初めての遺産分割:知っておきたい基本と手順

相続が発生すると避けて通れないのが「遺産分割」です。遺産分割とは、亡くなった方の財産を相続人間で分けることですが、その手続きには多くの注意点やルールがあります。特に初めて遺産分割に関わる方にとっては、どこから手を付ければよいのか、何を準備すればよいのか戸惑うことが多いかもしれません。この記事では、遺産分割を円滑に進めるために知っておきたい基本的な知識と手順を解説します。相続人間の合意をスムーズに得るためにも、まずは基本をしっかりと押さえ、トラブルを未然に防ぐことが大切です。是非最後までお読みください。

目次

法定相続分と遺産分割の流れ

法定相続分とは

相続が発生した際、相続人は故人(被相続人)の財産を分けることになります。この際、法律で定められた割合で遺産を分配する「法定相続分」という考え方が基本となります。法定相続分は、民法で規定されており、相続人の関係性によって異なります。代表的なケースを以下の図表で示します。

相続人配偶者父母兄弟姉妹
配偶者と子1/21/2(複数いる時は均等割り)
配偶者と父母2/31/3
配偶者と兄弟姉妹3/41/4
子のみ均等割り
父母のみ均等割り
兄弟姉妹のみ均等割り
上記の表は、典型的な相続の状況における法定相続分を示しています。
例えば、被相続人に配偶者と子がいる場合、配偶者が遺産の1/2を受け取り、残りの1/2を子が均等に分けます。

遺産分割の一般的な流れ

遺言による分割

被相続人が生前に遺言書を作成していた場合、法定相続分に関わらず、遺産分割は遺言書の内容に基づいて行われます。遺言書には、自筆証書遺言公正証書遺言、秘密証書遺言の3種類があります。特に公正証書遺言は、公証人が関与して作成されるため、形式不備や紛失のリスクが低く、信頼性が高いです。

遺産分割協議

遺言書がなかった場合、遺産分割は、まず相続人全員で話し合う「遺産分割協議」から始まります。この協議では、相続人間で遺産の分け方について合意が得られることが目標です。法定相続分を基準に分けることが多いですが、相続人全員の同意があれば、自由に分割方法を決めることも可能です。協議がまとまれば、「遺産分割協議書」を作成し、全員が署名・押印します。この書類は後の相続登記や預金引き落とし手続きに必要となる重要な書類です。

調停・審判による解決

遺産分割協議がまとまらない場合や、遺言の内容に不満がある場合は、家庭裁判所での調停手続きに進むことが一般的です。調停は、第三者である調停委員が仲介役となり、相続人間の話し合いをサポートします。調停で合意に至れば、その内容をもとに遺産分割が行われます。

調停でも合意が得られない場合は、最終的に家庭裁判所による「審判」が行われます。審判では、裁判官が法に基づいて遺産の分割を決定し、それに従って分割が行われます。この段階になると、相続人の意思に関わらず、裁判所の決定が優先されることになります。

遺産分割は、相続人全員が納得する形で行うことが理想ですが、トラブルや合意形成が難しい場合もあります。法定相続分や遺産分割の流れをしっかりと理解し、必要に応じて専門家のサポートを受けることが、スムーズな遺産分割の鍵となるでしょう。

遺産分割協議での注意点

遺産分割協議では、相続人間で合意を得ることが重要です。ここでは、トラブルを避けるための具体的な注意点やポイントを4つ紹介します。

・相続人全員が参加する 

誰かが欠けた状態での協議は無効となるため、すべての相続人に対して協議の案内を確実に行いましょう。

・財産の全体像を正確に把握する

遺産の一部が漏れていると、後々トラブルの原因になります。預貯金や不動産だけでなく、借金などの負債も含めて遺産リストを作成しましょう。相続財産には後々になって国や自治体から払い戻されるお金や、病院への精算金、クレジットカードの未払い、葬儀費用など支払うべきお金もあるため、あまり急いで遺産分割協議を行うことは勧められません。早くても故人が亡くなってから2か月後程度からが良いでしょう。

・感情的な対立を避ける

冷静な話し合いが求められます。第三者として行政書士などの専門家を交えると、スムーズに協議が進むことが多いです。

・「遺産分割協議書」を作成する

口約束では、お互いの認識があやふやになってしまい、後のトラブルの元になります。協議がまとまったらそれを書面にして、全員が署名・押印することを忘れないようにしましょう。遺産分割協議書は、専門知識が豊富な行政書士に依頼が安心です。

合意が難しい場合

遺産分割協議が順調に進まない場合、まずは再度協議を行い、冷静に話し合うことが重要です。これには、第三者の助けを借りることが有効です。弁護士に相談することで、中立的な立場からアドバイスを受けることができます。それでも協議がまとまらない場合には、家庭裁判所に調停を申し立てる手続きを考えるべきです。

調停は、家庭裁判所が仲介者となり、相続人間の意見の対立を解決する手続きです。調停委員が相続人たちと個別に話し合い、双方の主張を理解した上で、合意に向けた提案を行います。このプロセスは、裁判よりも柔軟で迅速に進むことが期待されます。調停で合意が得られれば、調停調書が作成され、その内容に基づいて遺産分割が行われます。

調停でも合意に至らない場合には、家庭裁判所に対して審判の申し立てを行うことになります。審判では、裁判官が証拠や主張を基に決定を下します。この決定は強制力を持ち、最終的には裁判所の判断に従わなければなりません。

STEP
遺産分割協議

遺言書がない場合は相続人全員参加で遺産分割協議を行います。

STEP
意見不一致

意見がまとまらないときは弁護士への相談も視野に入れましょう

STEP
再協議
STEP
家庭裁判所に調停の申し立て
STEP
調停書作成(合意した場合)

合意した場合は調停書を作成し、その通りに分割します

STEP
家庭裁判所に審判の申し立て(合意できなかった場合)

調停でも合意できなかった場合は審判申し立てを行います

STEP
審判

審判の結果に従う

このように、遺産分割協議がうまく進まない場合は、冷静に対処し、適切な手続きを踏むことで、最終的には公正な解決を目指すことができます。

まとめ

遺産分割をスムーズに進めるため、行政書士、相続診断士のサポートは非常に重要です。

行政書士は、遺産分割に関する法的な知識と経験を持っており、遺産分割協議を円滑に進めるためのアドバイスを提供します。また、遺産分割協議の内容を文書としてまとめる際も、行政書士のサポートが役立ちます。協議内容を明確に文書化し、法的に有効な形で作成することで、後々のトラブルを防ぐことができます。さらに、行政書士は遺言書や遺産分割協議書の作成の補助だけにとどまらず、相続財産の調査や、戸籍の収集、遺産を実際に分割するために必要な手続きについても代行サポートします。

遺産分割に関する問題でお困りの際は、ぜひ行政書士 井戸 規光生 事務所にご相談ください。初回相談は無料でございます。お電話、お問い合わせフォームからのお問い合わせをお待ちしております。

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この記事を書いた人

2024年に「行政書士 井戸 規光生 事務所」を設立しました。
建設業、遺言・相続サポート業務に特化した名古屋市南部の地域密着型事務所です。
高校時代はラグビー部に所属。地元名古屋のスポーツチームを応援しています。

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