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人生の終盤は“現金多め”がお勧め スムーズな相続のカギとは?

相続の準備を考えるなら、資産の「中身」に目を向けることが大切です。特に、人生の終盤に差し掛かった今、不動産や株式といった換金に時間がかかる資産ばかりを保有していると、相続時に家族が困る可能性があります。なぜなら、遺産分割では「誰が何をどのくらい受け取るか」を具体的に決める必要があるため、柔軟に分けられる現預金の比率が低いと、相続人同士のトラブルに発展しかねないからです。また、相続税も現金一括納付が基本なので、円満な相続を実現するには、資産の内容を見直し、現金の割合を意識的に高めておくことが有効です。本記事では、相続を見据えて、資産の現預金比率を高めておく必要性と具体的な方法について、わかりやすく解説します。
なぜ現金比率を見直すべきなのか
相続を見据えた資産の見直しがカギ
相続の準備は、単に「遺言を書くこと」だけではありません。大切なのは、家族が引き継ぎやすい資産の形になっているかという視点です。いくら資産があっても、それが不動産や株式など、すぐに現金化できないものであれば、相続時にトラブルのもとになりかねません。
換金性の低い資産が引き起こす問題
不動産は分けにくく、株式はタイミングを選ばないと大きく価値が変動します。分けにくく・売りにくく・換金しにくい資産ばかりを残すと、相続人は悩み、揉める原因にもなります。
認知症リスクを見据えた資産管理
高齢化が進む中、「元気なうちに資産を整理すること」がより重要になっています。認知症になると、不動産の売却や名義変更も難しくなります。判断能力があるうちに現金比率を高めておくことが、安心につながります。
相続時に現金がないと、こんな問題が起きる
分けにくい不動産が、争いの火種に
相続財産の多くが不動産で占められていると、「誰がどの物件を相続するか」で意見が分かれ、話し合いが難航します。たとえ価値が同じでも、「住める家」と「貸家」では印象が異なり、不公平感が生じやすくなります。分けにくい財産があると、家族の関係まで複雑になるのが現実です。
納税資金が足りず、期限内に対応できない
相続税は、原則として現金での一括納付が求められます。預貯金が少ないと、相続人が自分の貯金を取り崩すか、借入を検討しなければならない場合もあります。延納や物納という方法もありますが、申請手続きや審査が厳しく、誰でも使えるものではありません。
「家を売るしかない」苦渋の選択
納税や遺産分割のために、不本意ながら家や土地を売却せざるを得ないケースも少なくありません。「先祖代々の土地を手放すことになるとは思わなかった」という声もよく聞かれます。大切な不動産を守るためにも、現金を残す選択が家族の安心につながるのです。
相続税は現金一括納付が原則
相続税は“10か月以内に現金で”が基本ルール
相続税の納付は、原則として相続開始を知った日の翌日から10か月以内に、現金で一括納付することが義務付けられています。この期限を過ぎると、延滞税や加算税が発生する可能性があり、手続きの遅れは大きな負担になります。
延納・物納は「特別な制度」誰でも使えるわけではない
納税資金が準備できない場合、「延納(分割払い)」や「物納(不動産などでの納付)」が制度として用意されていますが、これらは厳しい要件をクリアした場合にのみ認められる例外的な措置です。たとえば担保の提供や詳細な資産状況の申告が求められるなど、ハードルは高めです。
現金があるかないかで、家族の負担は大違い
相続税の納税資金として現預金を残しておくかどうかは、遺された家族にとって非常に大きな意味を持ちます。不動産ばかりを相続しても、すぐに売却できるとは限らず、「税金を払うために家を手放す」という本末転倒な事態にもなりかねません。事前に少しでも現金を残しておけば、思い出の詰まった家を手放すことなかったかもしれません。
どうやって“現金多め”にする?
不動産の一部を売却
資産の多くが不動産に偏っている場合は、一部を売却して現金化することも検討すべき選択肢です。使用していない土地や貸家を整理し、将来の納税や分割に備えておくことで、相続時のトラブルを大幅に減らすことができます。
生命保険を活用
生命保険を活用すれば、死亡保険金として現金を直接相続人に残すことができ、納税資金としても活用しやすいです。
今すぐできるチェックと準備
通帳の残高や不動産の評価額を把握し、現金と不動産のバランスを見直すことが第一歩です。金融機関や不動産会社との相談も有効です。また、現金化の方針を相続人と共有することで、思わぬ誤解や対立を避けられます。将来の安心のために、話し合いの時間を持つことが最も効果的な相続対策の一つです。
現金化の判断は、専門家に相談するのが安心
相続対策では、行政書士・税理士・ファイナンシャルプランナーがそれぞれ異なる立場からアドバイスを行います。行政書士は、家族関係や財産内容の整理、書類作成を支援し、税理士は相続税や不動産売却時の税務について対応します。ファイナンシャルプランナーは、資産全体のバランスや将来の生活設計を見据えた提案が得意です。
準備は早いほど、選択肢が広がる
相続対策は、元気なうちに始めることで、無理のない方法を選びやすくなります。体調や判断能力に左右されずに決められる今が、行動のチャンスです。資産の見直しは、一度にすべてを変える必要はありません。不動産の一部売却や保険の見直しなど、できることから段階的に進めることが大切です。
「分けやすい資産」への転換を
相続を円満に進めるためには、家族が分けやすい資産を残すことが大切です。そのためには、現預金という形での備えが、相続税納付の際にも大きな安心材料になります。さらに、現預金の準備は、自分自身の老後資金としても心強い支えになります。今はまだ先のことに思えても、「今だからこそできる準備」が必ずあります。思い立ったこの瞬間こそが、将来の不安を小さくする第一歩です。家族の未来のために、今こそ行動を始めてみましょう。行政書士井戸 規光生事務所では、相続診断士の資格も持つ行政書士が、相続を見据えた資産整理や、現預金比率の見直しに関するご相談を承っております。「何から始めればいいかわからない」という段階からでも大丈夫です。初回相談は30分無料でございます。お電話052-602-9061またはEメールido.kimioアットマークofficeido.com、お問い合わせフォームからお気軽にお問い合わせください。