知って安心!死後1か月以内に必要な手続きガイド

家族や大切な人を失ったとき、突然の悲しみと同時に多くの手続きに直面することになります。何をどの順番で行えばよいのか、戸惑う方も少なくありません。死亡直後から葬儀の手配や世帯主変更、健康保険、年金、公共料金など、死後14日以内までに行うべき緊急の手続きに関しては以前のブログで解説いたしました。

本記事では、葬儀も終わり少し落ち着いたタイミングで、死後1か月以内にはやっておいた方がよい届出や手続きについて、慌ただしい中でも確実に手続きを進めるためのポイントを分かりやすく解説します。大切な人の思い出を守りつつ、手続きを確実に済ませるための参考にしてください。

目次

生命保険会社への死亡保険金の請求

生命保険の死亡保険金を請求する際は、まず保険会社に連絡を入れ、必要な手続きを確認することが重要です。次に、契約時に発行された保険証券を準備しますが、紛失している場合には、保険会社に再発行の手続きを依頼しましょう。その後、保険金支払い請求書や死亡を証明する書類(死亡診断書や戸籍謄本など)を保険会社が指定する形式で揃え、提出します。これらの書類が確認されると、指定された口座に保険金が支払われます。手続きの流れは保険会社によって異なるため、事前に詳細を確認することがスムーズな受け取りへの鍵です。また、疑問点があれば担当者に相談し、迅速かつ確実に手続きを進めましょう。

運転免許証などの重要書類の返納・保管

運転免許証

故人の運転免許証には返納の義務はありませんが、悪用を防ぐためにも返納することをおすすめします。返納手続きには、故人の運転免許証、死亡診断書や戸籍謄本などの死亡を証明する書類、そして返納を申請する人の身分証明書が必要です。また、免許更新通知が届かないように手続きを行うことも忘れないようにしましょう。これらの手続きは、最寄りの警察署や運転免許センターで行えます。

パスポート

故人のパスポートは旅券法により「遅滞なく返納しなければならない」と規定されています。返納手続きは、パスポートセンターで行います。手続きの際には、故人のパスポート、死亡を証明する書類(死亡診断書や戸籍謄本など)、および返納を行う人の身分証明書を持参してください。返納後は、旅券が無効化されるため安心です。

マイナンバーカード

マイナンバーカードには返納の義務はありません。死亡届が提出されるとカードは自動的に失効するため、通常はそのまま保管しておけば問題ありません。ただし、悪用の心配がある場合は、市町村窓口で返納することも可能です。しかし、相続や納税、保険金の請求などで故人の身分確認が求められる場面もあるため、当面の間は保管しておくことが望ましいです。

葬祭費の申請

葬祭費とは

「葬祭費」とは、故人が国民健康保険または後期高齢者医療制度に加入していた場合に、葬儀が行われたことを条件として、喪主や申請者に支給される給付金です。この制度は、葬儀にかかった費用を一部補助する目的で設けられています。葬祭費を受け取るためには、故人の住所地の市区町村役場で「葬祭費支給申請書」を提出する必要があります。申請期限は葬儀が行われた日から2年以内ですので、早めに手続きを進めることをおすすめします。

支給対象となる条件

葬祭費は、告別式やお通夜などの葬祭を実施した場合に支給されますが、火葬のみの場合は対象外となる場合があります。具体的な条件は自治体ごとに異なるため、事前に確認が必要です。また、葬儀の領収書が申請に必須であり、これがない場合は支給されませんので、紛失しないよう保管しておきましょう。さらに、民間保険や他の給付金で葬儀費用が支払われている場合は、葬祭費を受け取れないこともある点に注意が必要です。

葬祭費は、条件を満たせば家計の負担軽減に役立つ制度です。必要書類をしっかり揃えた上で、自治体の窓口でスムーズに手続きを行いましょう。

埋葬料の申請

埋葬料とは

「埋葬料」とは、故人が全国健康保険協会(協会けんぽ)や健康保険組合の被保険者であった場合に、葬儀費用の一部を補助するために支給される保険給付です。一律5万円が支給され、故人の家族の経済的負担を軽減する目的があります。埋葬料を申請できるのは、原則として故人の家族です。ただし、家族の代わりに埋葬を行った人がいる場合、その人が「埋葬費」として申請することも認められます。この場合、葬儀にかかった費用を証明する書類の提出が必要です。

申請期限と手続き

埋葬料の申請期限は、故人が亡くなった日から2年以内と定められています。必要書類には、健康保険埋葬料(費)支給申請書、死亡を証明する書類、申請者の住民票や故人の住民票の除票などが含まれます。

埋葬料は、一定の条件を満たすことで受け取れる給付金です。期限内に申請を済ませ、葬儀費用の一部を補助として活用しましょう。

高額療養費の申請

高額療養費制度とは

高額療養費制度は、国民健康保険、後期高齢者医療制度、協会けんぽ、健康保険組合などに加入している場合に利用できる制度です。医療費の自己負担額が一定の上限を超えた際、その超過分が払い戻される仕組みです。これにより、医療費の負担を軽減することができます。故人が生前に高額療養費の払い戻しを受ける権利を持っていた場合、その権利は相続財産の一部とみなされます。相続人が代理で申請することが可能です。申請を行う際には、故人が加入していた公的医療保険の窓口で詳細を確認し、必要書類を揃えることが重要です。

申請方法と期限

申請方法は、加入している公的医療保険によって異なりますが、共通して申請期限は2年以内と定められています。早めに手続きを進めることで、払い戻しを確実に受け取れるようにしましょう。

高額療養費制度は、医療費負担の軽減に役立つ重要な制度です。相続人が権利を引き継いで申請できるため、期限を守り、適切な手続きを行うことを心掛けましょう。

復氏届の提出(結婚前の名字に戻す場合)

「復氏」とは、婚姻で名字が変わった人が旧姓に戻すことを指します。特に配偶者と死別した場合、旧姓には自動的に戻らないため、希望する場合は手続きが必要です。復氏届の提出は、裁判所や配偶者の親族の許可を得る必要はなく、本人の意思で自由に行えます。また、この手続きには期限が設けられていません。配偶者の死亡届を市区町村役場に提出した後であれば、いつでも復氏届を提出することが可能です。手続きは、本籍地または住所地の市区町村役場で行います。旧姓に戻すことで各種名義変更が必要になる場合もあるため、事前に影響を考慮してから行うと良いでしょう。

姻族関係終了届の提出(死別した配偶者の親族との関係を終了する場合)

配偶者と死別すると、夫婦の婚姻関係は終了しますが、配偶者の父母などとの義理の親族(姻族)関係は法律上そのまま続きます。この関係を解消するための手続きが「姻族関係終了届」です。この届出は、申請者の単独の意思で行うことができ、裁判所の許可や義理の親族からの同意は不要です。手続きは、本籍地または現住所の市区町村役場で行います。必要書類は、姻族関係終了届、戸籍謄本(全部事項証明書)、申請者の身分証明書、印鑑です。これにより義理の親族との法律上の関係を終了させることが可能です。法的な関係を整理したい場合に検討するとよいでしょう。

まとめ

適切な手続きを行うことは、残された家族の生活を支え、安心感をもたらす大切な要素です。特に、給付金の申請を忘れずに行うことで、経済的な負担も軽減できます。また、行政書士などの専門家に相談することで、手続きの漏れを防ぎ、複雑な手続きをスムーズに進めることが可能です。時間的・精神的な負担を軽減するためにも、専門家のサポートを積極的に活用しましょう。確実な手続きが、家族の将来を守る一歩となります。

 行政書士井戸 規光生事務所では、大切な親族を亡くされて、急ぎの手続きに追われる方のサポートを行っております。生前より死後事務委任契約を締結して、ご遺族の負担を軽減させることも可能です。その後の遺産分割におきましても、相続税関連のお悩みには提携税理士を、遺産分割協議で争いが生じてしまった場合には提携弁護士を、不動産登記が必要な場合には提携司法書士をご紹介することで、ご依頼者さまの負担が少ない形で、その後の手続きを進めてまいります。初回相談は無料でございます。ぜひお電話(052-602-9061)もしくは、Eメール ido.kimioアットマークofficeido.com、お問い合わせフォームなどからご連絡ください。お待ちしております。

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この記事を書いた人

2024年に「行政書士 井戸 規光生 事務所」を設立しました。
建設業、遺言・相続サポート業務に特化した名古屋市南部の地域密着型事務所です。
高校時代はラグビー部に所属。地元名古屋のスポーツチームを応援しています。

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