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離婚、再婚後の相続は?元配偶者・現配偶者・子どもたちの権利を解説!

人生にはさまざまな転機がありますが、離婚や再婚は特に大きなライフイベントのひとつです。家庭の形が変わることで、人間関係だけでなく「相続」の仕組みも大きく変わることをご存じでしょうか? たとえば、離婚した元配偶者に相続権はあるのか、前の配偶者との間の子どもはどうなるのか、再婚相手やその連れ子には権利があるのか——。こうした疑問は意外と多くの方が抱えています。相続トラブルを防ぐためには、これらの権利関係を正しく理解し、事前に備えることが大切です。本記事では、元配偶者・現配偶者・子どもたちの相続権について分かりやすく解説します。離婚や再婚を経験された方はもちろん、将来に備えたい方もぜひ参考にしてください。
離婚した元配偶者に相続権はある?
離婚した元配偶者に相続権はない
結論から言えば、離婚した元配偶者には相続権はありません。相続権は、法律上の配偶者に与えられる権利であり、民法の規定により、離婚が成立した時点で婚姻関係が解消されるため、自動的に相続権も消滅します。そのため、たとえ婚姻期間が長く、経済的なつながりがあったとしても、元配偶者が法律上の相続人となることはありません。
生命保険の受取人に指定されている場合
ただし、生命保険の契約において元配偶者が受取人に指定されている場合は、離婚後もそのまま有効となることがあります。生命保険の死亡保険金は、相続財産とは別に「受取人固有の財産」として扱われるため、契約が変更されない限り、元配偶者が受取人として保険金を受け取ることができます。離婚後に見直しをしないと、意図せず元配偶者に保険金が支払われる可能性があるため、注意が必要です。
元配偶者に財産を残したい場合
もし、離婚後も元配偶者に財産を遺したい場合は、遺言書を作成する必要があります。遺言書があれば、相続とは別に「遺贈」という形で財産を分け与えることが可能です。ただし、法定相続人である子どもや再婚相手の配偶者には遺留分の権利があるため、内容によってはトラブルになる可能性もあります。元配偶者に確実に財産を渡したい場合は、生命保険の活用や生前贈与も検討するとよいでしょう。
離婚した元配偶者との間の子どもの相続権は?
実子であれば相続権は変わらない
離婚によって夫婦関係は解消されますが、親と子の関係は変わりません。そのため、実子であれば離婚後も親の法定相続人であり続けます。親が亡くなった際には、法律で定められた相続分を受け取る権利を持ち、再婚後に新しい家庭を築いたとしても、その権利が失われることはありません。
疎遠になることで発生する問題
ただし、離婚後に親子関係が疎遠になっていると、遺産分割協議がスムーズに進まないことがあります。相続人同士の意思疎通が難しくなると、遺産の分割方法を決める際にトラブルが生じることも少なくありません。特に、故人の再婚相手やその子どもと面識がない場合、話し合いが難航することが多いのが現実です。
遺留分の権利にも注意
また、実子には遺留分という最低限の取り分が保証されています。たとえ親が遺言で「全財産を再婚相手に渡す」と指定しても、実子は遺留分を請求することが可能です。そのため、再婚後の家庭と先妻の子どもとの間で遺産争いが起こるケースも珍しくありません。トラブルを防ぐためには、事前に遺言書を作成し、遺産の分け方について明確にしておくことが重要です。
再婚相手の相続権は?
正式な婚姻関係なら法定相続人になる
再婚相手であっても、法律上の配偶者であれば相続権を持ちます。婚姻届を提出し、正式に結婚している場合、民法の規定により法定相続人として認められ、一定の相続分が保障されます。
配偶者の法定相続分
配偶者の相続分は、相続人の組み合わせによって異なります。
- 配偶者と子どもがいる場合 → 配偶者の相続分は1/2
- 配偶者と直系尊属(親や祖父母)のみが相続人の場合 → 配偶者の相続分は2/3
- 配偶者と兄弟姉妹のみが相続人の場合 → 配偶者の相続分は3/4
- 配偶者のみが相続人の場合 → 全額相続
内縁関係(事実婚)の場合は相続権なし
一方で、内縁関係(事実婚)では法定相続権が認められません。たとえ長年連れ添っていても、法律上の配偶者とは見なされず、相続財産を受け取ることはできません。ただし、遺言書を作成すれば、遺贈という形で財産を残すことが可能です。
先妻の子ども vs 再婚相手の対立に注意
相続では、先妻の子どもと再婚相手が対立するケースが多く見られます。特に、被相続人が遺言を残していない場合、相続分を巡って争いが起こりやすくなります。トラブルを防ぐためには、生前に財産の分け方を明確にし、必要に応じて遺言書を作成することが重要です。
現配偶者との間の子どもの相続権は?
法定相続人として当然の権利を持つ
現配偶者との間に生まれた子どもは、被相続人の実子であるため、法定相続人として当然の相続権を持ちます。相続の際には、元配偶者との間の子どもと同じ権利を持ち、相続割合にも差はありません。
相続割合は他の実子と同じ
民法では、親の子どもであれば、婚姻の有無や生まれた時期にかかわらず平等に扱われます。そのため、現配偶者との間の子どもと、元配偶者との間の子どもは、どちらも同じ割合で相続する権利を持ちます。例えば、子どもが2人(異母兄弟)いる場合、相続分はそれぞれ同党となります。
異母兄弟・異父兄弟間のトラブルに注意
しかし、相続財産の分割を巡って、異母兄弟や異父兄弟間で対立が生じるケースは少なくありません。特に、親が再婚後に別の家庭を築き、元配偶者との間の子どもと疎遠になっている場合、遺産分割協議が難航することがあります。こうしたトラブルを防ぐためには、生前に遺言書を作成し、遺産の分配を明確にしておくことが重要です。
再婚相手の連れ子に相続権はあるのか?
養子縁組をしない限り相続権はない
再婚相手の連れ子は、法律上、被相続人と血縁関係がないため、相続権を持ちません。たとえ長年一緒に暮らしていても、親子関係が法的に認められていなければ、相続財産を受け取ることはできません。
養子縁組で実子と同じ相続権を取得
しかし、被相続人が連れ子と養子縁組をすれば、実子と同じ相続権を取得できます。養子縁組によって法的な親子関係が成立するため、他の実子と平等に相続できるようになります。
連れ子に財産を残す方法
養子縁組をしない場合でも、遺言書を作成すれば、遺贈という形で財産を残すことが可能です。また、生命保険の受取人に指定する方法も有効です。相続トラブルを避けるためには、早めの対策が重要です。
非嫡出子とその親の相続権は?
非嫡出子も実子として相続権を持つ
非嫡出子(被相続人と、法律婚の関係にない人との間の子)であっても、法律上の実子であれば相続権を持ちます。かつては、非嫡出子の相続分は嫡出子(法律婚の子)の半分とされていましたが、2013年の民法改正により、現在は嫡出子と平等になりました。
父親の認知が必要
母親との間に生まれた子どもは自動的に母の実子となりますが、父親が認知しない限り、法的な親子関係が成立せず、相続権も得られません。認知は生前でも可能ですが、遺言で認知を記載することもできます。逆に、認知されていない場合は、父親が亡くなっても、非嫡出子に相続権は発生しません。
内縁の妻・夫には相続権がない
内縁関係(法的な婚姻関係ではない)のままでは、内縁の妻・夫に相続権はありません。どれほど長く同居していても、法律上の婚姻関係がない限り、配偶者として扱われません。
財産を残すための方法
内縁の配偶者に財産を残したい場合は、「遺言書の作成」「生命保険の受取人指定」「生前贈与」などの手続きを活用する必要があります。特に、遺言書がない場合、法定相続人である子どもや親族が全財産を相続することになり、内縁の配偶者は一切受け取れなくなるため、注意が必要です。
まとめ:離婚・再婚後の相続対策のポイント
離婚や再婚を経験すると、家族関係が複雑になり、相続の問題も生じやすくなります。まずは、誰に相続権があるのかを正しく理解し、必要な手続きを行うことが重要です。特に、遺言書の作成や生命保険の受取人指定を活用することで、意図した相続を実現しやすくなります。また、家族間のトラブルを防ぐためには、早めに話し合いを行い、専門家へ相談することが効果的です。行政書士井戸規光生事務所では、離婚・再婚後の相続対策についてのご相談を承っております。初回のご相談は無料でございますので、お電話(052-602-9061)、FAX(050-1545-5775)、お問い合わせフォーム、もしくはEメール ido.kimioアットマークofficeido から、些細なことでもお気軽にご相談ください。