戸籍謄本の広域交付制度とは?どこでも取得可能な便利な仕組みを徹底解説

「戸籍謄本の広域交付制度」をご存じでしょうか?この制度は、転勤や引っ越しなどで本籍地から遠く離れた場所に住んでいる方にとって、非常に便利な仕組みです。従来、戸籍謄本を取得するためには本籍地の役所に足を運ぶ必要がありましたが、令和6年3月1日から始まったこの制度を活用すれば、全国どこにいても戸籍謄本を取得することができます。本記事では、広域交付制度の基本的な仕組みや利用する際のポイントについて、詳しく解説していきます。

目次

戸籍謄本の広域交付制度とは?

相続の手続きを行う際には、故人の生まれてから死亡するまでの全ての戸籍謄本を取得する必要があります。これは、相続人を確定させるために必要な手続きです。これまで戸籍謄本は「本籍地」を管轄する市区町村役場でのみ、請求し取得することができていたので、最寄りの市区町村役場に請求しても取得できないケースがありました。インターネットなどで本籍地のある市区町村役場のホームページなどから申請書をダウンロード、印刷、必要事項を記入の上、必要書類と郵便局で購入する定額小為替、返信用封筒を同封したうえで、郵送で取り寄せしなくてはなりませんでした。出生時の本籍地から結婚などを経て本籍地を数回変更しているケースも多くあるため、郵送で取り寄せる場合には、取り寄せた戸籍謄本の記載を確認(解読)して、以前に本籍地があった別の市区町村役場に請求するという手順を出生から死亡までのものがそろうまで繰り返す必要がありました。

肉親が亡くなった後に悲しみに暮れる間もなくお葬式や死後の整理手続きに追われる一般の人にとってこの戸籍収集手続きは大きな負担でした。これを軽減するための制度が「広域交付制度」です。

本籍地が遠方であっても、自身の住所地など最寄りの市区町村役場で手続きに必要な戸籍謄本をすべて取得できる制度によって、かなり負担が軽減されることになります。一括請求できる制度の導入によって、最寄りの役所に1回出向くだけで、相続手続きに必要な戸籍謄本がそろうことになります。

広域交付制度を利用して取得できる戸籍謄本の種類と手数料には以下のものがあります。

戸籍全部事項証明書(戸籍謄本):1通450円

除籍全部事項証明書(除籍謄本):1通750円

改製原戸籍謄本:1通750円

広域交付の注意点

広域交付制度は非常に便利なものですが、すべての戸籍請求が対象ではなく、以下のポイントに注意が必要です。

兄弟姉妹の戸籍は請求できない

戸籍の広域交付制度で請求できるのは、本人、配偶者、父母や祖父母などの直系尊属、子や孫などの直系卑属に限られています。兄弟姉妹、またはおじやおばなどの傍系血族の戸籍謄本を請求することはできません。

郵送や第三者による請求はできない

郵送請求の方法を利用して戸籍の広域交付制度を利用することはできません。必ず請求者本人が市区町村役場に直接出向く必要があります。「最寄りの役所で良いので、必ず一回はお越しください」ということです。

 また、通常の手続きでは、委任状を用意して行政書士などの第三者が代理で請求することもできますが、広域交付制度を利用する場合は、請求者本人が窓口に出向く必要があります。さらに、弁護士や司法書士、行政書士などの専門家には職務上請求により、依頼者の戸籍謄本などを依頼内容に必要な範囲で職権請求することが許されていますが、広域交付制度では認められません。

対象外もある

戸籍抄本/除籍抄本

抄本」とは、一部の人だけの記載事項を証明するものです。戸籍抄本や除籍抄本とは、戸籍謄本や除籍謄本に記載されている数名の中の1人の記載事項だけを抽出した証明書です。

戸籍の附票

附票には、本籍を置いている間の登録住所の変遷が記載されています。

相続登記においては、故人の不動産の登記簿上の住所と、最後の住所の連続性を証明する書面を添付する必要があります。登記簿の人物と故人が同一人物であること書面で証明するためです。住民票の除票では前住所までしか記載されません。もし登記簿上の住所から亡くなるまでに2回以上住所を移転していた場合には、住民票除票では連続性が証明できず、戸籍の附票を取得する必要があります。広域交付制度が利用できない戸籍の附票を取得しなければならない場合には、別途本籍地を管轄する市区町村役場に郵送または出向いて請求しなくてはなりません。

コンピューター化されていない戸籍

コンピューター化されていない戸籍も、本籍地を管轄する市区町村役場に郵送または出向いて請求する必要があります。現存する戸籍謄本の多くはコンピューター化により、データとして管理されています。しかし、一部コンピューター化されておらず、データとしてのやりとりができないものもあります。データ化がされていない戸籍謄本についてはこの広域交付制度が利用できません。該当するケースは少ないものですが、注意が必要です。

広域交付の手続き

広域交付申請は、おおむね以下の通りです。

STEP
来庁予約

予約が必須の役所、オンラインでの予約が必須の役所もあるので、確認が必要です。

STEP
役所を訪れ、申請書と必要書類を提出
STEP
受け取り

提出から受け取りまで1週間程度かかる役所もあれば、即日交付してくれる役所もあります。

まとめ

戸籍の広域交付制度を利用することによって、相続に関する手続きの書類収集にかかる手間や時間がかなり軽減されることになります。

行政書士 井戸 規光生 事務所では相続診断士の資格も持つ行政書士が、ご依頼者様それぞれの事情に沿って、遺言書作成のサポートと、遺産分割に関する手続きを代行いたします。広域交付制度を使うことで必要書類を効果的に収集いたします。相続税関連、登記関連などは提携の税理士、司法書士と連携することで、ご依頼者様の負担が少ない形で手続きを進めてまいります。初回相談は無料でございます。お電話やお問い合わせフォームから、是非お気軽にご相談ください。

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この記事を書いた人

2024年に「行政書士 井戸 規光生 事務所」を設立しました。
建設業、遺言・相続サポート業務に特化した名古屋市南部の地域密着型事務所です。
高校時代はラグビー部に所属。地元名古屋のスポーツチームを応援しています。

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