知っておきたい!法務局の自筆証書遺言保管制度の利用方法

遺言書は、遺産分割や相続に関する重要な文書ですが、適切に保管されなければその効力を失う可能性があります。特に自筆証書遺言は、自分で作成できる手軽さがある一方で、紛失や改ざんのリスクが伴います。こうした問題を解消するために、法務局による自筆証書遺言の保管制度が設けられています。

このブログでは、法務局の自筆証書遺言保管制度の利用方法について詳しく解説します。制度の概要から利用手続き、そしてそのメリットまでをわかりやすく説明し、自筆証書遺言を安心して保管できる方法をお伝えします。遺言書の安全な保管を考えている方や、相続手続きをスムーズに進めたい方にとって必見の内容です。ぜひ参考にして、適切な遺言書の保管を実現してください。

目次

遺言書保管制度とは?

遺言書保管制度は、遺言者が作成した自筆証書遺言を法務局が預かり、安全に保管する制度です。これにより、遺言書の紛失や改ざんのリスクを防ぎ、遺言者が亡くなった後の遺言書の検認手続きを簡素化することができます。

これまで自筆証書遺言の制度だけでは、形式不備による無効のリスク、紛失改ざんのリスク、遺言書を発見したら開けずに家庭裁判所で検認(詳しくはコチラ)しなければいけないという負担、遺言者が亡くなっても、遺言書が発見されないというリスクがありました。

 自筆証書遺言の弱点を補う制度である、公正証書遺言は、作成時に高額な費用がかかっていました。(遺産総額が1,000万円を超え3,000万円以下の場合23,000円、3,000万円を超え5,000万円以下の場合29,000円)

 遺言書保管制度では1通3,900円と安く抑えられます。遺言書保管制度は、自筆証書遺言の不安要素をカバーした上で、公正証書遺言よりも遺言書作成者の負担が軽い制度です。

利用方法

まず、自筆証書遺言を正しい形式で作成します。遺言書には全文、日付、氏名を自筆で記載し、押印が必要です。遺言書に不備があると、法務局での預かりができない場合がありますので注意が必要です。次に法務局に事前予約を行い、訪問日時を決定します。

その後、予約日時に法務局を訪問し、遺言書を提出します。この際、遺言者本人が出向く必要があります。遺言書とともに、所定の申請書類を提出し、本人確認を行い、遺言書の預かりを正式に申請します。法務局が遺言書を預かると、「預かり証」が発行されます。この預かり証は、遺言書の保管証明書として重要な役割を果たしますので、大切に保管しておきましょう。

保管制度のメリット

・法務局が遺言書を安全に保管し、遺言書の紛失や改ざんのリスクを防ぎます。

・通常、自筆証書遺言は遺言者が亡くなった後、家庭裁判所での検認手続きが必要ですが、この預かり制度では検認手続きが不要になります。これにより、相続手続きがスムーズに進みます。

・法務局では、職員から遺言の形式が守られているかの確認を受けることができます。自筆証書遺言ではそのような確認は受けられませんでした。

・法務局が遺言者の死亡を確認した際に、法務局で遺言書が保管されていることを相続人等に通知します。自筆証書遺言では、作成した遺言書が相続人に発見されないという危険性がありました。

保管制度のデメリット

・本人にある程度の手間がかかる法務局に出向き、手続きを行う必要があるため、時間と手間がかかります。特に高齢者や遠方に住む方には、手続きが負担になることがあります。

・内容の確認は一切できない。遺言書保管制度では形式の確認はしてもらえるが、内容の確認まではしてもらえません。遺言に書かれた遺産分割方法では、禍根を残す可能性があっても、そうした指摘はしてもらえません。

まとめ

遺言書保管制度は、遺言書の安全な保管と相続手続きの円滑化を図るための有効な手段です。法務局が提供するこの制度を利用することで、遺言書の紛失や改ざんのリスクを防ぎ、遺言者の意思を確実に実現することができます。

行政書士 井戸 規光生 事務所では相続診断士の資格を持つ行政書士が、ご依頼者様それぞれの事情に沿って、迅速な遺言作成のサポート、遺産相続業務を行います。遺言書保管制度を望まれる方への遺言書作成サポートも行っております。また、相続発生後の相続人確定調査、遺産分割協議書の作成、預貯金解約などの手続きも一括でうけたまわります。是非お気軽にご相談ください。

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この記事を書いた人

2024年に「行政書士 井戸 規光生 事務所」を設立しました。
建設業、遺言・相続サポート業務に特化した名古屋市南部の地域密着型事務所です。
高校時代はラグビー部に所属。地元名古屋のスポーツチームを応援しています。

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