初心者必見!相続税の基礎控除をわかりやすく解説

相続が発生すると、多くの方が最初に気になるのが「相続税」です。しかし、すべての相続に相続税がかかるわけではなく、一定の基準を超えた場合にのみ相続税が課されます。この基準となるのが「基礎控除」です。 基礎控除は、遺産の総額から差し引くことができる金額で、これによって相続税の負担が軽減される仕組みです。遺産総額が基礎控除の額を上回らなかった場合、相続税はかかりません。本記事では、相続税の基礎控除について、初心者の方でも理解しやすいようにその仕組みや計算方法を詳しく解説します。

目次

相続税の基礎控除とは

 相続税の基礎控除は、相続税を計算する時に用いられる非課税枠のことです。課税対象となる相続財産額から一定額を引くことで相続税を減額できます。相続財産の額が基礎控除を下回れば、相続税はかかりません。

基礎控除の計算

基礎控除額は、右の式を使って求めます。  3,000万円+(600万円×法定相続人の数)

 基礎控除の計算で大きなポイントとなるのは、法定相続人の数です。法定相続人の数が変われば、基礎控除額が以下のように変わります。

法定相続人の数計算式 基礎控除額
1人3000+(600×1)=36003600万円
2人3000+(600×2)=42004200万円
3人3000+(600×3)=48004800万円
4人3000+(600×4)=54005400万円
5人3000+(600×5)=60006000万円

 法定相続人が1人増えるごとに基礎控除額も600万円ずつ加算され、法定相続人の数が増えるほど、基礎控除は大きくなります。

 財務省の発表によると、令和4年の相続税の課税件数割合は全体の9.6%です。これは全体の相続発生件数のおよそ10件に1件の割合で相続税が発生しているということです。

法定相続人とは

まずは遺産分割の原則を確認します。 遺言書がある場合は、遺言書のとおりに遺産を分けます。遺言書がない場合は、法定相続人全員による遺産分割協議で遺産の分け方を決めます。

法定相続人の順位

 法定相続人とは民法によって「相続する権利がある人」と定められている人のことで、被相続人(=故人)に配偶者がいる場合は、常に配偶者が法定相続人に該当します。配偶者以外の相続順位は以下のとおりです。

第1順位:子ども(亡くなっている場合は孫)

第2順位:第1順位がいない場合、父母(亡くなっている場合は祖父母)

第3順位:第1順位も第2順位もいない場合、兄弟姉妹(亡くなっている場合は甥姪)

 相続順位は被相続人との関係によって決まります。法定相続人が亡くなっている場合、その子(第1順位、子どもの場合は孫で、第3順位兄弟姉妹の場合は甥姪)が代襲相続する場合があります。父母が亡くなっている場合は祖父母が相続する場合があります。

基礎控除額を算出するときの注意点

法定相続人が何人であるかは、基礎控除額を計算する際のポイントです。

代襲相続人

代襲相続により法定相続人の数が増える場合、基礎控除額もそれに応じて増加します。

(例)配偶者のいないAが亡くなった場合で、Aには2人の子ども長男のBと、次男のCがいましたが、Cは既に亡くなり、CにはAの孫である2人の子どもD、Eがいたとします。

Aの相続人となる次男Cが亡くなっており、その子ども、つまりAの孫D、Eが代襲相続人に該当します。この2人は新たな法定相続人と見なされ、基礎控除額の計算において加算されます。

このケースの基礎控除額は 3000万+(600万×3)で4800万円です。基礎控除額が600万円ずつ増加するのは、代襲相続人も同様です。

相続放棄が発生した場合

相続放棄とは、被相続人の財産・負債を全て相続しないことを指します。相続の開始を知ったときから3か月以内に、被相続人(=故人)が最後に住んでいた地域の家庭裁判所に申述することが必要です。なお、相続放棄をした人は相続人ではなくなりますが、税法上の基礎控除額の計算には影響を与えないという点がポイントです。相続人が3人いて、その中の1人が相続放棄し、残る2人が相続することになっても、基礎控除額は3000万+(600万×3)で4800万円です。また、相続放棄した人の子どもは代襲相続人にはなりません。

養子がいる場合

故人に養子がいる場合、まずは実子の数をチェックします。実子がいる場合といない場合で、基礎控除額の計算式に含められる養子の数が変わります。

実子がいる場合:法定相続人として計算式に含められる養子の数は1人まで

実子がいない場合:法定相続人として計算式に含められるになる養子の数は2人まで

なお、特別養子縁組により被相続人の養子となっている場合や、被相続人の配偶者の実の子どもで被相続人の養子となっている場合は、実子として基礎控除額の計算式にあてはめます。

(例1)配偶者と実子が2人いて、普通養子も2人いる場合

3000万+(600万×4{配偶者1、実子2、普通養子1})で5400万円

(例2)配偶者がいて、実子がなく、普通養子が3人いる場合

3000万+(600万×3{配偶者1、普通養子2})で4800万円

(例3)配偶者と実子が1人、特別養子が1人、普通養子が2人いる場合

3000万円+(600万×4{配偶者1、実子1、特別養子1、普通養子1})で5400万円

(養子についてはコチラもご覧ください)

相続欠格や相続廃除が発生している場合

相続人が相続欠格相続廃除に当てはまる場合は、法定相続人に含まれません。 

相続欠格になる事由としては、遺言書の偽造・変造や、被相続人や自分以外の相続人を殺害したケースなどが該当し、法律上当然に相続人資格剥奪となります。

相続廃除とは、被相続人に対する不貞行為や虐待などの理由によって、推定相続人を廃除できる手続きのことです。故人による生前の申し立て、もしくは遺言によって相続人の廃除ができます。

 ただし、相続欠格、相続廃除のいずれの場合も、欠格者に子どもがいた場合や、廃除された人に子どもがいた場合は代襲相続人になりますし、基礎控除額の計算式に相続人として影響を与えます。

まとめ

行政書士 井戸 規光生 事務所では相続診断士の資格を持つ行政書士が、ご依頼者様それぞれの事情に沿って、遺言書の作成サポートや、相続手続きの代行を行っております。相続発生時の相続人、相続財産の調査や、各種必要書類の取得、作成、金融機関とのやり取りなど、煩雑な手続きも代行いたします。 また、相続税に関するお悩みには提携の税理士をご紹介し、ご依頼者様の負担が少ない形で諸手続きを進めてまいります。初回相談は無料ですので、お電話、お問い合わせフォームなどから、是非お気軽にご相談ください。

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この記事を書いた人

2024年に「行政書士 井戸 規光生 事務所」を設立しました。
建設業、遺言・相続サポート業務に特化した名古屋市南部の地域密着型事務所です。
高校時代はラグビー部に所属。地元名古屋のスポーツチームを応援しています。

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