ベストセラー「ダイ ウィズ ゼロ」に学ぶ:人生の喜びを最大化するお金の使い方

お金は貯めるだけでは意味がない?

「いざという時に備えて、老後のために貯金するのが正解」―― こうした考え方が一般的ですが、本当にそれがベストでしょうか?
日本で2020年に刊行されたビル・パーキンス氏のベストセラー『Die with Zero』では、「お金を使い切ることで人生の価値を最大化する」という新しい視点を提案しています。

今回は、この本の内容を参考にしながら、「いつ・どのようにお金を使うべきか?」を考えていきます。是非最後までお読みください。

目次

お金は「経験のためのツール」— 使いどきを見極めよう

『Die with Zero』では、お金は単なる貯蓄の手段ではなく、人生の充実度を高めるためのツールであると説かれています。重要なのは、「いつ・どのようにお金を使うのが最も価値を生むのか」を意識し、計画的に活用することです。

では、どのタイミングで、どのようなお金の使い方をすれば、人生の満足度を最大化できるのでしょうか?本書の考え方を参考に、年代ごとの「最適なお金の使い方」を見ていきましょう。

20〜30代:経験を積み、学びに投資する

若い頃は、体力も気力も充実している貴重な時期です。この時期にしかできない経験があり、それにお金を使うことで、その後の人生を豊かにする基盤が築かれます。

④ 旅行に投資する

若いうちに海外や国内を旅することで、新しい価値観に触れたり、人脈を広げたりする機会を得られます。年齢を重ねると、仕事や家庭の都合で自由な旅が難しくなるため、思い切って動けるうちに多くの経験を積むことが大切です。

スキルアップや自己投資にお金を使う

語学や資格取得、ビジネススキルの習得など、若いうちに自己投資をすることで、将来の選択肢が広がります。この時期の学びは、一生のキャリアに大きな影響を与えるため、単なる節約よりも、自分を成長させるための投資を優先することが重要です。

40〜50代:家族との時間と自己投資に注力する

中年期は、仕事や家庭の責任が増える時期ですが、同時にこれまで培ったスキルや収入を活かして、より豊かな人生を送るチャンスでもあります。

家族と過ごす時間に投資する

子どもが成長し、家族と一緒に過ごせる時間は限られています。この時期に、家族旅行や食事、特別なイベントにお金を使うことで、思い出として心に残る「かけがえのない時間」を作ることができます。お金を貯め込むよりも、今しかできない経験を大切にすることが、人生の満足度を高める秘訣です。

健康維持やリフレッシュにお金をかける

40代以降は、健康への投資がより重要になります。ジムやスポーツ、健康診断、ストレス解消のための旅行や趣味にお金を使うことで、より長く元気に人生を楽しむための準備ができます。「老後のために節約する」のではなく、「老後も楽しめる体を作るために投資する」という発想が大切です。

60代以降:思い出作りと社会貢献にお金を使う

仕事を引退し、時間の自由が増えるこの時期は、これまで築いた資産を活用して、より充実した人生を送るタイミングです。

これまでできなかったことに挑戦する

「定年後にやりたいことリスト」を実行に移す時期です。長年行きたかった旅行、趣味への本格的な取り組み、学び直しなど、お金と時間を最大限活用し、人生の充実度を高めることが大切です。

社会貢献や寄付を考える

パーキンスは「寄付やチャリティも死後ではなく生前に行うべき」と提唱しています。自分が支援したい団体やプロジェクトに直接お金を寄付することで、その影響を実際に見届けることができるのです。また、孫や子どもへの支援も、彼らが最も必要としているタイミングで行うことで、より大きな意味を持ちます。

「後で使おう」はリスク?人生のピークを見極める

「お金はあとで使おう」と思っているうちに、健康や時間が失われ、使いたいときに使えなくなる可能性があります。例えば… 「60歳でやりたかった登山や旅行も、体力が衰えた70歳では難しくなる」、「子どもが独立した後に家族旅行を考えても、既に彼らには別の生活があるかもしれない」などが考えられます。だからこそ、「人生のピークで最高の経験を得る」ために、計画的にお金を使うことが重要です。

子どもには「死後」ではなく「生前」に財産を渡すべき理由

多くの親は、自分が亡くなった後に子どもに遺産を残すことが、最も良い方法だと考えています。しかし、『Die with Zero』では、「子どもが最も必要とするタイミングで財産を渡すべき」だと提唱されています。なぜなら、親が亡くなるころには、子どももすでに50代や60代になっていることが多く、その時点で大きな資産を受け取っても、「本当に必要だった時期」には間に合わない可能性が高いからです。では、具体的にどのタイミングで財産を渡すのが最も効果的なのでしょうか?子どものライフステージごとに、資金を活用すべきポイントを見ていきましょう。

20〜30代:人生のスタートを支えるための資金援助

20代から30代の子どもにとって、最も価値のあるお金の使い道は、将来の土台を築くための投資です。教育資金の支援、住宅購入の頭金を援助、起業やキャリア形成のサポートなどこの時期の資金援助は、単なる贈り物ではなく、子どもが将来の経済的安定を築くための「投資」と言えます。

40代以降:家族と人生を楽しむための支援

子どもが40代になると、家庭を持っていることが多く、親としても孫の成長を支援できる貴重な時期になります。孫の教育資金を援助するなど、この時期の支援は、家族全体の幸福度を高めると同時に、親としての役割を実感できる素晴らしい機会になります。

早めの資金援助がもたらす「お金の価値の最大化」

例えば、親が自分の死後(子どもは50歳から60歳になっていることが多いでしょう)のときに1,000万円の遺産を残すつもりでいたとします。しかし、それよりも、30歳の子どもに300万円を贈与し、住宅購入の頭金や教育資金に充ててもらう方が、経済的にも心理的にも何倍もの価値を生み出す可能性があります。つまり、子どもが「最もお金を必要とする時期」に資金を提供することこそが、親としての最大の贈り物になるのです。

「子どもを甘やかしすぎでは?」と思う方へ

ここまでの話を聞いて、「子どもにお金を渡すばかりでは、甘やかしすぎではないか?」と思われる方もいるかもしれません。もちろん、本書では「無尽蔵にお金をあげるべき」と言っているわけではありません。重要なのは、自分の経済的余裕の範囲内で計画的に渡し、それを子どもが有効に使えるようにすることです。「死んだ後に残ったお金を遺産として渡す」のではなく、あらかじめ資産を適切に配分し、子どもが最も必要とするタイミングで使えるようにすることで、その価値を最大限に引き出す。この考え方こそが、『Die with Zero』の本質なのです。

③生前贈与を活用して、賢く資産を移転しよう

さらに、生前贈与を活用することで、相続税対策にもなるというメリットがあります。

現在の日本の制度では、1年間に110万円までの贈与であれば非課税とされています。これを活用し、数年かけて計画的に贈与を行うことで、子どもや孫へ資産を無駄なく移転することができます。

また、「教育資金の一括贈与非課税制度」などを利用すれば、より大きな額の資金を効果的に渡すことも可能です。

親自身も「ゼロで死ぬ」ことを目指せばよい

資産を早めに子どもへ渡してしまうと、「自分の老後の資金が足りなくなるのでは?」と不安に感じる方もいるかもしれません。しかし、『Die with Zero』の考え方では、「自分が死んだ後に余らせてしまうのが一番もったいない」とされています。つまり、必要な資金を確保しつつ、それ以外の余剰資産は早めに活用することで、自分の人生も最大限楽しみながら、子どもや家族にも価値を提供できるのです。さらに、生前に資産を適切に分配しておけば、「遺産をどう分けるか」という心配もなくなり、相続争いのリスクも大幅に減らせるというメリットもあります。親としての役目は、ただお金を残すことではなく、子どもが自立し、人生をより良いものにするための支援をすること。そして、自分自身も「お金を使い切る」ことで、人生を最大限楽しむことなのです。

「寄付・チャリティ」は生きているうちに

お金を社会のために使うなら、それは「生きているうち」に行うべきです。パーキンスは、『Die with Zero』の中で、「寄付やチャリティも死後ではなく、生前に行うべき」だと述べています。その理由はシンプルで、「自分の寄付がどのように役立っているのかを、自分自身の目で確かめることができるから」です。せっかく社会に貢献しようと思っても、死後に遺産として寄付してしまうと、そのお金がどのように活用されたのかを知ることはできません。一方で、生前に寄付を行えば、自分の支援がどこで、どのように使われ、人々の役に立っているのかを実感できるのです。それは、お金を有効に活用するだけでなく、寄付をする本人にとっても、非常に大きな満足感や幸福感をもたらします。

生前の寄付だからこそ、目に見える社会貢献ができる

パーキンスの提唱する考え方に基づけば、「遺産として残す寄付」よりも、「生前に行う寄付」のほうが、より効果的に社会貢献できると言えます。寄付をする意義は、「お金を社会に還元すること」だけではありません。生前に寄付をすることで、そのお金がどのように役立ったのかを自分の目で確認できることこそが、最も大きな価値なのです。1000万円を遺産として寄付する場合、実際にどのように使われるのかを確認することはできません。しかし、生前に100万円ずつ10年間にわたって寄付を続けた場合、その都度、寄付の成果を見届け、感謝の言葉を受け取る機会が得られます。寄付をする側にとっても「誰かの役に立った」という実感を得ることにつながります。

『Die with Zero』の基本理念は、「お金は貯め込むものではなく、生きているうちに有効に使うべきだ」というものです。これは、自分自身の人生の充実のためだけではなく、社会のためにお金を活用することにも当てはまります。さらに、生前に寄付をすることで、「自分の遺産をどう処理するか」という心配からも解放されます。必要な資金を確保した上で、余剰資産を計画的に寄付することで、無駄なく社会に還元することができます。そして、最終的には「ゼロで死ぬ」ことを目指せばよい、というのが本書の提案する寄付のあり方です。

まとめ:「ゼロで死ぬ」を目指す生き方 

『Die with Zero』の考え方は、「浪費しよう」という意味ではなく、「お金を最も価値ある形で使い切ろう」という提案です。
🔹 お金を「経験」に使い、人生を充実させる
🔹 子どもには最適なタイミングでお金を渡す
🔹 寄付やチャリティも生前に行い、その影響を見届ける

「死ぬときにお金を残しても、人生の充実にはつながらない」という考え方は、日本の相続文化にも新しい視点を与えてくれます。お金をどう使うか、ぜひ一度じっくり考えてみませんか?行政書士 井戸規光生 事務所では、相続診断士の資格も持つ行政書士が、ライフプランに合わせた生前贈与のアドバイスや手続きのサポート、遺言書作成のお手伝いをしております。「子どもにいつ財産を渡すのがベスト?」「相続税を抑えるための生前贈与の方法は?」「遺言書を作っておくべきか?」こうした疑問をお持ちの方は、ぜひお気軽にご相談ください。初回の無料相談を実施中です! お電話052-602-9061またはEメールido.kimioアットマークofficeido.com、お問い合わせフォームからご予約いただけます。あなたとご家族が、より充実した人生を送るためのお手伝いをさせていただきます。是非お気軽にご相談ください。

よかったらシェアしてください!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

2024年に「行政書士 井戸 規光生 事務所」を設立しました。
建設業、遺言・相続サポート業務に特化した名古屋市南部の地域密着型事務所です。
高校時代はラグビー部に所属。地元名古屋のスポーツチームを応援しています。

目次