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遺言書はいつでも何度でも書き直せます!方法と注意点を徹底解説
遺言書は、一度作成したら変更できないと思っていませんか?実は、遺言書は法的に正しい手続きを踏めば、いつでも内容を撤回したり新しく書き直したりすることができます。たとえば、家族構成の変化や資産状況の変動など、人生の節目で「やっぱりこうしたい」と思う瞬間が訪れることも少なくありません。しかし、撤回方法を誤ると、後々トラブルや混乱を招くリスクがあります。このブログでは、遺言書の撤回が必要になるケースや、実際の手続きの流れ、失敗しないための注意点について、わかりやすく解説します。遺言書は残された家族のための「最後のメッセージ」です。だからこそ、適切な方法で見直しを行い、最良の形に整えることが大切です。
遺言書は書き直せる!法律が認める撤回の自由
民法が認める「撤回の権利」
遺言書を一度作成したら変更できないと思い込んでいる方も多いかもしれません。しかし、民法1022条では、「遺言者は、いつでも、遺言の形式に従って、その遺言の全部または一部を撤回することができる」と明記されています。これは、遺言者が生涯を通じてその意思を自由に変更できることを保障する重要な権利です。
撤回のタイミングと理由
撤回が必要になる理由はさまざまです。たとえば、結婚や離婚、子どもの誕生といった家族構成の変化や、資産状況の大幅な増減などが挙げられます。また、家族間の人間関係が変わった場合も、遺言内容を見直す契機となるでしょう。こうしたライフイベントのたびに、遺言書を更新することで、遺言者の意思を現状に合わせることができます。
自由と厳格さの両立
遺言の撤回は自由に行えますが、手続きそのものは法律で厳格に定められています。単なる口頭の宣言や、メモに書き残すだけでは撤回は認められません。撤回には必ず遺言書の形式に従うことが必要です。具体的には、新しい遺言書を作成したり、既存の遺言書を法的に正しく破棄したりする方法が求められます。この「自由だが厳格」というルールを守ることで、遺言撤回の有効性が法的に保障されるのです。
遺言書は、遺言者の意思を最期まで尊重するための重要な手段です。そのため、適切な手続きによる撤回・変更が不可欠といえます。
遺言書の撤回方法を徹底解説
新しい遺言書を作成して撤回する方法
遺言書を撤回する最も確実な方法は、新たな遺言書を作成することです。この際、「以前の遺言を撤回する」と明記することが重要です。なぜなら、撤回の意思が明確でない場合、内容が曖昧と判断されるリスクがあるからです。また、遺言書形式(自筆証書遺言、公正証書遺言、)にかかわらず、法律では常に最新の日付の遺言書が優先される仕組みが採用されています。(*)これにより、適切な形式で新たに遺言書を作成すれば、過去の遺言書は自然に無効となります。
(*)後の日付の自筆証書遺言の方が、前の日付の公正証書遺言よりも優先されます。
物理的に破棄して撤回する方法
自筆証書遺言や秘密証書遺言の場合、手元に保管されている遺言書を物理的に破棄することで撤回が成立します。しかし、この場合、完全に破棄されていないと撤回が認められない可能性があるため注意が必要です。一方、公正証書遺言は公証役場で原本が保管されているため、手元の正本や謄本を破棄しても撤回したことにはなりません。公正証書遺言を撤回する場合は、別の手続きが必要です。
公証役場での撤回手続き
公正証書遺言を撤回する場合は、公証役場で撤回の申述を行う必要があります。この手続きでは、印鑑証明書(3か月以内)と実印を用意し、遺言作成時と同じように証人2名を立ち会わせます。公証人の前で撤回の意思を表明し、署名捺印をすることで撤回手続きが完了します。所要時間はおおむね1時間程度、手数料は約11,000円がかかります。この手続きを通じて、遺言の撤回が正式に認められます。
遺言の撤回方法は形式によって異なるため、それぞれの方法に合った手続きを確実に行うことが大切です。
撤回方法ごとの注意点とよくある失敗
新しい遺言書を作成する場合の注意点
新しい遺言書を作成して以前の遺言を撤回する場合、法的要件を満たしていないと新しい遺言書自体が無効になるリスクがあります。たとえば、自筆証書遺言であれば全文を自筆で記載し、日付と署名、押印を正確に行う必要があります。これらの条件が欠けていると、せっかく撤回の意図を示しても効力を持たない可能性があります。また、新しい遺言書を作成する際には、専門家の行政書士に相談することで、形式不備や記載内容の不明確さを防ぐことができます。専門家のアドバイスを受けることで、撤回後の遺言が適切かつ法的に有効なものとなり、安心して遺志を反映できます。
物理的破棄のリスク
遺言書を破ったり、捨てたりするなどして撤回する方法は手軽ですが、保管場所や形態によっては撤回が認められない場合があります。たとえば、自筆証書遺言が手元にある場合は破棄で撤回可能ですが、自筆証書遺言が法務局で保管されている場合には、物理的な破棄はできません。同様に、公正証書遺言の正本や謄本を破棄しても、公証役場に原本が残っているため、撤回の意思を表明したことにはなりません。このような場合には、正規の手続きが必要です。
撤回後の混乱を防ぐ方法
古い遺言書を単に破棄するだけでは撤回した後に混乱が起こる可能性がありますが、正規の手続きをへて撤回した際には、古い遺言書を必ず破棄することが重要です。複数の遺言書が残されていると、相続人間でどの遺言書が有効なのかをめぐって争いが生じる可能性があります。たとえば、日付が古い遺言書と新しい遺言書が同時に見つかった場合、日付の新しい遺言が有効の大原則があるとはいえ、両者の内容に矛盾があると争いが激しくなります。また、日付の記載が曖昧な遺言書があると、さらに混乱を招く要因となります。そのため、最新の遺言書以外は確実に破棄し、相続人が迷わない状態にしておくことが大切です。確実な撤回手続きを行うことで、家族のトラブルを防ぎ、遺志を正しく伝える準備を整えることができます。
遺言書を見直すタイミング
遺言書を見直すタイミングは、人生の大きな節目や環境の変化に合わせて訪れます。たとえば、結婚を機に配偶者に財産を残したいと考える場合や、離婚により遺言書に記載された元配偶者の取り分を見直す必要が生じることがあります。また、子どもの誕生や新たな相続人の出現により、家族全員に公平な分配を考え直すきっかけとなるでしょう。さらに、自己資産の増減や不動産の購入といった資産状況の変化も、遺言書を更新すべき重要なタイミングです。これらの出来事がなくても、数年に一度、定期的に遺言書を見直すことで、現状に合わない記載や誤解を招きそうな内容を修正できます。遺言書を常に最新の状態に保つことは、残された家族の混乱を防ぎ、遺志を正確に伝えるための最善策です。
まとめ:遺言書の見直しは家族のための愛情表現
遺言書を適切な手続きで撤回・変更することは、残された家族の負担やトラブルを大幅に軽減する重要な行為です。ただし、手続きの不備や内容の曖昧さは新たな問題を引き起こす可能性もあります。少しでも不安がある場合は、行政書士などの専門家に相談し、法的に有効な形で遺志を残しましょう。 行政書士井戸規光生事務所では、遺言書の作成サポートはもちろん、撤回や変更の手続きについても丁寧にサポートいたします。遺言書に関する法的な手続きは複雑に感じられるかもしれませんが、専門家が関与することでスムーズかつ確実に進めることが可能です。初回相談は無料でございます。ぜひお気軽に、お電話(052-602-9061)、FAX(050-1545-5775)、お問い合わせフォーム、もしくはEメール ido.kimioアットマークofficeido からご相談ください。ご連絡お待ちしております。