相続時に知っておきたい特別縁故者の権利と手続き

相続が発生した際、一般的には法定相続人が遺産を受け継ぎますが、法定相続人がいない場合や、相続放棄が行われた場合、遺産はどうなるのでしょうか?そのような状況で注目されるのが「特別縁故者」(詳しくはこちら)という存在です。特別縁故者は、法的な親族ではないものの、亡くなった方と特に深い関係を持っていた人々を指します。例えば、生前に長年介護を行っていた友人や、経済的に支援をしていたパートナーなどが該当する場合があります。

このブログでは、特別縁故者がどのような権利を持ち、どのような手続きによって遺産を取得できるのかを詳しく解説します。相続に関わる方々にとって、特別縁故者制度を理解することは非常に重要です。ぜひ、最後までお読みいただき、必要な知識を身につけていただければと思います。

目次

特別縁故者とは?

相続人がいない場合、特別縁故者という制度があり、これは故人と特に親しい関係にあった人が、法定相続人が存在しない場合に遺産の全額または一部を取得できる制度です。通常、法定相続人がいないと遺産は国に帰属します。しかし、故人と特別に親しい関係があった場合、その人にも遺産を受け取る権利が認められます。たとえば、内縁のパートナーは法定相続人ではないため、遺言がなければ遺産を受け取ることはできませんが、「特別縁故者」として認められれば、遺産の全額または一部を取得できます。

特別縁故者の要件

故人と生計を同じくしていた人

故人と同居して生活していた事実婚のパートナー、事実上の養子や養親など、生計を同じくしていた人たちです。故人より先に亡くなっていた、故人の子の配偶者が特別縁故者と認められたケースもあります。

被相続人の療養看護につとめた人

故人の生前に、献身的に介護を行った人です。介護施設に通って看護した人も特別縁故者となる可能性があります。親族でなくてもかまいませんが、介護士や看護師などが仕事として看護した場合は、特別縁故者になりません。

故人と特別密接な関係にあった人

故人と「特別密接な関係にあった」と認められれば特別縁故者になる可能性があります。例えば、生前特に親しく交流していた友人知人、生前に被相続人が「財産を譲りたい」と言っていた相手が考えられます。愛人は公序良俗に反するものという見方がされますが、もともとは愛人であっても事実婚といえるような状態に発展していれば特別縁故者になれる可能性があります。

法人も認められる可能性

地方公共団体、学校法人、宗教法人、公益法人、福祉法人、法人格のない財団など、法人・団体が特別縁故者になれる可能性もあります。例えば、被相続人が私財を投じて経営してきた学校法人など被相続人が深く関わった法人が認められたケースがあります。

相続人がいたら特別縁故者は遺産をもらえない

特別縁故者が遺産を受け取れるのは、あくまで「相続人がいない場合」に限定です。相続人が1人でもいる場合、特別縁故者は財産をもらえません。生前の故人と不仲であっても、相続人がいた場合は、事実婚のパートナーなどは遺産を受け取れません。

相続人も特別縁故者もいない場合は国有

法定相続人も特別縁故者もいない場合、遺産が土地や建物などで他の人と共有していた「共有物件」の場合、相続人や特別縁故者がいなければ「他の共有者」のものとなります。共有財産もなければ、遺産は国有になります。

特別縁故者にかかる相続税

 特別縁故者として遺産を相続した場合、通常の相続よりも不利になるのが、相続税の計算です。通常の相続の時よりも、相続税の基礎控除額も低くなりますし、配偶者の税額控除や、小規模宅地等の特例も使えません。また、「配偶者・父母・子以外の人が財産を相続した場合、相続税額を2割加算する」という制度も、特別縁故者は当てはまってしまうので、一般的な相続と比べ、特別縁故者の相続税は高額になりやすいのです。 相続税の申告には期限があります。特別縁故者の場合は「財産を受け取れることが分かった翌日から10か月以内」です。通常の相続の申告期限は「被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内」です。特別縁故者としての相続は、通常の法定相続人としての相続の時よりも相続税申告までの時間的猶予はあります。

まとめ

事実婚のパートナーなど、特別縁故者が遺産を受け取るには、「法定相続人がいない」という条件があり、そもそも財産分与のハードルは高いです。そのため、生前に遺言書を書いて、その中で財産を遺贈(詳しくはコチラ)する方が良いでしょう。事実婚のパートナーであれば、相続を考慮し、婚姻届を出して、配偶者となるのも手段の一つです。行政書士 井戸 規光生 事務所では相続診断士の資格を持つ行政書士が、ご依頼者様それぞれの事情に沿って、相続手続きの代行を行います。また、特別縁故者として遺産を遺贈したいなどの事情をお持ちの方には、提携弁護士を、相続税に関するお悩みには税理士を紹介し、ご依頼者様の負担が少ない形で諸手続きを進めてまいります。初回相談は無料ですので、お電話、お問い合わせフォームなどから、是非お気軽にご相談ください。

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この記事を書いた人

2024年に「行政書士 井戸 規光生 事務所」を設立しました。
建設業、遺言・相続サポート業務に特化した名古屋市南部の地域密着型事務所です。
高校時代はラグビー部に所属。地元名古屋のスポーツチームを応援しています。

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