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遺言書で安心!「おひとりさま」「おふたりさま」の未来

現代社会では、生涯未婚の「おひとりさま」や、子どものいないご夫婦、いわゆる「おふたりさま」のライフスタイルは決して珍しいものではなくなってきました。一人の自由を謳歌したり、夫婦だけの穏やかな生活を楽しんだりする一方で、見落とされがちなのが「万が一のときの備え」です。「自分には相続する人がいないから大丈夫」「夫婦二人だけだから問題ない」と思っていませんか?実は、遺言書がないことで思わぬトラブルや手続きの負担が、残された大切な人や遠い親戚に降りかかるケースが多くあります。特に、身近な家族が少ない場合、遺産の行方や手続きの煩雑さが原因で、財産が意図しない形で処理されてしまうリスクも。このブログでは、「おひとりさま」や「おふたりさま」こそ遺言書がなぜ重要なのかを具体的な例を交えながら解説します。あなたの未来と大切な人たちの安心のために、ぜひ最後までお読みください。
遺言書がないとどうなる?—おひとりさま編
あなたの相続人は誰?—法定相続人の範囲を知ろう
おひとりさまの場合、「自分には相続する人がいない」と考えがちですが、実際には法定相続人が存在することが多いです。まず、配偶者がいない場合、最初に相続権を持つのは直系尊属である両親です。しかし、両親がすでに亡くなっている場合は、兄弟姉妹が相続人になります。さらに、その兄弟姉妹も亡くなっている場合は、その子ども、つまり甥や姪が相続権を持つことになります。
ここで注意すべきなのは、長年疎遠にしていた兄弟姉妹や甥姪が、突然相続人として関わる可能性があるという点です。本人にとっては思いも寄らない相手が相続に関わることで、遺産分割をめぐるトラブルの火種になることも少なくありません。
相続人がいない場合、財産はどうなる?
もしも法定相続人が全く存在しない場合は、相続財産はどうなるのでしょう?この場合、家庭裁判所が相続財産管理人を選任し、遺産の管理や債務の清算を行います。相続財産管理人は、一定期間(原則6か月間)の公告を実施し、相続人が現れるかどうかを確認します。この期間中に相続人が見つからなければ、次に特別縁故者(被相続人と生計を共にしていた人や療養看護に努めた人)が財産分与を請求できる可能性があります。
しかし、特別縁故者からの申し出もなく、最終的に相続人が全く現れなかった場合、その財産は国庫に帰属します。一見すると「それなら問題ない」と思うかもしれませんが、相続財産管理人の選任や公告、債務整理などには時間と費用がかかります。これらの管理費用は遺産から支払われるため、最終的に残る財産が大幅に減少することも少なくありません。
さらに、疎遠な親族や関係のない第三者が遺産手続きに巻き込まれる可能性もあり、思わぬトラブルの原因となることもあります。こうした事態を防ぐためには、遺言書の作成によって信頼できる人や団体に財産を託し、手続きをスムーズに進められるよう備えることが重要です。
知らないうちに迷惑をかける?—遠縁の親戚に降りかかる相続の負担
法定相続人が存在する場合でも、必ずしもスムーズに相続が進むとは限りません。特に、長年連絡を取っていない疎遠な親族が相続人となる場合、予期しない負担をかけてしまうことがあります。
例えば、甥や姪が相続人となった場合、彼らは遺産分割協議に参加する必要があります。もし遺産の中に不動産などの分割しづらい財産が含まれていれば、協議が長引き、相続手続きが複雑化することもあります。また、こうした親族が相続を望まない場合でも、相続放棄の手続きには手間がかかり、精神的な負担を強いることになりかねません。最悪の場合、相続人同士の意見が対立し、相続トラブルに発展する可能性もあるのです。
(例)生涯未婚で、子どもも持たず、親も既に亡くなっていた、高齢のおひとりさまが亡くなりました。 その方には兄が1人姉が1人いました。兄は存命でしたが、姉は先に亡くなっていました。亡くなった姉には息子が2人いました。この場合、相続人は兄と、姉の息子(甥)2人の合計3人です。 法定相続分は兄が1/2、甥が1/4ずつです。
信頼できる人や団体に財産を託す方法
こうしたトラブルや負担を避けるためには、遺言書の作成が非常に効果的です。遺言書があれば、あなたの意思に基づいて、信頼できる人や団体に財産を託すことができます。たとえば、生前にお世話になった友人や知人に財産を譲ることもできますし、慈善団体への寄付も可能です。遺贈には、財産の一部を渡す特定遺贈と、全財産の一定割合を譲る包括遺贈があります。さらに、遺言書には遺言執行者を指定することができ、この執行者が遺産分配を円滑に進める役割を果たします。これにより、遺族や関係者の負担を最小限に抑えることができます。
子どもがいない夫婦の落とし穴—おふたりさま編
配偶者だけでは全て相続できない?法定相続分の誤解
子どものいない夫婦の場合、「全財産は配偶者が相続する」と考える方が多いですが、これは誤解です。「おひとりさま」のケースと同様に、故人の兄弟姉妹(兄弟姉妹が先に亡くなっている場合には甥姪)も法定相続人となり、財産の一部を請求する権利があります。具体的には、配偶者が4分の3、兄弟姉妹が4分の1を相続することになります。このため、意図しない人に財産が分散してしまうこともあります。
夫婦どちらかが亡くなった後の相続トラブル事例
例えば、夫が亡くなった後、妻と夫の兄弟姉妹の間で遺産分割をめぐるトラブルが発生することがあります。特に、長年疎遠だった兄弟姉妹が相続権を主張することで、配偶者が住み続けている家の売却を迫られるケースもあります。これにより、生活の基盤が脅かされることがあるのです。
・2000万円相当の不動産を遺して、夫が亡くなった場合を考えてみましょう。夫には兄が1人、妹が1人いました。遺言書がなかった場合、法定相続分は妻が1500万円、兄が250万円、妹が250万円です。 兄と妹は妻が不動産を相続する代わりに代償金を250万円ずつ、合計500万円支払ってほしいと要求しました。しかし、妻にはそのお金がなく、不動産を売却せざるを得なくなりました。
③夫婦で話し合う遺言書の書き方とポイント
このような事態を避けるためには、夫婦でお互いに遺言書を作成することが重要です。先ほどの例だと、被相続人(故人である夫)の兄弟姉妹には遺留分がないので、遺言書に「全財産を妻に相続させる」と書いてあれば、無用なトラブルを防げました。ただし、遺言書の内容が曖昧だと逆に争いの種となるため、具体的かつ法的に有効な内容で作成することがポイントです。
遺言書を作成する際の実践ポイント
自筆証書遺言と公正証書遺言、どちらを選ぶ?
遺言書には自筆証書遺言と公正証書遺言の2種類があります。自筆証書遺言は、手軽に作成でき費用もかかりませんが、形式不備や紛失のリスクがあり、家庭裁判所での検認が必要です。一方、公正証書遺言は公証人が関与するため、法的効力が強く、改ざんの心配もありません。ただし、作成には費用と手間がかかります。自分の状況に応じて選ぶことが大切です。
たすき掛け遺言とは?
たすき掛け遺言とは、夫側が「全財産を妻に相続させる」と遺言書を書き、妻側が「夫に全財産を相続させる」と遺言書を書くのように、夫婦で相互に遺言書を書いておくことです。(夫婦連名の遺言書は無効です) これにより、夫と妻のどちらが先に亡くなっても二人で築いた財産は、兄弟姉妹に相続されることはありません。
遺言執行者の指定で手続きをスムーズに
遺言の内容を確実に実行するためには、遺言執行者の指定が重要です。遺言執行者は財産分配や名義変更などの手続きを代行するため、相続人の負担を軽減できます。特に、行政書士などの専門家を指定することで、公正かつスムーズに手続きが進みます。
遺言書の見直しと保管方法
遺言書は作成して終わりではなく、ライフステージの変化に応じて見直すことも重要です。結婚、離婚、相続人の変化などに対応するため、定期的な更新をおすすめします。また、自筆証書遺言は法務局での保管制度を利用することで、紛失や改ざんのリスクを防げます。検認も必要ありません。公正証書遺言は公証役場で保管されるため、安心です。
遺言書は「未来への贈り物」—今すぐ始める備え
遺言書は、自身の財産を適切に管理するための手段であるだけでなく、残された大切な人たちに「安心」という形の未来への贈り物となります。トラブルを未然に防ぎ、円満な相続を実現するためにも、行政書士などの専門家に相談して正しい遺言書を作成することが重要です。行政書士井戸規光生事務所では、相続診断士の資格を有する行政書士が、ご依頼者様一人ひとりの状況に合わせて、遺言書作成のサポートを行っております。ご依頼者さまの経済的状況を確認するだけでなく、心情に寄り添うことで、後悔のない遺言書作成につなげてまいります。初回相談は無料でございます。ぜひお気軽に、お電話(052-602-9061)、FAX(050-1545-5775)、お問い合わせフォーム、もしくはEメール ido.kimioアットマークofficeido からご相談ください。ご連絡お待ちしております。