遺言書に書くと逆効果!?遺言書に書かない方がいいこと

 遺言書は、残された家族のために大切な意思を伝える手段ですが、書き方を誤ると逆にトラブルの原因になりかねません。特に、感情的な表現や法的に無効な内容を含めてしまうと、相続人同士の争いを引き起こすこともあります。遺言書は財産を適切に分配するためのものですが、書くべきことと書かない方がよいことを見極めることが重要です。例えば、特定の相続人を批判する内容や、法的効力のない願望を書いてしまうと、家族の間に不信感が生まれる可能性があります。また、曖昧な表現や相続税対策に関する誤った記述は、かえって手続きの妨げになることもあります。では、具体的にどのようなことを書かない方がよいのか、遺言書における注意点を5つ紹介していきます。

特定の相続人を批判・非難する内容

相続人への不満や批判は家族の分断を招く

遺言書に特定の相続人への不満や批判を書くことは、家族の間に深刻なわだかまりを生む原因になります。遺言書は財産の分配を明確にし、円滑な相続を実現するためのものですが、感情的な記述が含まれていると、遺された家族が対立し、関係が悪化することも少なくありません。

「○○には遺産を渡さない」は危険

「○○には遺産を渡したくない」という表現は、相続人の感情を大きく傷つけるだけでなく、法的なトラブルの火種にもなります。特に、遺留分の権利を持つ相続人がいる場合、遺言書の内容に不満を抱いた相続人が遺留分侵害額請求を行い、相続争いに発展する可能性があります。感情的な言葉ではなく、冷静に財産の分配内容を記載することが重要です。

遺言書での「仕返し」はトラブルの元

過去の恨みや遺恨を晴らすような内容を遺言書に記載するのは避けるべきです。例えば、「○○は私を長年苦しめたので、一切相続させない」といった恨み言は、相続人同士の争いを激化させ、遺産分割協議が難航する要因となります。遺言書は、相続人同士の対立を深める場ではなく、財産を円滑に引き継ぐためのものだという視点を忘れずに、冷静かつ公正な記述を心がけましょう。

相続人廃除

しかしながら、相続人が自分に対し、虐待や重大な侮辱がある場合、や相続人に、その他の著しい非行がある場合は遺言書で「相続廃除」を行うことができます。 例えば「長男の●●は、私に対し暴行をしたため相続人から廃除する」と記すことで可能です。注意点として、①客観的証拠が必要であること②遺言執行者を定めていること③裁判所での手続きが必要になること④廃除された人に子どもがいた場合は代襲相続が発生すること などです。

法的に無効な指示

遺言書で「長男が結婚しない限り、遺産を相続できない」といった条件を付けることは、民法上認められない可能性があります。相続は法律によって定められた権利であり、特定の条件を満たさなければ相続できないとする指示は、法的に無効と判断されることが多いのです。

特定の相続人に税負担を押し付けること

「○○が相続税をすべて負担すること」といった指示も、法的拘束力を持ちません。相続税は、各相続人が取得した財産に応じて負担するものであり、一方的に特定の相続人に課すことは認められていません。

財産の処分を制限する指示

「実家を相続した者は売ってはならない」といった指示も、法的には無効です。相続した財産の処分は相続人の自由であり、遺言によって制限することはできません。遺言書を作成する際は、実行可能な内容にすることが重要です。

曖昧な表現や不明確な指示はトラブルのもと

「適切に分ける」は争いの原因になる

遺言書に「預貯金を兄弟で適当に分ける」「家は○○が使う」といった曖昧な表現を書くと、解釈の違いから相続人同士の争いを招く可能性があります。たとえば、「適切に」と書かれていても、ある相続人は均等に分けるべきだと考え、別の相続人は自分の取り分が多くてもよいと解釈するかもしれません。このような対立を防ぐためには、財産の具体的な額や、どの銀行口座の預金を誰が相続するのかを明確に記載することが重要です。

「任せる」「託す」などは意味が不明瞭

「この土地の管理は○○に任せる」「財産は△△に託す」といった表現も、法的には不明確です。「任せる」と書かれているだけでは、その財産を相続させるのか、単に管理を任せるだけなのかが判断できません。遺言書では、法定相続人には「相続させる」、法定相続人以外には「遺贈する」という明確な表現を使うことが必要です。曖昧な表現を避けることで、相続のトラブルを未然に防ぐことができます。

遺産の分割方法以外の個人的な願望

遺言書に「孫は医者になるべきだ」「長女は婿養子をとること」といった願望を書いても、それに法的な拘束力はありません。遺言書は財産の分配を決めるためのものであり、相続人の生き方や将来の選択に関する指示を強制することはできません。たとえ遺言書に記載しても、相続人には従う義務がないため、実際には意味を持たない内容になってしまいます。

家族への想いは「付言事項」で

遺言書で個人的な願望を伝えたい場合は、「付言事項」として書く方法もあります。付言事項は法的な効力は持ちませんが、遺族に想いを伝える手段として活用できます。また、手紙などで改めて感謝の気持ちや希望を伝えることで、相続人が故人の意志を尊重しやすくなります。家族の関係を大切にするためにも、遺言書の内容は冷静に判断することが大切です。

相続税対策に関する詳細な記述

遺言書に「この方法で相続税を節税すること」といった税務的な指示を書いても、法律が変わる可能性があるため、適切ではありません。税制は改正されることがあり、現在の制度を前提にした節税対策が、将来的には通用しなくなるケースもあります。遺言書に記載した節税策が実行できない場合、相続人が困ることになるかもしれません。

相続税対策は税理士と相談して遺言書に反映させる

遺言書で相続税対策をするなら、事前に税理士と相談し、有利な遺産の分割方法を聞いた上で、それに沿った内容を遺言書に記載することが望ましいです。たとえば、特定の財産を誰に相続させるかを慎重に決めたり、相続税の負担が偏らないように調整したりすることで、税負担を抑えることが可能です。

まとめ:冷静で実行可能な遺言書を

遺言書は、相続人にとってスムーズな遺産分割を進めるための重要な書類です。しかし、感情的な記述や法的に無効な内容を書いてしまうと、逆にトラブルを招く原因になります。特に、相続人間の争いを避けるためにも、分配内容は明確にし、不必要な情報は記載しないことが大切です。適切な遺言書を作成するために、専門家のアドバイスを受けることも検討しましょう。行政書士井戸規光生事務所では、相続診断士の資格も持つ行政書士が、遺言書の作成サポートをはじめ、相続に関するさまざまなご相談に対応しています。遺言者さまの意思に寄り添いながら、法的に有効で、相続人同士のトラブルを防ぐ遺言書を作成するために、最適なアドバイスを提供いたします。初回の無料相談を実施中です! お電話052-602-9061またはEメールido.kimioアットマークofficeido.com、お問い合わせフォームからご予約いただけます。あなたとご家族が、より充実した人生を送るためのお手伝いをさせていただきます。是非お気軽にご相談ください。

よかったらシェアしてください!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

2024年に「行政書士 井戸 規光生 事務所」を設立しました。
建設業、遺言・相続サポート業務に特化した名古屋市南部の地域密着型事務所です。
高校時代はラグビー部に所属。地元名古屋のスポーツチームを応援しています。