受付時間:平日9時〜19時
遺言書のギモン解決!行政書士が答えるQ&A
遺言書は「家族への最後のメッセージ」とも言える大切なもの。でも「どう書くの?」「誰に必要?」など疑問も多いですよね。本記事では、よくある質問に行政書士がわかりやすくお答えします!これまでのブログで解説した項目もありますが、これを読めば遺言書の基本がスッキリ理解できます。遺産トラブルを防ぐ第一歩、始めてみませんか?
Q 1遺言書が書けるのは何歳から?
A遺言書は、15歳以上であれば作成することができます(民法961条)。未成年でも15歳を超えていれば、親権者の同意なしに法的に有効な遺言書を作成する権利があります。ただし、意思能力が必要とされるため、判断能力がしっかりしていることが前提です。
遺言書を作る年齢に制限はありませんが、高齢になるほど健康状態や判断能力について争いが生じる可能性があるため、早めの作成がおすすめです。
Q 2遺言書に有効期限はある?
A遺言書には有効期限はありません。一度作成した遺言書は、それを取り消す遺言書が作成されるまで有効です。ただし、以下の点に注意が必要です。
・書き直しは可能-遺言書は何度でも書き直すことができます。最新の日付の遺言書が優先されるため、内容を変更したい場合は新しいものを作成しましょう。
・無効になるケースもある―遺言書が法律の形式を守っていない場合(例:自筆証書遺言で日付や署名、押印がない)、そもそも効力が認められないことがあります。定期的に専門家に内容を確認してもらうと安心です。
適切に保管し、必要に応じて見直しを行えば、遺言書は生涯にわたって有効であり続けます。
Q 3遺言書を取り消したい場合は?
A遺言書を取り消したい場合、以下の方法で簡単に取り消すことができます。法律(民法1022条~1026条)では遺言の自由な撤回が認められています。
・新しい遺言書を作成する―遺言書は、最新の日付のものが優先されます。そのため、新しい遺言書を作成し、以前の遺言書を明確に「無効」と記載すれば取り消しが成立します。
・遺言書を破棄する―手元にある遺言書を自ら破り捨てたり焼却したりすることで取り消すことが可能です。
・遺言内容と矛盾する行為を行う―たとえば、遺言書で「Aに家を相続させる」と記載していた場合でも、その家を売却してしまえば、その部分の遺言は無効になります。ただし、この方法は明確な取り消しとは言えないため注意が必要です。
・公正証書遺言の場合は手元に原本がなくても、公証役場に記録が残っているため、取り消すためには新しい遺言書を作成するのが確実な方法です。
取り消しが適切に行われていないと、意図しない内容が残る可能性があるため、行政書士や弁護士に相談することをおすすめします。遺言書は簡単に取り消せる仕組みがあるため、ライフステージの変化に合わせて遺言書を見直しやすくなっています。
Q4 無理に書かされた遺言書も有効になってしまうの?
A無理に書かされた遺言書は無効です。
遺言書の作成には、遺言者本人の自由な意思が必要であり、強制や脅迫、詐欺によって書かれたものは法的に無効とされます(民法1025条)。
- 強制や脅迫
- 家族や他者から「書かないと困る」などと脅されて作成した場合、自由意思が否定され無効となる可能性があります。
- 詐欺や誤解
- 「この内容を書けば税金が免除される」といった嘘を信じて作成した場合も、意思表示の瑕疵(不完全さ)があるとみなされます。
- 本人が内容を理解していない
- 高齢や病気などで遺言者が遺言の意味や影響を理解できない状態で書かされた場合も、無効とされる可能性があります。
無効を主張するには、遺言書が開示された後、家庭裁判所で遺言無効確認訴訟を起こす必要があります。この際、無理に書かされた証拠(脅迫のメールや録音、証人の証言など)が求められます。
脅迫や強制、詐欺による遺言を未然に防ぐ方法
- 公正証書遺言の作成:公証人の立ち会いのもと作成するため、強制や詐欺があった場合でも証拠が残りやすく、信頼性が高いです。
- 専門家の立ち会い:行政書士や弁護士に依頼して作成することで、公平性を確保できます。
Q5 認知症でも遺言書は有効?
A遺言書作成時に認知症だった場合でも、その有効性は「意思能力」があったかで判断されます。意思能力とは、自分の行為の意味や結果を理解し判断できる能力を指します。認知症でも軽度で意思能力が認められれば遺言書は有効です。証明には、医師の診断書取得や公正証書遺言の利用、専門家の立会いが有効です。作成時の意思能力が争点になる可能性があるため、早めの準備と適切なサポートを受けることが重要です。
Q 6お腹の中の胎児も相続人になれる?
Aお腹の中の胎児も相続人になれます。民法886条では胎児を「すでに生まれたもの」とみなす規定があり、相続において権利が認められます。母親が子どもを身ごもっている間に父親が亡くなったケースなどです。ただし、実際に相続権を得るには生まれてくることが条件です(死産の場合は無効)。相続分は他の相続人と同様に計算され、生まれた後に正式に分配が行われます。胎児が相続に関わる場合は専門家の助言を受け、適切に対応することが重要です。
Q 7夫婦共同での遺言書は書ける?
A夫婦共同で遺言書を作成することはできません。民法975条では、「遺言書は各人が単独で作成する必要があり、共同遺言は禁止」と定められています。これは、一方がもう一方の意思に影響されるリスクを避けるためです。それぞれが個別に遺言書を作成し、内容を調整する方法を取るのが一般的です。特に財産分与や子どもの遺留分に関する事項は慎重に記載する必要があるため、専門家の助言を受けることをおすすめします。
Q 8遺言書と遺書ってどう違うの?
A遺言書は日付や署名、押印など法律で定められた条件を満たして初めて意味をなし、法的拘束力があります。それに対して遺書は、自分が亡くなることを前提に自分の気持ちを家族やしたしい友人に書き残すものです、遺書にはエンディングノートなどと同様に法的拘束力がありません。
Q 9遺言書が2通見つかった時はどうすればいいの?
A日付の新しいものが優先されます。紙質などから、明らかに新しいと思われる遺言書でも、日付がないと無効です。古いと思われる遺言書でも、日付などの条件をすべて満たしている場合は、そちらが有効です。いずれにせよ、2通の遺言書は混乱の元なので、遺言書を書き直した場合は、古いものを破棄することが重要です。
Q 10再婚相手の連れ子は相続人になれる?
A血縁関係がない場合はそのままでは相続人にはなれません。もし連れ子に遺産を相続させたいなら、養子縁組をしておく必要があります。
Q 11法定相続分と異なる遺産の分け方を指定してもいいの?
A遺言書で法定相続分と異なる分割を指定することも可能です。そもそも、法定相続分は一応の目安に過ぎません。
また、遺言書のない相続でも、相続人全員の合意があれば、法定相続分と違う配分をしても問題ありません。
Q 12相続人に行方不明者、音信不通者がいる場合は?
A 音信不通の相続人の相続分を遺言書でゼロにすることは、法律上可能ではありますが、慎重に進める必要があります。特に遺留分という、法的に最低限認められた相続分があるため、相続分をゼロにされた相続人が後にそのこと(自分の相続分がゼロにされたこと)に気づいたときには、遺留分侵害額請求という裁判上の要求をすることができます。
遺言書がない相続の場合で、行方不明・音信不通の相続人がいる場合はもっと複雑です。行方不明者でも相続人に変わりはないので、行方不明者を除外して遺産分割協議をしても無効です。相続手続きの中で、被相続人(故人)の生まれてから亡くなるまでの全ての戸籍を提出する必要があるため、そこで、行方不明者の相続人がいることがわかってしまいます。その人の署名、押印のない遺産分割協議書は認められません。 行政書士は「相続人の確定、捜索」を業務として行えるので、行政書士に依頼して探すことも可能です。どうしても見つからない場合は「不在者財産管理人選任」「失踪宣告」という方法もあります。
Q 13遺産の一部を寄付したいが、、、?
A遺言書で遺贈という形をとって寄付をすることができます。
Q 14ペットに遺産を相続させられる?
Aペットにたいして財産を相続させることはできません。ペットが心配な場合はお世話をしてくれる人に対して、負担付贈与(犬の世話をする条件で財産を贈る)の遺言書を書くことができます。
まとめ
いかがでしてでしょうか?遺言書や相続には勘違いしやすいポイントがあり、知らずに放置することで、思わぬ損失や負担をこうむる危険があります。遺言書を書くことは、「自分の死と向き合うこと」で、決して精神的に楽なことではありませんが、遺言書があることで防げるトラブルがたくさんあります。行政書士井戸 規光生事務所ではご依頼者さまの様々な事情に応じて、遺言書の作成サポートや、相続手続きの代行を行っております。初回相談は無料でございます。ぜひお電話や相談フォームからお問い合わせください。ご連絡お待ちしております。