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遺言書での遺贈:知っておきたい基礎知識と手続き(後編)
今回は「遺贈」の後編です。前回(リンクはコチラ)触れた、包括遺贈と特定遺贈の違い、遺留分に関する注意点を中心にお届けします。
包括遺贈とは
包括遺贈とは、財産内容を具体的に指定せずに行う遺贈のことで、「全財産を~に遺贈する」や、「全ての遺産の1/2、を~に遺贈する」とすると、包括遺贈です。
包括遺贈の場合、マイナスの負債(つまり、借金、債務)も遺贈されてしまいます。遺贈の割合だけが指定されていても、内容が決まらないので、受遺者は遺産分割協議に参加して、どの遺産をどれだけ引き継ぐか決定しなければなりません。もともと相続人ではなかった受遺者が遺産分割協議書協議に参加することになるので、他の相続人との間でもめる可能性はあります。
相続人以外の人へ包括遺贈してしまうと、受遺者に負担がかかる恐れがあるので、慎重な検討が必要です。
特定遺贈とは
「特定遺贈」とは、財産を指定して行う遺贈のことで、「X銀行の普通預金200万円を、姪であるYに遺贈する」と遺言することで、特定遺贈になります。特定遺贈の受遺者が法定相続人でない場合は、遺産分割協議に参加する必要がありません。すぐに遺産を受け取れます。また負債も引き継ぐ必要はありません。
特定遺贈の注意点
・不動産取得税
法定相続人が不動産を相続しても、不動産取得税はかかりませんが、法定相続人以外の人が特定遺贈により不動産を取得すると不動産取得税がかかります。
・遺産が失われる危険性
特定遺贈により「X銀行の普通預金」のように指定されていた財産が、遺言書作成から、被相続人が死亡するまでの間に失われると無効になってしまいます。
・遺留分によるトラブル
価値が高い財産を特定遺贈で受け取ってしまうと、相続人が最低限受け取れる遺産の割合(=遺留分、詳しくはコチラ)を侵害してしまう危険があります。そうなると、相続人から受遺者に対し、遺留分侵害額請求が行われる危険があります。
遺贈にかかる税金は、相続税
遺贈すると、相続税がかかる可能性があります。「法定相続人以外に遺贈するためには遺言書で「遺贈する」と書かねばならない、「相続させる」と書いてはならない」にも関わらず、遺贈を受けた人にかかる可能性があるのは「相続税」です。
遺贈の放棄について
遺贈されてもそれを引き継ぎたくない場合は、相続放棄(詳しくはコチラ)することができます。「包括遺贈」と「特定遺贈」で放棄の方法が異なります。
包括遺贈の場合、相続があったことを知ってから3か月以内に家庭裁判所で包括遺贈の放棄を申し述べければなりません。
特定遺贈の場合は、期限はありません。家庭裁判所での手続きも不要です。他の相続人に「遺贈を受けない」と伝えるだけです。
まとめ
遺言書で、遺贈を行う際には遺言執行者の指定や、遺留分への配慮などの適切な対応が必要です。また遺贈を受ける側になった時も、遺贈の知識が必要です。遺贈をする側、受ける側のどちらの立場でも、後々の法的トラブルを避けるため、行政書士などの専門家に相談しながら行いましょう。
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