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法定相続分で分けるから手続き不要?「法定」という言葉が招く勘違いとは

はじめに: 「法定相続分」の誤解
「法定相続分通りに分けるから手続きは不要?」という考え方をしていませんか?「法定」という言葉には、まるで全てが自動的に進行するかのような誤解を招く力があります。多くの人が、「法定相続分が決まっているのだから、特別な手続きは必要ない」「法定相続分に従えば、遺産分割は自動的に完了する」「法定相続通りに、国や銀行は動いてくれる」と考えがちです。しかし、これは大きな誤解です。実際には、「遺産は法定相続分に則って分割します」と宣言するだけで手続きを完了することはできません。また、法定相続人が、「自分には法定相続分がある」とだけ主張しただけで認められることはなく、必ず適切な手続きを踏む必要があります。さらに、「法定相続分に従っていれば問題ない」と思い込んでいると、故人の預金の引き落としや不動産の名義変更が自動的には進まないことに驚くことになるかもしれません。相続は単に「法定相続分」を分けることだけでは終わらず、必要な手続きや書類作成を怠ると、進行しません。これから、法定相続分にまつわる誤解とその手続きの重要性について詳しく解説していきます。
②遺言書の重要性: 法定相続分だけでは不十分
法定相続分に頼ることのリスク
「法定相続分が決まっているから大丈夫」と考えていませんか?しかし、法定相続分通りに分けるとしても、遺言書を書いておくことは、死後の手続きを大いに助けます。遺言書がない場合、例え法定相続分で分けるとしても、遺産分割協議書協議を行い、遺産分割協議書を作成する必要があります。遺産分割協議書には法定相続人全員の署名押印が必要です。遺言書に書いておけば法定相続分通りで成立したはずの遺産分割が、相続人の1人が嫌と言えば、協議は難航します。相続人が多い場合や関係が疎遠な場合、協議がまとまらず、手続きが停滞することもあります。さらに、認知症の相続人がいる場合、家庭裁判所で後見人を選任する必要があり、手続きがさらに複雑化します。
法定相続分では円滑に進まない理由
法定相続分はあくまで目安であり、すべての財産を簡単に分けられるわけではありません。不動産などの分割しにくい資産がある場合、法定相続分通りに分けることは困難です。そのため、円滑な相続のためには、遺言書の作成が重要になります。
遺産分割協議と協議書: 相続人間の合意が必須
法定相続人が決まっているからといって、すぐに遺産が分配されるわけではありません。遺言書がない場合は、遺産をどのように分けるかについて、相続人全員で話し合う「遺産分割協議」を行う必要があります。この協議を経なければ、預貯金の払い戻しや不動産の名義変更などの手続きを進めることはできません。さらに、協議の内容を「遺産分割協議書」として書面に残さなければ、後々のトラブルにつながる可能性があります。書面化することで、口約束による誤解や、相続人の認識違いを防ぐことができます。また、金融機関や法務局でのほぼ全ての手続きにおいて、遺産分割協議書の提出が求められるため、相続手続きを円滑に進めるためにも、正しく作成しておくことが重要です。
預貯金の解約や不動産の名義変更: 手続きは自動では進まない
預貯金は自動的に振り込まれない
「法定相続分が決まっているのだから、故人の預金は自動的に相続人に振り込まれる」と思っていませんか?実際には、銀行は相続が発生すると口座を凍結し、相続人からの正式な手続きがない限り、払い戻しには応じません。相続人全員の合意を得たうえで、金融機関の指定する書類を提出する必要があります。
不動産の名義変更も自動ではない
不動産も、相続が発生したからといって、自動的に相続人の名義に切り替わるわけではありません。法務局で相続登記の手続きを行わなければ、名義は被相続人のままとなり、売却や活用ができなくなります。
必要な手続きを正しく進める
預貯金の払い戻しや不動産の相続登記には、遺言書、遺言書がない場合は遺産分割協議書、さらには戸籍謄本などの提出が求められます。スムーズな相続のためには、必要書類を早めに準備し、適切な手続きを進めることが重要です。
法定相続分と法定相続人: 言葉の意味を正しく理解する
「法定相続分」とは、民法に定められた相続人ごとの遺産の取り分を指し、「法定相続人」とは、法律上相続権を持つ人を意味します。しかし、「法定」とつくため、法律で決まっている通りに自動的に分配されると誤解されがちです。実際には、法定相続分は目安に過ぎず、絶対にその通りにしなくてはならない訳ではありませんし、相続手続きを経なければ遺産を受け取ることはできません。また、相続人全員の合意がなければ、遺産分割が進まない場合もあります。これらの言葉の意味を正しく理解し、誤解によるトラブルを避けることが大切です。
まとめ: 相続手続きは慎重に
「相続手続きは、法定相続分が決まっているからといって自動的に進むわけではありません。適切な準備をせずに進めると、相続人間の対立や手続きの遅延を招く可能性があります。遺言書を作成することで、希望通りの分配を実現し、不要な争いを防ぐことができます。遺言書がない場合は、遺産分割協議書を作成することで、相続人全員の合意を明確にし、相続手続きが進行します。専門家のサポートを受けながら、慎重に相続手続きを進めることが重要です。」に、行政書士 井戸規光生 事務所では、相続診断士の資格も持つ行政書士が、相続手続きや遺言書の作成、遺産分割協議書の作成をサポートしております。初回相談は無料ですので、お電話052-602-9061またはEメールido.kimioアットマークofficeido.com、お問い合わせフォームからお気軽にお問い合わせください。