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不動産相続の落とし穴!共有しない方がいい理由
相続財産に不動産があるとき、遺産分割協議で話し合っても解決できずに、そのまま複数の「相続人同士で、持ち分1/4ずつ」のように共有するケースがありますがこれは後々多くのトラブルにつながります。今回は、遺産分割で不動産を共有してはいけない理由や対策について解説します。
共有とは
共有とは、一つの物を複数人が共同で所有することです。共有者にはそれぞれ、「共有持分割合」が定められます。
遺産相続が発生すると、不動産は一旦すべての相続人による共有となり、共有持分割合は法定相続分通りになります。配偶者と2人の子どもが不動産を相続したケースでは、配偶者が2分の1、子ども達がそれぞれ4分の1ずつの共有持分になります。この状態を解消するには相続人同士による遺産分割協議で、分け方を決めなくてはなりません。
「遺産分割協議は面倒」や、「話し合いがまとまらない」などの理由で、共有にしてしまうことがありますが、相続不動産を共有のままにしておくことは、次のような危険があります。
安易な共有に潜む危険
・売却しにくい
共有物は、共有者が単独で処分できません。共有者が単独でできるのは使用(そこに住むこと等)と保存(修繕をすること等)だけです。不動産を勝手に賃貸したり、増改築したりはできません。売却することも単独ではできません。共有者全員の合意を得る必要があります。共有不動産を活用するにはその都度他の相続人と話し合う必要があるので手間がかかります。
・共有分がさらに相続されると、状況が複雑になる
共有者が亡くなると、さらなる相続が発生して共有持分がどんどん細かくなっていきます。持分が細かくなると、誰がどのくらいの持分を持っているか不明になってしまう事態も起こります。
(例)3人兄弟で不動産を1/3ずつ分けたが、長男が亡くなり、持ち分はその子2人(男1、女1)に相続された。これにより不動産の持ち分割合は次男1/3、三男1/3、甥1/6、姪1/6になった。
・共有者の1人が持ち分だけを勝手に売却
共有持分を持っている者は、自分の共有持分だけならば売却可能です。たとえば配偶者が1/2、3人の子ども達がそれぞれ1/6ずつの共有となっているケースにおいて、子どもの1人が自分の持分を売却することができます。しかしそうなると、見知らぬ人との共有になってしまいます。
・共有者が音信不通に
共有者が音信不通になってしまうことで、処分方法の話し合いが進まなかったり、固定資産税の支払いが滞ってしまったりすることも起こります。
・税金や管理事務の負担割合、責任の所在でもめる
不動産維持のためには、固定資産税や都市計画税、修繕費などがかかります。共有の場合、これらを持分割合に応じて負担するのが基本ですが、共有者の中に「近くに住んでいる自分だけが掃除や草むしりなどをやっているから、金銭的な負担を低くして欲しい」と主張し、もめてしまう可能性があります。
「とりあえず共有」は避けるべき
遺産分割協議の際に相続人同士の意見がまとまらないからと、とりあえず共有にするのは避けるべきです。問題の先送りになってしまいます。
この場合まずは現物分割を検討します。土地を共有にするのではなく、土地に境界線を引いて分けて、その土地ごとに単独で所有するという形式です。 しかし、いつもこの方法が取れるわけではありません。家を分けることはできませんし、分けると言っても十分な広さがなく、土地の価値が大きく下がってしまうこともありますし、道路に面しない土地ができてしまうこともあります。特に都会では現物分割は難しいです。
他には土地を一人の単独所有にして、土地を相続した人が、他の相続人に対して、共有持ち分の割合で代金を支払う「代償分割」という方法もあります。相続財産が3000万円の不動産だけで、相続人が兄弟3人の場合、1人が不動産を相続し、残りの二人に1000万円ずつ支払うという仕組みです。
また、土地を売却してしまい、それで得たお金を相続人同士で分ける「換価分割」もできます。上記の例ならば、不動産を3000万円で売却し、得たお金を1000万円ずつ分ける方式です。
まとめ
これまで見てきたように、相続財産に不動産がある場合、相続人同士の共有は極力さけたほうがよいのが基本です。しかし、財産の中に不動産の占める割合が多かったり、そもそも、ほぼ不動産しかなかったりする場合、遺産分割は複雑化します。このようなケースは専門家への依頼をお勧めします。 行政書士 井戸 規光生 事務所では相続診断士の資格を持つ行政書士が、ご依頼者様それぞれの事情に沿って、遺産分割に関する手続きをサポートいたします。また、相続税関連、登記関連などは提携の税理士、司法書士と連携し、相続不動産の取り扱いに長けた不動産会社もご紹介することで、ご依頼者様の負担が少ない形で手続きを進めてまいります。初回相談は無料でございます。お電話やお問い合わせフォームから、是非お気軽にご相談ください。