解体工事業の開業マニュアル!許可・登録のポイント

解体工事業の開業を考えている方に向けて、本記事では必要な許可や登録のポイントをわかりやすく解説します。解体業は建設業の一分野であり、無許可での営業は法律違反となるため、適切な手続きを踏むことが重要です。事業を始めるには、「建設業許可」または「解体工事業登録」の取得が必要であり、それぞれの要件や手続きが異なります。本記事では、解体業を開業するための基本的な流れから、許可・登録の具体的な申請方法を詳しくご紹介します。これから解体工事業を始める方が確実に第一歩を踏み出せるよう、ぜひ最後までお読みください。

目次

解体工事業とは? 基本的な事業内容と役割

解体工事業とは、建築物や構造物を撤去し、土地を更地に戻す工事を行う業種です。古くなった建物を取り壊すだけでなく、リフォームや再開発に伴う部分的な解体、危険な建造物の撤去なども含まれます。また、解体作業には適切な手順と安全対策が求められ、専門的な技術や知識が必要です。特に、法令に基づいた適切な解体と廃棄物処理を行うことが求められます。

解体工事の流れ

解体工事は、主に以下の4つのステップで進められます。

  1. 事前調査
    解体を行う前に、建物の構造や使用されている建材を調査します。
  2. 施工計画の作成
    解体工事の方法を決定し、安全な作業手順を計画します。
  3. 解体作業
    内装や設備の撤去を行い、その後に建物本体の解体を進めます。
  4. 廃棄物処理
    解体後に発生した廃材は、建設リサイクル法に基づいて適切に処理する必要があります。

解体工事の市場と今後の需要

近年、日本では老朽化した建物の増加に伴い、解体工事の需要が高まっています。特に、高度経済成長期に建設された住宅や商業施設が耐用年数を迎え、多くの建物が建て替えの時期に差し掛かっています。また、都市の再開発や空き家対策の推進により、解体工事の必要性は今後も増えると予想されます。

②解体工事業の開業に必要な許可と登録

建設業許可とは?

解体工事業を始める際、工事の規模に応じて「建設業許可」の取得が必要になります。この許可は、1件の請負金額が500万円以上(消費税含む)の工事を行う場合に求められます。許可を取得することで、大規模な案件を受注できるため、安定した事業運営につながります。

許可を取得するためには、以下の要件を満たす必要があります。

  1. 経営業務管理責任者の設置
    • 建設業に関する一定の経験を持つ者を経営業務管理責任者として配置することが求められます。
  2. 専任技術者の配置
    • 解体工事の専門的な技術を持つ者を営業所ごとに配置し、技術的な管理を行わせることが必要です。
  3. 財産的基礎の確保
    • 一定額の自己資本または預貯金を有することが条件となります。
  4. 欠格要件
    • 過去に法令違反などがなく、適正な経営ができる者であることが求められます。
  5. 誠実性
  6. 詐欺、脅迫、横領などの請負契約やその履行において「不正な行為」又は「不誠実な行為」をすることが明らかな場合は、建設業の許可を取得できません。
  7. 社会保険
  8. 社会保険(健康保険、厚生年金保険、雇用保険など)への加入が要件となっています。
  9. 営業所
  10. 解体工事業を含む建設業を運営するためには、正式な営業所を構えていることが必要です。

建設業許可は29の業種に分かれています。「解体工事業」の他に「建築一式」、「土木一式」の業種で許可を得ている業者は解体工事業登録なしで、500万円未満の解体工事を請け負うことができます。

解体工事業登録とは?

「解体工事業登録」は、請負金額が500万円未満の解体工事を行う場合に必要な手続きです。この登録は、比較的小規模な工事を請け負う事業者向けであり、都道府県ごとに申請が必要です。(建設業許可はある都道府県の知事許可を受けて、他の都道府県での仕事を請け負うことができます。)解体工事業登録には、建設リサイクル法により定められた技術管理者(工事現場における解体工事の施工の技術上の管理を行う者)を選任しなければなりません。技術管理者は、一定の有資格者または実務経験者である必要があります。

有資格者による登録申請の場合

資格・試験名種 別
建設業法による技術検定・一級建設機械施工技士
・二級建設機械施工技士(第一種、第二種)
・一級土木施工管理技士
・二級土木施工管理技士(土木)
・一級建築施工管理技士
・二級建築施工管理技士(建築、躯体)
技術士法による第二次試験・技術士(建設部門)
建築士法による建築士・一級建築士
・二級建築士
職業能力開発促進法による技能検定・一級とび、とび工
・二級とび+解体工事経験1年
・二級とび工+解体工事経験1年
国土交通大臣が指定する試験※・解体工事施工技士試験合格者

実務経験者による登録申請の場合(必要経験年数)

区 分実務経験のみ国土交通大臣指定の
講習受講者※
一定の学科を履修した大学・高専卒業者2年1年
一定の学科を履修した高校卒業者4年3年
上記以外8年7年

どちらを取得すべき?

建設業許可と解体工事業登録のどちらを取得すべきかは、事業の規模や目標によって異なります。

  • 将来的に500万円以上の工事を請け負いたい場合
    → 建設業許可を取得することで、大型案件を受注し、事業の拡大が可能になります。
  • 小規模な解体工事を中心に行う場合
    → 解体工事業登録のみで対応可能ですが、将来的に事業を拡大する予定がある場合は、建設業許可の取得も検討すべきです。

建設業許可の取得要件は厳しいため、まずは解体工事業登録からのスタートが一般的です。

建設業許可申請の流れ

1. 申請に必要な書類

建設業許可を申請するために必要な書類は こちらのリンクに詳細があります。

(愛知県)https://www.pref.aichi.jp/site/kensetsugyo-fudosangyo/dl-page-kyoka.html

2. 申請先

申請の提出先は、事業の範囲によって異なります。

  • 都道府県知事:1つの都道府県内で営業する場合
  • 国土交通大臣:2つ以上の都道府県にまたがる営業を行う場合 県ごとではなく、地方ごとに定められた開発局や整備局、総合事務局に提出。

3. 申請にかかる期間と費用

建設業許可の審査には時間がかかるため、余裕を持って申請することが重要です。

  • 審査期間:概ね1〜3ヶ月
  • 申請費用:
    • 知事許可:90,000円(新規申請の場合)
    • 大臣許可:150,000円(新規申請の場合)

4. 許可取得後の維持管理

建設業許可を取得した後も、適切な管理が求められます。

  • 5年ごとの更新(更新申請を怠ると許可が失効する)
  • 帳簿の管理(工事台帳や契約書の保存義務)
  • 決算変更届(都道府県によっては事業年度終了届)の提出(毎年、決算後4ヶ月以内に提出が必要)

②解体工事業登録の流れ

1. 申請に必要な書類

500万円未満の解体工事を行う場合は、解体工事業登録が必要です。登録を申請するために必要な書類は こちらのリンクに詳細があります。(愛知県)

https://www.pref.aichi.jp/site/kensetsugyo-fudosangyo/dl-page-kaitaitouroku.html

2. 申請先

解体工事業登録の申請は、工事を行う都道府県知事に提出します。営業所が複数の都道府県にある場合は、それぞれの都道府県に申請する必要があります。

3. 申請にかかる期間と費用

解体工事業登録の審査は比較的短期間で完了します。

  • 審査期間:概ね15日程度(休日含まず)
  • 登録費用:33,000円(愛知県の場合。都道府県により異なる)

4. 登録後の維持管理

解体工事業登録をした後も、継続的な管理が必要です。

  • 5年ごとの更新(有効期限の6ヶ月前〜3ヶ月前には更新手続きを開始することが推奨されています。)
  • 技術管理者の選任維持(退職や異動があった場合は速やかに変更届を提出)
  • 帳簿の管理(工事記録の保存義務あり)

開業後に注意すべきポイント

解体工事業を円滑に運営するためには、開業後も継続的に注意すべき点がいくつかあります。特に、安全管理、廃棄物処理の適正化、法改正への対応は、事業の信頼性を高めるうえで欠かせません。

安全管理の重要性

解体工事は高所作業や重量物の取り扱いが多く、労働災害を防ぐための安全対策が不可欠です。具体的には、ヘルメットや保護具の着用徹底、重機の適切な使用、作業員同士のコミュニケーション強化が求められます。また、安全教育の実施や危険予知活動(KY活動)を行い、リスクを未然に防ぐことが重要です。さらに、専門的な作業を行うためには、解体工事施工技士やアスベスト関連資格(石綿作業主任者、建築物石綿含有建材調査者)などの取得が推奨されます。資格を持つことで、安全な工事の実施が可能となり、顧客の信頼獲得にもつながります。

廃棄物処理の適正化

解体工事では大量の建設廃棄物が発生するため、建設リサイクル法の遵守が必須です。コンクリート、木材、金属などの資材は適切に分別し、リサイクルを促進することで、環境負荷の軽減に貢献できます。

また、産業廃棄物処理の手続きを適正に行うことも重要です。解体業者は、廃棄物の運搬・処分を許可業者に委託し、マニフェスト(産業廃棄物管理票)を適切に管理する必要があります。不法投棄は厳しく罰せられるため、法令を遵守した廃棄物処理を徹底しましょう。

法改正や規制のチェック

建設業界では、法律や規制が頻繁に改正されるため、最新の建設業法や自治体ごとのルールに対応することが重要ですまた、解体工事業の登録更新(5年ごと)や建設業許可の更新(5年ごと)を忘れないよう、定期的に行政の情報をチェックし、必要な手続きを確実に行いましょう。

まとめ:解体工事業を成功させるために

解体工事業を成功させるためには、まず建設業許可もしくは解体工事業登録の手続きを正しく進めることが重要です。建設業許可や解体工事業登録を適切に取得し、法令を遵守した運営を心がけましょう。次に、事業計画を明確に立て、安定的な受注につなげることが求められます。資金計画や営業戦略をしっかり策定し、信頼できる取引先や元請け業者との関係を築くことが成功の鍵となります。また、安全管理と廃棄物処理のルールを守ることも欠かせません。労働災害の防止や適正な産業廃棄物の処理を徹底し、信頼される事業運営を目指しましょう。行政書士 井戸規光生 事務所では、建設業許可や解体工事業登録のサポートをしております。初回相談は無料で実施しております。お電話(052-602-9061)、FAX(050-1545-5775)、お問い合わせフォーム、もしくはEメール ido.kimioアットマークofficeido から、ぜひお気軽にお問い合わせください。あなたの事業の成功を全力でサポートいたします!

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この記事を書いた人

2024年に「行政書士 井戸 規光生 事務所」を設立しました。
建設業、遺言・相続サポート業務に特化した名古屋市南部の地域密着型事務所です。
高校時代はラグビー部に所属。地元名古屋のスポーツチームを応援しています。

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