特定建設業許可に必要な、資本金など財産的要件の条件を中心に解説

特定建設業許可と一般建設業許可の本質的な違いは何でしょうか? それはコチラのブログにもある通り、元請けとして工事を請け負い、そこからさらに下請に出す工事の規模が税込4,500万円(建築一式工事では税込7,000万円)以上になるかどうか、ということです。 一般建設業許可でも、元請けになって、自社から下請に出すことは可能ですが、下請に出す金額が、税込4,500万円(建築一式工事では税込7,000万円)未満でなくてはいけません。大規模の工事を「元請けとして」受けるために必要なのが、特定建設業許可です。

目次

特定建設業取得の要件

許可取得の要件において、特定建設業許可が一般建設業許可より厳しく設定されているのが、専任技術者の要件と財産的要件です。 以下に特定建設業許可に限定して紹介していきます。

専任技術者

・一級の国家資格

または

・一般建設業許可における専任技術者要件を満たし、かつ、4,500万円以上の元請工事に関した、2年以上の指導監督的実務経験*

*ただし、土木一式、建築一式、電気、管、鋼構造物、舗装、造園の7業種では、「一級の国家資格」のみ。

「一般の要件を見たす」+「2年以上の指導監督経験」では認められません。

財産的要件

資本金の額が2,000万円以上である

<資本金とは>

・法人の場合、株式会社は払込資本金、特例有限会社は資本の総額、合資会社や合名会社は出資金額

・個人事業主の場合、期首資本金

自己資本の額が4,000万円以上である

<自己資本とは>

・法人の場合は貸借対照表の「純資産」

・個人の場合は貸借対照表における「期首資本金、事業主借勘定及び事業主利益の合計額から事業主貸勘定の額を控除した額に、負債の部に計上されている利益留保性の引当金及び準備金を加えた額」

流動比率が75%以上である

<流動比率とは>

貸借対照表の流動資産を流動負債で割り、得た数値をパーセンテージで表したもの

  【流動比率 = 流動資産 ÷ 流動負債 × 100】

(例:流動資産合計額が3,000万円、流動負債合計額が4,000万円の場合、流動比率は75%)

欠損の額が資本金の額の20%を超えていない

<欠損の額とは>

・法人の場合は貸借対照表の繰越利益剰余金がマイナスである場合にその額が資本剰余金、利益準備金および任意積立金の合計額を上回る額

・個人の場合は、貸借対照表の事業主損失が事業主借勘定から事業主貸勘定の額を控除した額に負債の部に計上されている利益留保性の引当金及び準備金を加えた額を上回る額

法人の場合は 欠損の額 ÷ 資本金額 × 100 が20%を超えていないこと

個人の場合は 欠損の額 ÷ 期首資本金額 × 100 が20%を超えていないこと

その他の注意ポイント

・一般建設業の許可を得ている企業が、一次下請けで受注した工事の一部を二次下請けに出す金額が4,500万円を超えた場合でも、特定建設業の許可は必要ありません。あくまで元請として受注した工事を一次下請けに出す場合の金額の制限になります。

・一般建設業の許可(とび・土工・コンクリート)を得ている企業が2社の下請業者を使い、下請に出す金額の総額は5,000万円になる場合、1社あたりの下請金額を4,500万円以下にした場合でも、特定建設業許可は必要です。下請先を複数にして、それぞれの金額が4,500円未満でも、合計額が4,500万円以上になったら、特定建設業許可が必要です。

・一般建設業の許可(電気通信工事)を持っている会社が、元請けとして5,000万円の工事を受注し、全てを自社施工する場合、特定建設業許可は必要ありません

・一般建設業の許可(電気)を持っている会社が、業種追加で電気通信を特定で取ることもできます。同一業種で「一般」と「特定」の両方を取ることはできません。

まとめ

行政書士 井戸 規光生 事務所では、建設業許可の申請だけでなく、毎年の事業年度終了届、変更届、更新手続きのサポートや、日々の業務に忙殺される事業者様への、各種手続きの期限管理も承っております。 また、一般建設業許可のままで良いのか、特定建設業許可の取得を目指すべきかのご相談や、特定を目指す場合の許可要件の満たし方についてもサポート、ご助言いたします。初回相談は無料ですので、是非お電話、お問い合わせフォームなどからお問い合わせください。お待ちしております。

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この記事を書いた人

2024年に「行政書士 井戸 規光生 事務所」を設立しました。
建設業、遺言・相続サポート業務に特化した名古屋市南部の地域密着型事務所です。
高校時代はラグビー部に所属。地元名古屋のスポーツチームを応援しています。

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