建設業許可の相続を要点解説

建設業許可を受けた個人事業主が亡くなった場合、相続人は特定の条件を満たせば、被相続人の建設業者としての地位を引き継ぎ、建設業許可を継承することが可能です。万が一の時に慌てないように、事前にその手続きや規則を確認しておきましょう。

目次

許可を相続する方法

すべての業種を相続が基本

相続による建設業許可の承継は、被相続人(故人)のすべての許可業種を承継することが条件であり、一部の許可業種のみを相続することは認められません。

被相続人が受けていた全ての許可業種について、相続人が被相続人の死亡した日時点で要件を満たしているかを確認する必要があります。

承継できない業種は先に廃業しておく

故人(被相続人)はとび・土工・コンクリートと内装仕上げの2業種を取得していたが、相続人である息子は内装仕上げの許可要件しか満たすことができない場合、被相続人のとび・土工・コンクリートの許可を一部廃業することで、被相続人の建設業許可が内装仕上げのみとなります。そこから相続人は内装仕上げ工事業の許可を承継できます。

建設業者としての地位を承継する

相続により建設業許可を承継すると、建設業者としての地位をすべて引き継ぎます。

相続人は、被相続人の受けた監督処分や経営事項審査の結果についても承継することになりますが、刑法上の罰は引き継がれません。

許可承継の申請

建設業許可を引き継ぐ場合、故人の死亡後30日以内に申請して認可を受ける必要があります。

都道府県知事に申請 

・故人(被相続人)が都道府県知事許可を受けて、相続人は許可を何も受けていないとき

国土交通大臣に申請

・被相続人が国土交通大臣許可を受けていて、相続人は許可を受けていないとき

・被相続人が都道府県知事許可を受けていて、相続人が国土交通大臣の許可を受けているとき

・被相続人が都道府県知事許可を受けていて、相続人が別の都道府県知事の許可を受けているとき

必要書類

続柄を証明する書類   戸籍謄本で、故人の死亡した年月日と申請者との相続関係を証明します。

相続人全員の同意書   被相続人の建設業者としての地位を、相続人のうちの1人(申請人)が承継することについて相続人全員が同意していることを証明する書面です。

相続人は許可要件を満たしているか

相続により建設業許可を承継するには、相続人が建設業許可取得の要件をすべて満たしている必要がありますが、今回は要件を満たすことが難しい経営業務の管理責任者と、専任技術者に絞って説明します。

経営業務の管理責任者

相続人が個人で建設業許可を受けるには、建設業における取締役等(個人事業主でも可)の経験が5年以上、または経営業務の管理責任者に準ずる地位の経験6年以上の経験が必要です。

(個人事業主でいずれ、自分の息子に建設業を継がせたい場合には、先のことを見据えて、法人化し、息子を会社の役員にしておく必要があります。)詳しくはコチラ

専任技術者

建設業許可を受けようとする業種ごとの技術的要件を満たす「専任技術者」を営業所に常勤で置く必要があります。

専任技術者には、業種に対応した「資格保有者」または「一定年数以上の実務経験者」のみがなることができます。

詳しくはコチラ

(専任技術者に個人事業主が就任している場合は、ご子息に対応する資格を取らせるか、ご子息の実務経験を証明する書類を保管しておく必要があります。)

まとめ

相続による建設業許可の承継には申請期限があります。親が亡くなり、悲しみに暮れる間もなく、多くの手続きに追われる中、建設業許可を相続するための要件や申請方法を調べて30日以内に認可申請を進めるのは非常に負担が大きいです。許可の相続は「相続人が許可要件を満たしているか」ということを証明する書類を、スピード感を持って提出できるかがポイントです。

 行政書士 井戸 規光生 事務所では、建設業許可の申請だけでなく、毎年の事業年度終了届、変更届、更新手続きのサポートや、日々の業務に忙殺される事業者様への、各種手続きの期限管理も承っております。 また、ゆくゆくは許可を相続させて建設業承継させたいとお考えの事業者さまには、生前にできる後継者養成の手段もお伝えいたします。初回相談は無料ですので、是非お電話、お問い合わせフォームなどからお問い合わせください。お待ちしております。

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この記事を書いた人

2024年に「行政書士 井戸 規光生 事務所」を設立しました。
建設業、遺言・相続サポート業務に特化した名古屋市南部の地域密着型事務所です。
高校時代はラグビー部に所属。地元名古屋のスポーツチームを応援しています。

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