まさかウチに限って、、、が要注意。相続が“争族”にならないために

相続が「争族」にならないために、事前の準備と配慮が何よりも大切です。家族にとって大切な財産を分け合う相続の場面が、時には激しい争いを引き起こす原因となることがあります。特に、遺産分割の意見が対立したり、遺言書がない場合には、兄弟姉妹間でのトラブルが深刻化することも少なくありません。このブログでは、相続が円満に進むために必要な対策や心構えについて、具体的なポイントを挙げながら解説します。家族の絆を守るためにも、相続に対する正しい理解と準備を進めていきましょう。

目次

相続対策の基本

生前から相続について話し合っておく

あなたが健康なうちから、自分と、相続人(例えば配偶者や子ども)と相続について話し合っておくことが有効です。

遺産をどのように相続させたいかという自分の思いや相続人の意見を伝え合って決めておき、将来これに基づいて遺産を分割することで、相続争いになる可能性が大きく下がります。

(注意点としては、ご自身の生きている内に遺産分割をすることはできません。また、「生前の話し合い」も、法的拘束力はありません。)

遺言書を作成する

遺産は法的拘束力を持ちますので、先ほどの話し合いの結果が確実に反映されるためには遺言書の作成が有効です。遺言書があれば、原則的に遺言書に沿って遺産分割されるため、相続人間での遺産を巡る争いを防止できます。

遺言書を書く前に家族との話し合いが必ず必要というわけではなく、遺言書は本人の意思のみによって書くことができますし、内容を見せる必要もありません。家族内の事情や、自分の個人的な意思で、特定の相続人に他の相続人より多く遺産を渡したい場合、遺言書の付言事項でその理由を説明することもできます。

ただし、遺言書が法的な要件を満たさず無効となったり、法律上最低限認められた相続分である遺留分を下まわる配分にしてしまい、後のトラブルが生じたりする可能性もあるため、これらにも配慮した遺言書の作成が必要です。

家族信託を利用する

家族信託とは、家族や親族と契約を結んで財産の管理を任せることです。家族信託でも、自分が亡くなった時の財産をどのように分割するかを決められます。

相続トラブルとは

相続が発生し、遺言書もない場合は、相続人間で話し合って遺産の分割方法を決めます。遺産の配分方法の目安として「法定相続分」(“配偶者1人、子供2人の場合は、配偶者が1/2、2人の子供は1/4ずつ”など)が定められています。しかし、これは絶対ではないため、相続人ごとに言い分が噴出し、意見が対立することがあります。また、法定相続分通りに遺産分割をするということで各人が納得していても、今度は誰がどの遺産を取得するかについても対立が起こりえます。対立の発生する火種が多数あるだけでなく、金銭が関係してくるため、感情的になりやすいことから、話し合いがまとまらない事態になることは決して少なくありません。

相続争いでよくある事例

長男が「自分が遺産を全て相続する」と主張する

「長男が全ての財産権利を相続する」という家督相続制度は昭和22年に廃止されています。現在は子ども同士の法定相続分は同じです。

しかし例えば、90歳の元会社経営者が亡くなり、70歳の長男、65歳長女、61歳の次女が残されていた場合、長男が「会社の経営もやってきた自分が会社の株も預金も引き継ぐ、会社に関係ない妹たちに株は渡せないし、預金を渡したら相続税が払えなくなる。妹たちはそれぞれ家庭を築き、何不自由なく暮らしている。だから自分が全て相続する」といった主張がされるケースがあります。

故人の介護を行ったとして、多めの相続を主張

相続人のなかに故人の介護を献身的に行い、それに伴う負担も大かった場合、「自分は介護をしたから『寄与分』として多く相続できるはず」と主張し、他の相続人が「あくまで法定相続分どおり」と反対する場合です。

介護の負担が大きかった相続人の気持ちは理解できるものの、「寄与分」が認められることは法律的には簡単ではありません。他の相続人が法律論を抜きに、介護をした人に“配慮”して遺産分割をするということがないかぎり、裁判に持ち込んでも認められることはむずかしいです。

偏った生前贈与、兄弟姉妹間のえこひいき

例えば、故人が3人兄弟の末子だけに偏った生前贈与をしていた場合、他の兄弟が「生前贈与分を考慮して相続割合を決めるべき」と主張してもめるケースもあります。この場合、末子が、「兄さんたちこそあの時、、、」とやりだすともう完全な“泥仕合”です。

不動産の分け方でもめるケース

不動産は預貯金のように簡単に分けられません。そのため分け方でもめる事態があります。

遺産構成が不動産の他に預貯金もあれば、一人は不動産を相続し、別の一人は預貯金を相続するなどして遺産分割は可能です。しかし、遺産が不動産だけだったり、預貯金が少なかったりする場合は、公平に分けることがむずかしくなります。不動産を売却して、その代金を分ければ良いと思われるかもしれませんが、相続人の一人が不動産に居住しており、その不動産を売ってしまうと住む場所がなくなるなどのケースもあります。さらに、5,000万円の価値の不動産と預貯金5,000万円を「一人に不動産、もう一人に預貯金」に分けてしまうと、不動産を相続した人は、現金納付が原則の相続税支払いに困ってしまいます。

その他

他にも「遺言書の有効性をめぐる争い」や、「遺産の使い込みの疑惑」や、「養子縁組にともなう争い」や、「離婚した前の配偶者との間にできた子と、再婚後の家族との間での争い」などがあります。相続争いが長期化すると、遺産を有効活用できない、親族間の関係悪化、相続税控除となる各種の特例が受けられない、法的手続きで心身も経済的にも疲労するなどの弊害が発生します。

まとめ

行政書士 井戸 規光生 事務所では相続診断士の資格を持つ行政書士が、ご依頼者様それぞれの事情に沿って、遺言書作成のサポート、相続関連手続きの代行を行っています。

生前にご自身が亡くなった後の相続争いを避けるための具体的な方法の提案をいたします。また、相続発生後に、争いやいさかいが発生してしまったら、提携の弁護士をご紹介することで、ご相談者様の負担が少ない形で問題やお悩みを解決いたします。お問い合わせフォームやお電話などで、是非お気軽にご相談ください。ご連絡お待ちしております。

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この記事を書いた人

2024年に「行政書士 井戸 規光生 事務所」を設立しました。
建設業、遺言・相続サポート業務に特化した名古屋市南部の地域密着型事務所です。
高校時代はラグビー部に所属。地元名古屋のスポーツチームを応援しています。

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