負担付死因贈与で注意すべきポイントと手続きの流れ

負担付死因贈与とは、贈与者が亡くなったときに特定の負担を条件として財産を受け取ることができる贈与の一形態です。この方法を利用することで、遺産をスムーズに引き継ぐだけでなく、受贈者(=贈与を受ける人)に特定の義務を課すことが可能となります。この記事では、負担付死因贈与を検討する際に押さえておくべき注意点や手続きの流れについて詳しく解説します。安心して円滑な相続を進めるためのポイントを一緒に見ていきましょう。

目次

負担付死因贈与契約とは

 負担付死因贈与契約とは、贈与をする方が贈与を受ける方に義務を課すことができるもので、死因贈与契約に受贈者が守るべき条件が付いた契約です。死因贈与契約とは、贈与者と、受贈者が結ぶ契約のことで、贈与者の死亡によって効力が発生します。贈与者が亡くなった後、受贈者は契約内容を放棄できないのが特徴です。

 遺言書によって遺贈することを定めた場合、相続人全員が遺言書に反することで合意した場合、遺言書の内容は実行されません。これに対し、死因贈与契約(負担付贈与契約)は生前に財産を渡す人と受け取る人との間で結ばれる契約行為であるため、他の相続人の意思は関係ありません。財産を特定の人物に必ず渡したい場合は、死因贈与契約が有効です。さらに贈与者が、受贈者に対し、財産を受け取るために何らかの負担を負ってもらいたい場合は「負担付死因贈与契約」が有効です。

負担付死因贈与契約でよくあるケース

負担付死因贈与契約で設定される受贈者の義務、負担はそれぞれ違いますが、一般的には「身の回りの世話を続ける」や「同居して面倒をみる」などが多くみられます。「自分が亡くなるまではこのようにして欲しい(し続けてほしい)」等の意思がある場合に便利な制度です。

負担付死因贈与では他にもこのような義務を受贈者が負うことがあります。

・家を贈与するから、代わりにローンを支払う

・土地を贈与するから、生きている間は無償で住ませる

・数万円贈与するから、ペットを代わりに飼育する

負担付死因贈与契約における注意点

 負担付死因贈与契約は契約内容を明確にすることが大切です。特に注意するべきなのは「贈与の対象資産」「負担の内容」の2点です。 贈与する資産が不動産の場合は、登記簿の記載に従って正確に記載しなくてはいけません。預貯金の場合は「銀行名」「口座の種類・番号・名義人」を記載します。 また、死因贈与契約も遺言書などと同様に、執行者を指名できます。行政書士などの専門家を指定しておけば、確実に進められます。 負担付死因贈与契約書は、公正証書で作成するのが確実です。

取り消しについて

負担付死因贈与契約で取り決められた負担が履行されない場合は、贈与を取り消すことが可能です。また、受贈者が負担すべき事項を定めていないただの死因贈与契約は、いつでも取り消すことが可能です。しかしながら、負担付死因贈与契約が結ばれていて、受贈者が契約で取り決められた負担を履行した場合は、特段の事情がない限り、原則として取り消せません。

負担付死因贈与契約と遺贈の違い

遺贈と死因贈与契約は、どちらも贈与者が亡くなったときに効力を発揮する点では共通していますが、その成立方法が違います。死因贈与契約は、贈与者と受贈者の両者が合意することで初めて成立します。一方、遺贈は遺言書に基づいて行われるもので、贈与者の一方的な意思表示によって効力を持ち、受贈者との契約ではありません。遺贈は受贈者が「そんなこと聞いていない」と贈与を断ることもできます。 つまり、(負担付)死因贈与契約と、遺言による遺贈は、いずれも死後に効力を発揮するものですが、法的には別の行為です。

まとめ

負担付死因贈与契約の特徴は「受贈者との合意が必要な契約行為」、「契約と同時にお互いに権利と義務が発生」、「受贈者が負担すべき義務を果たしたあとは、取り消し・一方的な破棄は不可」の3点です。 公正証書を使い、契約書が正しく作成されていれば、受贈者も、「負担すべき義務」と「その後受けられる恩恵」を承諾しているので、遺贈よりも確実に財産の移転が行われます。 ただし、遺産総額に対して極端に多い割合の財産を贈与すると契約してしまうと、法定相続人から遺留分侵害額請求を受ける可能性があることに注意が必要です。  行政書士 井戸 規光生 事務所では相続診断士の資格を持つ行政書士が、ご依頼者様それぞれの事情に沿って、遺言書の作成サポートや、相続手続きの代行を行います。相続発生時の相続人、相続財産の調査や、各種必要書類の取得、作成、金融機関とのやり取りなど、煩雑な手続きも代行いたします。また、負担付死因贈与契約をお望みの方にも、ご意思が必ず実現するように、契約書の作成をサポートいたします。初回相談は無料ですので、お電話、お問い合わせフォームなどから、是非お気軽にご相談ください。

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この記事を書いた人

2024年に「行政書士 井戸 規光生 事務所」を設立しました。
建設業、遺言・相続サポート業務に特化した名古屋市南部の地域密着型事務所です。
高校時代はラグビー部に所属。地元名古屋のスポーツチームを応援しています。

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