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海外に相続人がいる場合どうする?生前対策とスムーズな相続手続きの進め方
相続人が海外に住んでいる場合、相続手続きは日本国内だけでなく、国境を越えたやり取りが必要となり、複雑になることがあります。書類の取り寄せや、意思疎通の課題など、準備不足だと大きな負担に繋がります。本記事では、被相続人としての生前対策のポイントと、海外在住の相続人が日本での相続手続きをスムーズに進めるための行動について解説します。事前の備えで、家族の負担を最小限に抑えましょう。
海外に相続人がいる場合の相続手続き
法の適用に関する通則法第36条には、「相続は、被相続人の本国法による。」と定められています。このため、相続人が海外に在住していても、他の相続人と同等の権利で相続を受けることができます。相続が発生した場合は、通常の相続手続きと同様に、「遺言書の有無の確認」、「相続人の確定」、「相続財産の確定」、「遺産分割協議」と進んでいきます。特に相続人が海外に住んでいる場合には、以下の点に注意が必要です。
通信手段を活用した遺産分割協議
遺産分割協議は、相続人全員で話し合いを行い、合意を得る必要があります。相続人の1人が海外に住んでいる場合、対面での話し合いが難しいため、電話やメール、画像付き電話などの通信手段を活用して協議を進めることが一般的です。
実印と印鑑証明書の課題
遺産分割協議書には、相続人全員の署名と実印による押印が求められます。さらに、印鑑証明書の提出が必要です。しかし、海外在住の相続人は、日本国内の住民票を抹消しているケースが多く、印鑑証明書を取得することができません。このため、印鑑証明書の代替として「署名証明書」を準備する必要があります。
署名証明書の取得方法
署名証明書は、海外在住の相続人が現地の在外公館(日本大使館や領事館)で取得するものです。在外公館の職員の前で署名を行うことで発行され、日本の印鑑証明と同等の効力を持ちます。署名証明書の取得には、遺産分割協議書や日本国籍を示すパスポートなどの必要書類を持参する必要があります。 署名証明書とは、事前に取得できるものではありません。日本から遺産分割協議書を郵送してもらい、それを在外公館に持参し、公使の目の前で署名(サイン)をすることで発行してもらえます。
在留証明書が必要なケースも
不動産の相続手続きでは、海外在住者の場合、住民票の代わりに「在留証明書」を提出する必要がある場合があります。そのため、手続きをスムーズに進めるために、署名証明書と同時に取得しておくとよいでしょう。在留証明書は、住民票の代わりとなる重要な書類であり、不動産相続などで必要とされることがあります。取得方法は以下の通りです。
在留証明書の取得方法
- 申請場所
海外にある日本大使館または領事館で手続きを行います。 - 必要書類
- 日本国籍を証明するパスポート
- 現地での居住を証明できる書類(例: 賃貸契約書、公共料金の請求書など)
- 現地での滞在期間がわかる書類(必要に応じて)
- 申請手順
① 在外公館に行き、窓口で申請書を記入します。
② 必要書類を提出します。
③ 公館の職員が申請内容を確認し、その場で証明書を発行します。 - 注意事項
- 手数料が必要です(現地通貨で支払い)。
- 公館まで遠い場合は、事前に郵送や代理申請の可否を確認してください。
事前に公館のウェブサイトで詳細を確認しておくことをお勧めします。
遺言書の重要性
被相続人が生前に遺言書を作成しておくことで、遺族の負担を大幅に軽減することが可能です。特に、遺言書があると、海外に住んでいる人との遺産分割協議が不要です。遺産分割協議書を海外に郵送し、それをもって大使館などに行き、署名し、署名証明書を発行してもらい、日本に送り返す必要もありません。
また、財産目録や相続人の情報を事前に整理しておけば、相続人が必要書類を準備する際の手間も削減できます。こうした生前対策を行うことで、相続人全員が安心して手続きに臨むことができ、無用なトラブルの防止にも繋がります。
まとめ: 遺言書で家族の負担を減らそう
相続手続きで遺族が苦労しないためには、被相続人が生前に準備を整えておくことが何より重要です。特に海外に相続人がいる場合、署名証明書や在留証明書といった特有の書類が必要となり、手続きが複雑化する傾向があります。これらの課題に対応するため、相続財産や相続人に関する情報を整理し、遺言書を作成することで、手続きの負担を大幅に軽減することができます。行政書士井戸 規光生事務所では、相続診断士の資格を持つ行政書士が、国外に相続人がいる場合の相続手続きの代行を行っております。また、ご子息など、将来的な相続人が海外に在住している方向けの遺言書の作成サポートを行っております。
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