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“話はつけてある”では済まない!遺言書が必要な理由とは?

「うちはもう、話はついてるから大丈夫」「預貯金くらいしかないし、わざわざ遺言書なんて…」。こうした言葉を耳にすることが少なくありません。けれども、たとえ家族間で話し合いができていたとしても、法的な根拠がなければ、その“約束”は効力を持ちません。いざ相続が発生したとき、「言った・言わない」の争いに発展するケースは決して珍しくないのです。本記事では、「話はつけてある」では済まされない理由と、なぜ今、遺言書を残すべきなのかについて、行政書士の視点からわかりやすく解説します。
「口約束は法的効力がない」
「うちはもう話がついているから大丈夫」と安心されている方も多いのですが、相続の場面において、家族間の口約束には法的な効力がありません。どれほど信頼関係があったとしても、書面が残されていなければ、その約束が守られる保証はないのです。実際に、被相続人が「長男に家を、次男には預貯金を」と口頭で話していたにもかかわらず、遺言書がなかったために、その通りにならなかったケースは少なくありません。家族だからこそ話し合いで決めたつもりが、証拠がないことで争いになる――それが相続の現実です。口約束だけで済ませるのではなく、きちんと遺言書という形で残すことが、平和な相続への第一歩となります。
実際にトラブルになったケース
生前に父親が「長女にはこれまで十分に援助してきたから、家は長男に継がせる」と繰り返し話しており、家族もなんとなく納得していました。しかし、父親は遺言書を作らないまま他界。その結果、法定相続に従えば、家も預貯金も長女と長男で2分の1ずつという形になります。長女が「父からはそう聞いていない」と主張し、長男は「約束だったのに」と譲らず、遺産分割協議は難航。最終的には調停にまで発展してしまいました。このように、口約束に基づく「話し合い」は、いざ相続となるとまったく通用しなくなることがあります。
相続財産が少なくても揉める理由
預貯金だけでも手続きは簡単ではない
「財産は預貯金だけだから相続は簡単」と思われがちですが、実際の手続きは意外と複雑です。銀行ごとに必要書類や手続きの流れが異なり、全相続人の戸籍や印鑑証明書、遺産分割協議書の提出が求められるため、ひとつひとつ揃えるだけでも大きな負担になります。遺言書さえあればこうした手続きや多くの提出書類を省くことができます。
少額だからこそ譲れない
「財産が少ないから揉めないだろう」と安心していた家庭ほど、実はトラブルになりやすい傾向があります。少ない財産だからこそ、「自分がもらうはずだった」という思いが強くなり、わずかな金額をめぐって感情的な対立が起こりやすいのです。財産の額にかかわらず、相続では「手続きの明確さ」と「納得感」が重要です。遺言書があれば、相続人同士の無用な争いを防ぐことができ、スムーズな手続きにもつながります。小さな相続こそ、事前の対策が必要です。
遺言書がもたらす安心と効果
手続きが格段にスムーズに
遺言書があることで、相続手続きは驚くほどスムーズに進みます。特に公正証書遺言がある場合、家庭裁判所の「検認」も不要となり、金融機関での手続きや不動産の名義変更も迅速に行えるようになります。遺言書がないと、相続人全員で遺産分割協議を行う必要があり、その調整や書類集めに多大な手間と時間がかかります。遺言書が明確に方針を示してくれていれば、相続人同士の負担やストレスを大幅に軽減できます。
最後の思いやりとしての遺言
遺言書は単なる財産の分け方の指示ではありません。遺された家族に「もめないでほしい」という気持ちを伝える、大切な“最後のメッセージ”でもあります。家族への思いやりとして、遺言書を残すことは大きな意味を持つのです。
今こそ遺言書を作るべき理由
「まだ元気だから」は理由にならない
「自分はまだ元気だから、遺言書なんて早い」と思われる方は多いかもしれません。しかし、元気な“今”だからこそ、冷静に内容を考え、きちんと書き残すことができるのです。判断力が低下してからでは、遺言の有効性が疑われるリスクもあります。仮に認知症になってしまったら、もう遺言書は作れません。予期せぬ病気や事故もある今の時代、備えは「少し早いかな」くらいがちょうど良いのです。
公正証書遺言という確実な方法
遺言書にはいくつか種類がありますが、もっとも確実でおすすめなのが「公正証書遺言」です。公証役場で作成されるため形式不備がなく、家庭裁判所での検認も不要。原本が公的に保管されるため、紛失や改ざんの心配もありません。専門家に相談しながら作成できるのも大きな安心材料です。
行政書士への相談で安心のサポート
遺言書を作るにあたって、「何を書けばよいかわからない」「誰に相談すればいいのか不安」という声をよく聞きます。そうしたときこそ、相続に強い行政書士に相談するのが効果的です。法的に有効な文案の作成支援はもちろん、ご家族の事情に応じた内容設計や、公証役場との連絡調整まで、きめ細かいサポートが受けられます。
まとめ:家族のため、今できることを
「うちは話がついているから大丈夫」と思っていても、いざ相続が発生したときに、その“つもり”が通じないことは珍しくありません。家族間の信頼関係があっても、正式な書き残しがなければ、解釈の違いや感情の行き違いからトラブルが生じてしまう可能性があります。だからこそ、「話はつけてある」ではなく、「きちんと書き残してある」ことが、残された家族にとっての最大の安心につながるのです。遺言書は、家族がもめないための“心の準備”であり、現実的な手続きの負担を軽くするためのツールでもあります。遺言書を残すという選択が、未来の平和を守る第一歩となります。行政書士井戸規光生事務所では、このような相続に関する不安や疑問に丁寧にお応えし、ご家族の事情に合わせた遺言書作成をしっかりとサポートしています。誰に相談したらいいのかわからない、何から始めればいいのか不安…そんな方こそ、まずは一度ご相談ください。当事務所では、初回30分の無料相談を行っております。お電話052-602-9061またはEメールido.kimioアットマークofficeido.com、お問い合わせフォームからどうぞお気軽にご利用ください。