遺言書の検認手続きとは?知っておきたい基本と流れ

遺言書の検認手続きとは何でしょうか?遺言書は、故人が生前に自らの意志を表明し、財産の分配や相続に関する意思を明確にする重要な文書です。しかし、遺言書が存在しても、その内容が正当であるかどうかを確認し、適切に実行するためには「検認」という法的な手続きが必要です。この手続きは、遺言書の内容を確実にするために不可欠であり、遺言執行者や相続人が遺言書の効力を確認し、その実行を進めるための第一歩です。

本記事では、遺言書の検認手続きの基本的な流れとその重要性について詳しく解説します。検認手続きの具体的な手順や必要な書類、注意点などを分かりやすく説明し、遺言書が適切に実行されるためのガイドラインを提供します。

目次

検認とは

検認とは、家庭裁判所で遺言書の状態や内容を確認する手続きです。

自筆証書遺言や秘密証書遺言が発見されたとき、そのままにしておくと勝手に書き換えられたり、破棄されたりする危険があります。それを防ぐために家庭裁判所に相続人が集まって、そこで初めて開封し、遺言書の内容を確認し、遺言書の状態を保存します。検認後家、「検認済証明書」が発行されるので「裁判所で検認を受けた遺言書」である事が証明されます。

公正証書遺言の場合は、検認不要です。また自筆証書遺言でも、令和2年7月から始まった法務局預かり制度(詳しくはコチラ)を利用した場合は、検認の必要はありません。

検認が必要な場面

遺言書の検認は、遺言書を使って相続手続きを行う際に必要です。

・不動産の名義変更

・金融機関における預貯金の払い戻し、預金名義口座の変更

・株式の名義変更

検認を受けないとどうなる?

検認をしないで遺言書を勝手に開封すると「5万円以下の過料」も科される可能性があります。(民法1005条)
遺言書を発見したら、速やかに家庭裁判所で検認の申し立てを行わなくてはいけません。

手続きの流れ

遺言書の検認を受けたいときには、次のように進めてください。

検認の申し立て

家庭裁判所で「検認の申し立て」をします。申し立てを行う家庭裁判所は「遺言者の最終の住所地を管轄する家庭裁判所」となります。

【申し立てに必要な書類】

・検認申立書

・遺言者が、生まれてから亡くなるまでのすべての戸籍謄本類(除籍謄本、改正原戸籍)

・相続人全員分の戸籍謄本

検認申立書はこちらの裁判所ホームページから書式をダウンロードできます。

遺言者が、生まれてから亡くなるまでのすべての戸籍謄本類(除籍謄本、改正原戸籍)は、本籍地のある役所に申請して順番に取得します。(詳しくはコチラ)預かり制度

相続人全員分の戸籍謄本は、それぞれ本籍地のある役所で申請・取得します。

遺言者の子どもで死亡している人がいる場合や、親、兄弟姉妹が相続する場合、配偶者のみが相続する場合には上記の他にも戸籍謄本類を集める必要があります。検認の申し立てにかかる費用は収入印紙800円、連絡用の郵便切手代です。  検認の申し立てをすると、家庭裁判所から相続人全員に「検認期日」がいつになったかの連絡があります。申立人は必ず指定日に家庭裁判所に行かなくてはいけません。しかし、申立人以外の相続人は出席してもしなくてもかまいません。

指定日に家庭裁判所に行くと、出席した相続人の立ち会いのもとに遺言書が初めて開封され、中身が確認されます。

検認が終わったら、家庭裁判所に「検認済証明書」を申請し、遺言書に添付してもらいます。検認済証明書がついていない自筆証書遺言では、不動産登記や銀行預金の払い戻しに応じてもらえないので、必ず申請する必要があります。検認済証明書には150円の手数料がかかります。

検認にかかる期間

遺言書の検認を申し立ててから検認期日までの期間は、1~2か月程度です。検認申し立てのための準備にも1カ月程度はかかってしまうので、遺言書発見から検認を全て終えるまでは、およそ2~3か月はかかります。検認を終えて検認済証明書も取得したら、その遺言書を使って不動産の名義変更や預貯金払い戻しなどの手続きを進めましょう。

注意点

・検認手続きに、「検認の申立人」は必ず出席しなければなりません。

しかし、「検認の申立人」以外の相続人が出席するかどうかは任意です。高齢や遠方などの事情があれば出席しなくても問題ありません。

・検認を受けた遺言書は必ず有効とは限りません。検認は遺言書が有効か無効か判断する手続きではなく、単に「そのときの遺言書の状態や内容を保存する」手続きだからです。検認を受けた遺言書であっても無効になる可能性はあります。

・令和2年7月10日から始まった、自筆証書遺言の法務局預かり制度を利用した自筆証書遺言は、検認不要です。それ以外の場合には検認が必要なので、自宅や貸金庫などで自筆証書遺言や秘密証書遺言を発見したら、急いで家庭裁判所に検認の申し立てを行ってください。

まとめ

行政書士 井戸 規光生 事務所では相続診断士の資格も持つ行政書士が、ご依頼者様それぞれの事情に沿って、遺言書作成のサポート、相続関連手続きの代行を行っています。

検認申し立てに必要な戸籍謄本の収集も代行いたします。

その後の相続手続きにおいて、登記が必要な際には司法書士を、相続税に関するお悩みには税理士を、また、万が一相続人間でのトラブルが発生した場合には提携の弁護士を紹介し、ご依頼者様の負担が少ない形で進めてまいります。お電話、メールフォームなどで、是非お気軽にご相談ください。ご連絡お待ちしております。

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この記事を書いた人

2024年に「行政書士 井戸 規光生 事務所」を設立しました。
建設業、遺言・相続サポート業務に特化した名古屋市南部の地域密着型事務所です。
高校時代はラグビー部に所属。地元名古屋のスポーツチームを応援しています。

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