絶対使わないで!遺言書で避けるべき表現ワースト10

遺言書は、財産や想いを次世代に正確に伝えるための大切な文書です。しかし、曖昧な表現が含まれていると、意図しないトラブルや争いを招く可能性があります。せっかく遺言書を作成しても、受け取る側がその内容を正しく理解できなければ、家族間の不和や法的な争いに発展することも少なくありません。この記事では、遺言書作成時に避けるべき曖昧な表現10個と、その解釈の違いがもたらす影響について解説します。

目次

ワースト10~7位   「渡す」「処分」「一部」「任せる」

10位  渡す:何をどのように渡すのかが明確ではありません、そのため、受け取り方によって解釈が異なります。この他に「託す」「委ねる」「残す」「与える」「譲る」「やる」「継がせる」も同様に意味が曖昧で解釈の仕方が異なります。

9位  残った財産は処分してよい:「処分」の具体的方法や対象の範囲が不明確で、解釈の余地が生じます。

8位  財産の一部を:どの部分を指しているのかが不明確になるため、混乱を招きます。

7位   任せる:任せる範囲が明確でない上に、具体的な指示が不足しています。 例えば「好きなように使ってしまってよい」なのか「運用せよ」なのかわかりません。

ワースト6~4位   「必要」「十分」「可能」

6位  必要に応じて:何が「必要」なのかが曖昧で、相続人の判断に委ねられる部分が大きくなります。

5位  十分に考慮した上で:「十分に」の基準が不明確で、相続人間で解釈が異なる可能性があります。

4位  可能な限り:どの程度を指すのかが不明確で、意図が伝わりにくくなります。

   

ワースト3~1位  「信頼できる」「適当な」「仲良く」

3位 信頼できる人に~:具体的に誰なのかを明示しないと、信頼の基準や対象が曖昧になります。

2位  適当な額を:具体的な金額を示さないと、解釈が分かれてしまう可能性があります。

 1位  兄弟仲良く分ける:仲良く分ける方法が具体的に定められていないと、逆に争いが生じる可能性があります。

使ってよいのはこの2つ

「相続させる」:相続人に財産を譲る場合

「遺贈する」:相続人以外に財産を譲る場合

 「相続」と「遺贈」は、いずれも特定の人に遺産を取得させるための制度ですが、「相続させる」は、相続人に対してしか使うことができません。一方「遺贈する」は、相続人でない人に対して遺産を取得させたい場合にはこちらの制度を利用します。 ここで注意していただきないのは、「相続」は、たとえ遺言書を書いておかなくても死後自動的に発生しますが、「遺贈」(=相続人でない人に自分の遺産を取得させる。詳しくはコチラコチラ)は遺言書に書いておかないと発生しないということです。

財産を特定する表現は?

不動産の場合

不動産を特定するには住所ではなく、地番、家屋番号などを書きます。

土地の場合  所在 地番 地目 地積 を書きます

建物の場合  所在 家屋番号 種類 構造 床面積 を書きます

不動産の詳細情報は、固定資産税納付通知書に書かれている地番と家屋番号を使って、土地や建物の履歴事項全部証明書(登記簿謄本を法務局に請求することで確認しましょう。住所しか分からなくても、窓口で問い合わせることができます。

金融資産の場合

金融資産の場合は銀行名 支店名 口座の種類 口座番号 を書きます。遺言書を書いた時と死亡した時で残高が変わってしまうので、金額までは書きません。また、遺言書を書いた後に所有した有価証券が書かれていないという事態を避けるために、「その他一切の金融資産も合わせて相続させる」との一文も書き加えるとよいでしょう。

まとめ

 遺言書においては、曖昧な表現を避け、具体的かつ明確な用語を使用することが重要です。「相続させる」、「遺贈する」という言葉を使うことで、遺言の内容が明確になり、誤解や争いを防ぐことができます。表現が曖昧になってしまうという事態は公正証書遺言では基本的に起こらず、自筆証書遺言や、秘密証書遺言(詳しくはコチラ)で起こりえます。曖昧な表現の遺言書は無効になるわけではありませんが、その解釈を巡って相続人同士で争いになると、裁判になってしまいます。そうした事態を防ぐためにも、遺言書には明確な表現をしましょう。 行政書士 井戸 規光生 事務所では相続診断士の資格を持つ行政書士が、ご依頼者様それぞれの事情に沿って、遺言書作成のサポート、相続関連手続きの代行を行っています。遺言書作成にあたっては、法的に有効な遺言書を作成するためのアドバイスや、曖昧な表現を避けるアドバイスも行っております。また、相続時に登記が必要な際には司法書士を、相続税に関するお悩みには税理士を、また、万が一相続人間でのトラブルが発生した場合には提携の弁護士を紹介し、ご依頼者様の負担が少ない形で諸手続きを進めてまいります。初回相談は無料でございます。お問い合わせフォームやお電話などで、是非お気軽にご相談ください。ご連絡お待ちしております。

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この記事を書いた人

2024年に「行政書士 井戸 規光生 事務所」を設立しました。
建設業、遺言・相続サポート業務に特化した名古屋市南部の地域密着型事務所です。
高校時代はラグビー部に所属。地元名古屋のスポーツチームを応援しています。

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