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予備的遺言とは?相続争いを防ぐための効果的な手段
遺言書は、自分の遺志を明確にし、遺族に対する最後のメッセージを伝える重要な文書です。しかし、遺言書を書いた後に、予想外の事態や法律的な問題が発生し、単一の遺言書だけでは不十分な場合もあります。そこで登場するのが「予備的遺言」です。 予備的遺言は、万が一の事態に備えて、主要な遺言書が無効または適用できない場合に備えるためのものです。2つめの別の遺言書を書くのではなく、遺言書の中に「こうなった場合はこうする」と書き入れるのもです。このブログでは、予備的遺言の概念を詳しく解説し、どのように作成することで相続争いを未然に防げるのかを探っていきます。
「相続させる」と書いた相手が自分より先に亡くなったら?
遺言者が「長男にアパートを相続させる」という遺言を残していましたが、その長男が遺言者より先に死亡し、その長男には子ども(代襲相続人)がいた場合はどうなるでしょうか? 通常ならばアパートは代襲相続(詳しくはコチラ)人である長男の子(遺言者の孫)に相続されそうですが、そうはなりませんでした。共同相続人が、「『長男』に『アパート』を」と書いてある部分が無効なのだから、孫を含めてすべての財産を対象に遺産分割協議をやり直すべきと主張したからです。この場合、亡くなった遺言者の意思はもはや反映されていません。
いつも遺言の書き直しができるわけではない
高齢化に伴い、子が親よりも先に亡くなるケースも決して珍しいことではなくなりました。遺言で財産を相続させたい相手が、自分よりも先に亡くなってしまった場合、遺言書を書き直せればそれが一番良いのかもしれませんが、遺言書の細かい内容を忘れていたり、認知症を発症していたりして、新たな遺言書を作成できなくなる場合もあります。 (遺言書の書き直し 遺言書の撤回 はコチラのリンク)
予備的遺言で備えを
では、遺言者はどうすればよかったのでしょうか? 答えは「予備的遺言」を作成しておくです。 予備的遺言とは、上の例で言うと、
・第〇条 遺言者は、遺言者が有する下記の財産(●●●●)を、長男○○(昭和○年〇月〇日生)に相続させる。
と書いたうえで、
- 遺言者より前に、または遺言者と同時に長男○○が死亡していた場合は、遺言者は前条記載の財産(●●●●)を、長男の子○○(平成○年〇月〇日生)に相続させる。
と書いておけば、アパートは無事に孫に相続させることができました。
その他の例
予備的遺言は以下のようなケースでも有効です。 遺言者の相続人が子ども1人のみ(孫は無し)で、遺言者には疎遠な兄弟姉妹がいる場合を考えてみましょう。 将来的に、遺言者が亡くなる前または自分と同時に子どもが亡くなってしまった場合、相続人は遺言者の兄弟姉妹ですが、遺言者は疎遠な兄弟姉妹には自分の遺産を相続してもらいたくないと考えました。そこで、「自分より先、または自分と同時に子どもが亡くなっていた場合は自分の財産を兄弟姉妹以外の特定の個人または団体に遺贈する」という予備的遺言を残しました。
まとめと注意点
予備的遺言は、遺言者と、相続させる相手の年齢が近い場合や、相続させる相手の健康状態がすぐれない場合や、若くして遺言を残し、その後の状況が変化する可能性が高い場合、また、相続させる財産の価値が高く、他の共同相続人が単純に代襲相続を認めないだろうと予想される場合に効果的です。 行政書士 井戸 規光生 事務所では相続診断士の資格を持つ行政書士が、ご依頼者様それぞれの事情に沿って、遺言書の作成サポートや、相続手続きの代行を行います。相続発生時の相続人、相続財産の調査や、各種必要書類の取得、作成、金融機関とのやり取りなど、煩雑な手続きも代行いたします。予備的遺言を書いておいた方が良い場合にもその旨助言いたします。初回相談は無料ですので、お電話、お問い合わせフォームなどから、是非お気軽にご相談ください。