることになるのです。

遺言書の種類とリスクの違い

遺言書には「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」があります。自筆証書遺言は手軽に作成できますが、日付の不備や署名・押印の欠落で無効になる例が多く、認知症の兆候が出ている時期に作ったものは特に争われやすいのが現実です。一方、公正証書遺言は公証人と証人が立ち会い、作成過程で本人の意思能力を確認します。そのため、後日「無理やり書かされた」「判断力がなかった」といった主張が通りにくく、トラブル予防の点で圧倒的に優れています。認知症対策として遺言を考えるなら、公正証書遺言を第一に検討すべきです。

遺言書があることで得られる安心

遺言書を残す最大の効果は、相続人間の不要な争いを避けられることにあります。誰にどの財産を渡すのかを明確にしておくことで、感情的な対立を防ぎ、家族関係を守ることができます。また、認知症発症後には銀行口座が凍結されたり、不動産の処分が困難になったりと、生活上の制約が大きくなります。遺言書を早めに準備しておけば、こうした不安を和らげ、本人の意思を尊重した形で財産を承継することが可能になります。つまり、遺言は「財産分けの道具」ではなく「家族を守るための安心の仕組み」なのです。

実務上の工夫と専門家の関与

実際に遺言を作成する際には、争いを未然に防ぐ工夫が重要です。例えば、公正証書遺言を作成するときに医師の診断書を添付すれば、本人に判断能力があったことを後から証明しやすくなります。また、遺言執行者を指定しておくことで、実際の相続手続きがスムーズに進みます。さらに、財産目録には登記簿や通帳コピーを添付しておくと、透明性が高まり相続人の納得を得やすくなります。行政書士は、こうした文案作成や資料整備をサポートするだけでなく、公証役場での手続きも伴走します。また、自筆証書遺言には、法務局での保管制度がありますが、行政書士はこちらの手続きにも精通しております。

さらには、「遺産分割方法を決める際に、どのように分ければ相続税が安くなるか」というようなお悩みには提携の税理士を紹介いたしますので、総合的な備えを実現できます。

まとめ

「まだ大丈夫」と思っているうちに、時間はあっという間に過ぎていきます。認知症を発症してからでは、もはや遺言書は作成できません。遺言能力をめぐる争いは家族の絆を壊し、財産の承継を混乱させます。だからこそ、元気なうちに公正証書遺言を作成し、自分の意思を明確に残しておくことが最大の安心につながります。

行政書士井戸規光生事務所では、遺言書作成の文案サポートから公証役場での手続きのサポート、法務局保管制度利用時のサポートまで、総合的なサポートを行っています。初回相談は30分無料で承っておりますので、「まだ早い」と思う今こそ、ぜひお気軽にご相談ください。お電話052-602-9061またはEメールido.kimioアットマークofficeido.com、お問い合わせフォームからお気軽にご相談いただけます。あなたの状況に合わせて、最も現実的かつ納得のいく方法をご提案いたします。家族の安心を守る第一歩は、遺言書の準備から始まります。

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この記事を書いた人

2024年に「行政書士 井戸 規光生 事務所」を設立しました。
建設業、遺言・相続サポート業務に特化した名古屋市南部の地域密着型事務所です。
高校時代はラグビー部に所属。地元名古屋のスポーツチームを応援しています。

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