受付時間:平日9時〜19時
借金を相続しないために!相続放棄の重要性と注意点
相続が発生したとき、遺産には現金や不動産といったプラスの財産だけでなく、借金などのマイナスの財産も含まれます。このような場合、プラスの財産だけを相続することはできません。マイナスの財産がプラスの財産より大きいのに相続してしまうと、大きな負担を背負うことになります。そんなときに重要なのが「相続放棄」という手続きです。この手続きによって、相続人はプラスの財産の相続権も失いますが、それより大きいマイナスの財産も引き継がずに済みます。しかし、相続放棄には期限や手続き方法など、いくつかの重要なポイントがあり、これらを正しく理解しておかないと、後々トラブルに発展する可能性があります。この記事では、相続放棄の重要性と、注意すべきポイントについて詳しく解説します。
相続放棄とは?
プラスの財産と、マイナスの財産を比較して、マイナスの財産の方が大きい場合、相続をすることで損をしてしまいます。 こうした際に「相続したくない」と相続放棄をすることができます。相続放棄のためは「自分に相続の開始があったことを知った時」から3か月(熟慮期間)以内に、故人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に対し、相続放棄の申述書と添付書類を提出し、受理してもらう必要があります。
相続放棄を考えている場合、相続財産を処分(預金を引き出して使ったり、美術品や骨董品を転売換金したりするなどの行為)してはいけません。これらを行うと、財産を相続する意思があるとみなされ、相続放棄ができなくなります。(民法921条より)この法律を知らないで処分を行ってしまっても相続放棄をすることはできなくなります。
ただし、葬儀費用、生前の治療費の残額の支払いのように、「相続財産の処分にはあたらない」とされたケースもあるので、「処分」にあたるかどうか迷ったら、行政書士などの専門家への相談がおすすめです。
また、相続放棄の後でも、故人の財産を隠す、故人の財産をなどした場合、相続放棄は無効になります。
相続放棄の注意点
相続放棄をするかしないかの判断には、故人のプラスの財産、マイナスの財産全てを、なるべく早く把握することが必要です。この作業(相続財産の調査)は、遺された家族にとって簡単ではないので、行政書士などの専門家に依頼することがおすすめです。
相続放棄には他にもいくつかの注意点があります。これらを理解しておかないと、思わぬトラブルに巻き込まれる可能性があります。
・相続放棄したら債務は次の順位の相続権者に移る
相続放棄をした相続人は故人の財産だけでなく債務も放棄することになります。これは「もとから相続者ではなかった扱いになる」という意味ですが、債務それ自体は消滅しません。次の順位の相続権者(例えば、兄弟姉妹)に債務が移ることになります。次の順位の相続権者が相続放棄をしない限り、彼らが債務を負うことになるので注意が必要です。
知らないうちに亡くなった叔父の債務が自分に!?
具体例をあげると、配偶者のいなかった男性(80歳)が亡くなり、その2人の子供(第一順位)が全員相続放棄をしたとします。そうすると相続権はまず男性の父母(第二順位)に移りますが、二人も既に亡くなっていました。その場合相続権は故人の兄弟(第三順位)に移ります。故人には兄がいましたが亡くなっており、兄には子供が一人いました。故人の甥にあたります。故人の子供が相続放棄をしたことで、めぐりめぐって、甥が相続権者になりました。
何も知らない甥にある日故人の債権者から「亡くなったあなたの叔父の借金を返済してください」との督促がいきます。
役所や裁判所から、「あなたのいとこ(=最初に相続放棄をした故人の子)が相続放棄したことで、あなたが相続権者となりました」と通知がいくことはありません。ただし、督促があった日が前述の「自分に相続があったことを知った日」となりますので、この甥も相続放棄をする権利はあります。
しかし、このような事態にならないように、最初に相続放棄をした故人の子供は、それをいとこに知らせるべきでした。
まとめ
相続放棄は相続人にとって重要な手続きです。預金に手をつけないこと、相続放棄による債務の移転、熟慮期間内の手続きなど、注意すべき点を理解し、正確に手続きを進めることが求められます。相続放棄を検討している場合は、専門家に相談することをお勧めします。