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事実婚のパートナーに遺産を確実に渡す方法:知っておくべき手続きと対策
近年、事実婚の関係にあるカップルが増えつつありますが、あくまでも法的に結婚しているわけではないので、事実婚のパートナーには法律上の相続権が認められていません。そのため、愛するパートナーに遺産を確実に残すためには、特別な手続きや対策が必要です。この記事では、事実婚のパートナーが不安なく遺産を受け取れるようにするための具体的な方法について解説します。遺言書の作成や、その他の法的な手段を活用することで、大切な人にあなたの思いをしっかりと伝える準備をしましょう。
事実婚のパートナーに相続権はない
結論「事実婚状態のパートナー」には相続権がありません。 民法では、相続人の範囲を、《故人の配偶者(法的に結婚した相手)は常に相続人となり、配偶者以外では、「第1順位 故人の子ども」、「第2順位 故人の直系尊属(父母や祖父母など)」、「第3順位 死亡した人の兄弟姉妹」》と定めているからです。そのため、長年2人で生活を共にし、支えあい、財産を共同で築き守ってきたとしても、事実婚のパートナーは法定相続人にはなれないのです。
配偶者 | 常に相続人 |
被相続人の子ども | 第1順位 |
被相続人の父母(父母が亡くなっていて、祖父母が存命の時は祖父母) | 第2順位 |
被相続人の兄弟姉妹 | 第3順位 |
また、法定相続人ではなくとも、故人の介護を行っていた親族(例えば故人の息子の妻など)がいた場合、その親族は遺産に対して自分の貢献分の権利を主張できる「特別寄与料」という制度(詳しくはコチラ)がありますが、この制度を使えるのは故人の「親族」に限られているため、事実婚のパートナーはこの制度を使うことも出来ません。
事実婚のパートナーに財産を渡す方法
では、事実婚のパートナーに財産を残す方法は一切ないかと言えばそうではありません。具体的な方法を3つ紹介します。
生前贈与
事実婚のパートナーに財産を渡すには、生前贈与があります。生前贈与は、誰に対しても行うことが可能ですので、生前に生前にパートナーに財産を贈与するという方法が考えられます。なお、1年間の贈与額が110万円を超える場合には、贈与を受けた人は贈与税の申告が必要となります。 また、事実婚のパートナーへ財産を残したい場合には、生命保険の受取人をパートナーにするなどの対策もあります。
遺言書で遺贈する
遺言書は、法定相続よりも優先されます。そのため、事実婚関係にあるパートナーは相互に相続権を持ちませんが、遺言書に財産を譲る旨が記載されていれば、法律上の婚姻関係がなくても相手に財産を渡すことができます。 ただし、事実婚のパートナーが相続税の基礎控除額を超える財産を受け取った場合、相続税の申告が必要ですし、法定相続人が受けられる軽減制度などは、事実婚のパートナーは受けられません。また、法定相続人には遺留分(詳しくはこちら)という最低限の相続できる割合が保障されているので、故人が内縁関係のパートナーに全財産を遺贈する遺言を残していても、法定相続人が遺留分侵害額請求をすれば、財産を返還する義務が生じます。
特別縁故者になる
故人に配偶者、法定相続人がいなかった場合、下記のような要件を満たせば、「特別縁故者」(詳しくはこちら)として遺産を受け取れる可能性があります。
故人と生計を同じくしていた者であること
故人の療養看護に努めた者であること
故人と特別の縁故のあった者であること
特別縁故者として遺産を受け取るには、家庭裁判所に自身が特別縁故者であることを申し立てる必要があります。ここで重要なのは、相続人が1人でもいた場合は特別縁故者だと申し立てすることはできないということです。
まとめ
相続、特に相続税の取り扱いは、法律的に結婚しているかどうかで大きく変わってくるのが現状です。なので、事実婚のパートナーのような関係は、遺言書を書いておくなど、生前の準備が重要になってきます。行政書士 井戸 規光生 事務所では相続診断士の資格を持つ行政書士が、ご依頼者様それぞれの事情に沿って、遺言書作成のサポート、相続関連手続きの代行を行っています。また、事実婚のパートナーにできるだけ多くの財産を残したいという要望にも、適切な遺言書の書き方を助言すると共に、法的なサポートをいたします。また、登記が必要な際には司法書士を、相続税に関するお悩みには税理士を、また、事実婚のパートナーと法定相続人との間でトラブルが発生した場合には提携の弁護士を紹介し、ご依頼者様の負担が少ない形で諸手続きを進めてまいります。初回相談は無料でございます。お問い合わせフォームやお電話などで、是非お気軽にご相談ください。ご連絡お待ちしております。