工事経歴書の書き方と注意ポイントを解説

「工事経歴書」は、建設業許可の新規申請や、公共工事の入札に必要な経営事項審査の申請、事業年度終了届(都道府県によっては決算変更届)に添付する重要な書類です。携わった工事の概要を明らかにするもので、書き込む項目は10を超えます。また、記載にあたってはさまざまな注意があります。本記事では工事経歴書を作成する上での注意点を解説します。ぜひ最後までお読みください。

目次

工事経歴書とは?

工事経歴書とは、建設業の許可申請書類の一つで、完成工事、未完成工事を含めた、すべての工事実績を記入する書類のことです。工事経歴書は許可申請を行なう業種ごとに作成する必要があり、さらに毎年提出する事業年度終了届(決算変更届)でも必要な書類になります。工事経歴書は申請書類のなかでも重要な書類の一つで、記載のルールが細かく決められています。作成する機会が多々あるため、書き方を正しく把握することが大切です。

工事経歴書の各項目の解説

工事経歴書には、前年度1年間に着工し、完成した工事と、前年度末時点の未完成工事の実績を記載します。事業年度が5月1日~4月30日の場合、4月30日までに完成した工事と未完成の工事を記載します。工事実績は、基本的に請負代金の額の大きい順から記載します。法人新設など、前年度の実績がなくても工事経歴書の提出は必要です。この場合、「工事実績なし」と記載し提出します。

①工事の業種

工事経歴書は工事業種ごとに作成が必要です。「建設工事の種類」という項目に、29ある建設業の業種を書きます。

②税込・税抜

経営事項審査を申請する場合、「税抜」に○をします。

経営事項審査を受けない場合、税抜・税込のどちらでも構いません。決算書に合わせるのが良いでしょう。

③注文者

注文者の項目には、工事を発注した法人や個人の情報を記載します。発注者が個人の場合は「A」や、「S.Y」といったイニシャルを用います。

④工事名と工事現場のある都道府県及び所在地

工事名の項目には、注文書や契約書に書かれた工事名を記載します。工事名に個人名が入る場合、「A邸解体工事」や「S.Y邸車止め設置工事」などのようにイニシャルで記載します。工事現場の所在地がある都道府県と市区町村の名称も続けて記載します。

⑤元請・下請

「元請又は下請の別」の項目には、発注者から直接受注した場合は元請、それ以外は下請と記載します。

⑥JVの別

JVとはジョイントベンチャー(共同企業体)の略語で、複数の企業で1つの建設工事を受注する方法です。JVとして行った工事の場合、「JV」と記載します。

⑦配置技術者

配置技術者の項目には、現場に配置した主任技術者や監理技術者の氏名を記載し、その横にある「主任技術者または監理技術者の別」では、該当する側にレ点を入れます。

(新規許可申請の場合は、技術者名の記載がなくても良いですが、許可取得後の事業年度終了届(決算変更届)で工事経歴書を提出する場合は、技術者名は必須です。)

⑧請負代金の額

請負代金の額の項目には、千円単位で請負代金の額を記載します。(100万円は1,000千円)千円未満は切り捨てて記載して構いません。JVで受けた工事の場合、全体の請負代金の額に対する自社の出資割合をかけた額、もしくは担当した工事の請負金額を記載します。

なお、PC、法面処理、鋼橋上部の工事が含まれる場合は、請負代金を別に記載します。

「プレストレストコンクリート(PC)」-土木工事業の一種

「法面処理」-とび・土工・コンクリート工事業の一種

「鋼橋上部」-鋼構造物工事業の経歴書の一種

⑨工期

工期の項目には、着工開始の年月と完成した年月、または完成予定の年月を記入します。

⑩小計

小計の項目には、記載した完成工事の件数、請負代金の合計をページごと(1業種1ページで別々に作ります)に記載します。また、請負金額の合計の中の、元請工事の請負金額も記載します。

⑪合計

全てのページ(業種)の請負代金の合計額を記載します。ただし、合計の数字は工事経歴書に書かれた工事だけの合計ではなく、請け負った工事件数と請負代金の合計です。(工事経歴書にはすべての工事を書いているわけではなく、請負金額上位の工事が書かれています)

まとめ

工事経歴書は建設業許可の新規申請、毎年の事業年度終了届(決済変更届)を提出する際の重要な書類です。また、公共事業の入札に参加する際に必要な、経営事項審査を申請するために作成する場合は、必ず税抜で記載してください。請負金額は基本的に金額が大きい順から記載しますが、都道府県によって異なります。ジョイントベンチャーで施工した場合は、出資比率なのか、正確な請負分なのか請負金額の記載に注意が必要です。

行政書士 井戸 規光生 事務所では、建設業許可の申請だけでなく、毎年の事業年度終了届、変更届、更新手続きのサポートや、日々の業務に忙殺される事業者様への、各種手続きの期限管理も承っております。 また、1年間に請け負った工事の契約書だけをお預けいただければ、そこから業種別に仕分け、工事経歴書の作成も行います。初回相談は無料ですので、是非お電話、お問い合わせフォームなどからお問い合わせください。ご連絡、お待ちしております。

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この記事を書いた人

2024年に「行政書士 井戸 規光生 事務所」を設立しました。
建設業、遺言・相続サポート業務に特化した名古屋市南部の地域密着型事務所です。
高校時代はラグビー部に所属。地元名古屋のスポーツチームを応援しています。

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