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子がいない夫婦は要注意!相続で後悔しないためのポイント
結婚して夫婦二人の生活を築いてきたものの、子どもがいない場合、いざ「相続」という問題に直面したとき、思わぬトラブルが発生することがあります。特に配偶者が「安心して暮らし続けるための資産」を守るためには、通常のケースとは異なるポイントに気をつける必要があります。子どもがいない夫婦の相続では、遺産の分け方や手続きが複雑になりがちで、他の家族や親族が関わってくる可能性も少なくありません。こうしたリスクを回避し、後悔しないためには、早めに対策を講じることが大切です。この記事では、子どものいない夫婦が相続に関して知っておくべき基本的な情報や、遺産を確実に守るための具体的なポイントについて詳しく解説します。家族の安心と将来を守るために、今できる準備を始めてみませんか?
相続人は誰?
配偶者と親
子どもがいない夫婦の内、夫が先に亡くなったと想定します。この場合は、夫も親が存命であれば相続人は妻(配偶者)と親*です。
*(夫の親が先に亡くなっていて、祖父母が存命の場合は祖父母が相続人です)
法定相続分は配偶者:2/3、親:1/3
配偶者と兄弟
夫の親も祖父母も亡くなっていて、夫の兄弟姉妹がいる場合は、相続人は妻(配偶者)と兄弟姉妹です。
法定相続分は配偶者:3/4、兄弟姉妹:1/4
配偶者と、兄弟の子(甥姪)が相続人になるケース
兄弟姉妹がすでに亡くなっている際、兄弟姉妹の子*、つまり亡くなった夫からみて甥や姪が代襲相続して相続人になります。
夫が亡くなった夫婦。夫の両親も祖父母は他界。夫には姉が一人、弟が一人いたが、その2人も他界。姉には子が一人、弟には子が二人いた場合。
妻は遺産の3/4を相続し、姉の子が1/8、弟の子2人がそれぞれ1/16(2人で計1/8)を相続。
子どものいない夫婦の相続でよくあるトラブル
配偶者と血族相続人(故人の親や兄弟姉妹)との関係が悪い
遺言書がなく、配偶者と、故人の両親、兄弟姉妹が相続人となると、配偶者は、義理の両親や兄弟姉妹と遺産分割の話し合いをする必要があります。
義理の両親や兄弟姉妹との関係が悪い場合、話し合いがまとまりませんし、疎遠だった場合には、連絡をとること自体が難しくなります。
不動産の相続
遺産が銀行預金のみの場合は、法定相続分で分ければトラブルにはなりにくいです。しかし、土地や建物のような不動産は金銭とは違い、不動産自体に分けることは難しく、土地を分けると価値が下がってしまうケースもあります。持ち分の割合を定めて共有にすることも、その後の管理が複雑化しお勧めできません。
このような場合は、不動産を1人に取得させ、その人が他の相続人に、相続分に見合った額の金銭(代償金)を支払うことが多くなります。(代償分割)しかし、代償金は数百万円以上に上ることが多く、支払いが困難であったり、金額をめぐって争いになったりするケースも見受けられます。そのため、遺産が自宅不動産のみで「配偶者に自宅を相続させたい」と考える場合は、特に慎重な対応が求められます。
子どものいない夫婦の相続対策
このようなトラブルを防ぐために、生前に以下のような対策をしておくといいでしょう。
遺言書を作る
遺言書を作ることで、「自分の財産を誰に相続させるか」を決めることができます。「配偶者にすべての財産を相続させる」と書くこともできます。遺産分割協議の必要もなくなります。ただし、遺留分には注意が必要です。
遺留分について注意する
遺留分とは、法律上、兄弟姉妹以外の相続人が最低限受け取る権利が保障されている遺産の割合のことです。たとえば、相続人が配偶者と義理の親である場合、「全財産を配偶者に相続させる」といった遺言があったとしても、義理の親には遺留分侵害額請求権があり、配偶者に対して法定の遺留分である遺産の6分の1相当の金額を請求できる権利があります。ただし、遺留分はあくまで請求できる「権利」にすぎず、実際に請求するかどうかはその相続人の判断に委ねられます。
なお、兄弟姉妹には(もちろん甥姪にも)遺留分が認められていないため、相続人が配偶者と兄弟姉妹の場合は、遺留分を考慮せずに全財産を配偶者に相続させる遺言を作成することができます。このため、遺言書を作っておくことは特に有効です。
生命保険の受取人を配偶者にしておく
生命保険の受取人を配偶者にしておくことも有効な対策です。保険金は受取人の固有財産となるため、他の相続人と遺産分割せずに受け取れます。
遺留分や、不動産相続の際の代償金が懸念され、まとまった現金の支払いの必要がある場合には、他の相続人へ支払うためのお金を保険金の形で受け取れるようにしておくことも有効です。
予備的遺言
「妻が『自分の財産はすべて夫に相続させる』という遺言を作成し、その後、夫が先に亡くなった場合、この遺言はどうなるのでしょうか?結論として、相続させる予定だった夫がすでに他界しているため、妻の遺言は無効になってしまいます。そのため、妻の相続人となる家族が集まって遺産分割の話し合いをする必要が出てきます。
このような事態を避けるためには、遺言書に『自分の死後は夫に全財産を相続させるが、もし自分より先に夫が亡くなっていた場合には〇〇に全財産を相続させる』といった内容を加えておくことが有効です。(予備的遺言)こうすることで、夫が先に亡くなっていた場合でも、希望する人に確実に財産を引き継いでもらうことができ、遺産分割協議の必要もありません。」
まとめ トラブルを防ぐために、遺言書など事前の対策を!
子どもがいない夫婦の場合でも、配偶者がすべての財産を引き継げるわけではありません。義理の親や兄弟姉妹といった血縁者が相続権を持つためです。もし残された配偶者と義理の家族があまり良好な関係でなければ、トラブルにつながる可能性もあります。トラブルを避けるためには、遺言書を作成するなどの事前の対策がとても大切です。家族構成や財産状況は人それぞれ異なりますので、早めに行政書士などの専門家に相談し、自分の状況に合った対策を考えておきましょう。行政書士 井戸 規光生 事務所では相続診断士の資格を持つ行政書士が、ご依頼者様それぞれの事情に沿って、遺言書の作成サポートや、相続手続きの代行を行っております。相続発生時の相続人、相続財産の調査や、各種必要書類の取得、作成、金融機関とのやり取りなど、煩雑な手続きも代行いたします。また、登記が必要な際には司法書士を、相続税に関するお悩みには税理士を、また、万が一相続人間でのトラブルが発生した場合には提携の弁護士を紹介し、ご依頼者様の負担が少ない形で諸手続きを進めてまいります。初回相談は無料ですので、お電話、お問い合わせフォームなどから、是非お気軽にご相談ください。