数次相続で困らないために!遺産の連続相続を上手に乗り越える方法

相続が発生すると、遺産をどう分けるかが大きな問題となりますが、相続人が遺産分割を済ませる前に次の相続が発生する「数次相続」は、さらに複雑な状況を引き起こします。親から子、そしてその子から孫へと相続が連続して発生することで、遺産分割や権利関係が複雑化し、相続人同士のトラブルを招きやすくなります。そんな数次相続の基本的な仕組みを理解し、適切に対処することが、スムーズな相続手続きを進める鍵です。この記事では、数次相続のリスクや具体的な問題点を解説し、トラブルを避けるための対策や準備についてもご紹介します。事前の知識を備えることで、数次相続の複雑さに惑わされず、次世代へスムーズに遺産を引き継ぐことができるようになります。

目次

数次相続とは?

 「数次相続」とは、相続が発生した後、その遺産分割が完了する前に相続人が亡くなり、次の相続が連続して発生する状況を指します。つまり、一度の相続で終わらず、さらに別の相続が重なって発生するため、通常の相続よりも手続きが複雑化しやすくなります。典型的なケースとして、親が亡くなり、その相続手続きが進行中に相続人である子が亡くなる場合があります。数次相続が問題視される理由は、相続手続きが長期化することで遺産分割が遅れ、相続人同士の合意形成が難しくなる点にあります。また、相続人が増えることで遺産の取り分が細分化され、相続人の間でトラブルが生じやすくなることも、相続が複雑化する大きな原因です。そのため、数次相続を避けるためには、遺言書の作成や早期の相続手続きが重要です。

数次相続が発生する具体的な例

数次相続の典型的な例として、「親と子が相次いで亡くなった場合」を取り上げます。たとえば、父親が亡くなり、その相続手続きが進行中の段階で、相続人である子が亡くなった場合、この状況が数次相続に該当します。父親の相続がまだ完了していない段階で、その相続人である子にも相続が発生するため、遺産分割がより複雑になります。

まず、父親の相続においては、子が相続人として遺産を受け取る権利を持ちますが、子が亡くなることでその相続権は子の配偶者や子供(父親の孫)に引き継がれます。こうして、父親の遺産に関する相続手続きと、子の遺産に関する手続きが同時に進行することになります。これにより、最初の相続が遺産分割協議の途中で次の相続手続きと重なり、相続人の人数が増え、話し合いが一層複雑化することがしばしばあります。

遺産分割の進行に与える影響として、相続人の間での協議が長引くことが考えられます。数次相続が発生すると、相続人が次々と追加されるため、全員の合意を得るのが難しくなり、遺産分割協議が遅延することが多くなります。結果として、遺産の分割がなかなか進まず、最終的な相続手続きが長期化するリスクが高まります。

数次相続で発生する問題

数次相続の手続きで注意すべきポイントは、遺産分割協議を迅速に進めることです。ただし、そのためには必要なことは、通常の相続手続きと同様で、遺産の内容を調査・確定することと、戸籍などを取得して相続人を特定することです。数次相続では、遺産の調査や相続人の特定の作業が通常の相続より増えているので、関係者同士の協力が重要になります。最初の相続手続きを放置している間に、次の相続も発生し、それも放置していたが、令和6年4月1日からの不動産相続登記の義務化によって重い腰を上げたという場合もあります。今からでも遅くはないので、三次相続が発生する前に終わらせることが必要です。相続税の申告が必要な場合は、特に急ぐ必要があります。いずれにせよ、数次相続が発生している状況では、必要な手続きは多くなり、遺産分割協議書の作成においても注意すべきポイントが多数あります。不明な点があれば、早めに専門家に相談されることを強くお勧めします。

数次相続の際の遺産分割協議のやり方

複数の遺産分割協議を別々に行っても、同時に行ってもかまいませんが、一次相続と二次相続の相続人が共通ならばまとめて行ったほうがよいでしょう。2つの相続において、相続人が重複しない時は、別々に行ったほうが良いです。

遺産分割協議書の書き方

数次相続の場合、先に亡くなった人の「相続人」だった人が後で亡くなり「被相続人」になる事もあります。その場合は先に亡くなった人Xを「被相続人」として、次に亡くなった人を、「Xの相続人 兼 被相続人」と表記します。また、先に亡くなった被相続人の相続人でもあり、次に亡くなった被相続人の相続人でもある人が出てくる場合は、「相続人 兼 Xの相続人」というように表記します。

相続登記中間省略について

数次相続で、父から子、子から孫に不動産の所有権が移る場合、原則として、登記の変更手続き(=名義の変更)は2回に分けて行わなければなりませんが、相続登記の中間省略という制度で、父(孫から見た場合の祖父)から孫へ直接登記を変更できる場合があります。この制度を使うと、登記手続きや登録免許税の支払いが1回で済むというメリットがありますが、適用には複雑な条件があるので、司法書士に相談することが必要です。

相続税について

相続税の支払いは、「相続が発生したことを知った日の翌日から10か月以内」という期限が設けられています。そのため、数次相続発生の場合、少なくとも最初の相続に関しては相続税の支払い期限が過ぎてしまっている可能性があります。相続税は全ての相続にかかるわけではない(相続件数全体の10%程度)ので、まずは落ち着いて税理士に相談をしましょう。

まとめ 数次相続を避けるための対策と準備

数次相続の混乱を防ぐため、最も効果的な方法の一つが遺言書の作成です。遺言書を通じて、遺産の分割方法や相続人の範囲を明確にしておくことで、相続が連続して発生する場合でも混乱を最小限に抑えることができます。また、生前贈与の活用も有効な手段です。生前に一部の財産を相続人に渡しておくことで、遺産分割の対象を減らし、数次相続の複雑さを軽減することができます。相続手続きの早期対応も、数次相続を避けるための重要な要素です。相続が発生した際、手続きを先延ばしにすることで数次相続が起こりやすくなるため、迅速に手続きを進めることが必要です。特に高齢の相続人がいる場合、早めに遺産分割を完了させることが重要です。

 相続の準備や手続きは専門的な知識が必要な場合が多いため、専門家に相談するメリットも大きいです。行政書士や司法書士、税理士、弁護士などの専門家に相談することで、相続税の負担を軽減し、手続き全体をスムーズに進めることができます。専門家のアドバイスを受けることで、数次相続のリスクを軽減し、次世代への円滑な財産承継を実現できます。 行政書士 井戸 規光生 事務所では相続診断士の資格を持つ行政書士が、数次相続の混乱を避けるための遺言書の作成サポートや、数次相続が発生した場合の相続手続きの代行を行います。相続発生時の相続人、相続財産の調査や、各種必要書類の取得、作成、金融機関とのやり取りなど、煩雑な手続きも代行いたします。初回相談は無料ですので、お電話、お問い合わせフォームなどから、是非お気軽にご相談ください。

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この記事を書いた人

2024年に「行政書士 井戸 規光生 事務所」を設立しました。
建設業、遺言・相続サポート業務に特化した名古屋市南部の地域密着型事務所です。
高校時代はラグビー部に所属。地元名古屋のスポーツチームを応援しています。

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