相続不動産『共有』がトラブルのもと?共有相続について徹底解説

相続した不動産を、兄弟姉妹や親族で「共有」することは、よくある話です。公平に分けたつもりでも、時間がたつにつれて管理や売却をめぐる意見の対立が起きることがあります。共有名義のまま放置してしまえば、相続人が増え、持分がさらに細かく分かれ、問題が複雑化することも珍しくありません。最初は小さなすれ違いが、大きなトラブルに発展することもあるのです。本記事では、相続不動産の「共有」が生むリスクや注意点についてわかりやすく解説し、トラブルを防ぐための実践的な対策をご紹介します。大切な財産を守るために、ぜひ参考にしてください。

目次

相続不動産を共有するとは?基本知識を押さえよう

共有名義とは何か

共有名義とは、ひとつの不動産について、複数の人がそれぞれ一定の割合で所有権を持つ形態をいいます。それぞれが持分権を持ち、登記にもその割合が明記されます。一つの物件を複数人で管理し、利用し、処分する必要があるため、単独名義に比べて意思決定が複雑になりがちです。

相続で共有名義になる典型例

相続の場面では、被相続人(故人)の子である、兄弟姉妹で不動産を分けるケースが典型例です。現金のように簡単に分割できないため、不動産を法定相続分で持分化して共有することが多くあります。しかし、共有状態のまま時間が経つと、様々な問題が発生するリスクが高まります。

相続不動産を共有すると起きやすいトラブルとは

売却・活用に全員の同意が必要

不動産を売却したり、大規模なリフォームを行ったりする場合には、共有者全員の同意が必要です。一人でも反対する共有者がいれば、手続きは進みません。これが大きな足かせとなり、不動産の活用や売却が困難になることもあります。

管理費や固定資産税を巡る争い

共有不動産には固定資産税や修繕費などの負担が伴いますが、支払いの責任は持分割合に応じて生じます。誰か一人が支払を怠ると、他の共有者との間でトラブルに発展することも少なくありません。

相続が重なると権利関係が複雑化

共有者の一人に相続が発生すると、その持分がさらに複数の相続人に分かれ、権利関係は一層複雑になります。代を重ねるごとに共有者が増え、話し合いも難航しやすくなります。これはよくある勘違いなのですが、一つの不動産を兄Aと弟Bで共有していて、Aが先に死亡した場合、その持分は自動的に共有者Bに移転するわけではありません。Aの相続人がその持分を承継するため、Bは新たにAの相続人と共有関係を持つことになります。この誤解が、のちのち深刻なトラブルを招く原因になるのです。

実例でみる!共有名義トラブルのリアル

兄弟間の対立

共有名義で相続した兄弟間でも、売却のタイミングや価格に意見が食い違うことがあります。感情的な対立に発展し、結果として不動産の価値を下げてしまうこともあります。

持分細分化による売却困難事例

共有者の一人が亡くなり、その持分がさらに細分化されると、売却する際に全員の同意を得るハードルが上がります。特に、相続人同士の連絡が取れない場合や、利害対立がある場合には売却そのものができなくなることもあります。

共有者の失踪・認知症リスク

共有者の一人が失踪したり、認知症になった場合、不動産の売却や管理に大きな支障が出ます。成年後見制度の利用や、不在者財産管理人の選任など、手続きは非常に煩雑かつ時間がかかるものとなります。

共有名義を回避するためにできること

遺言書の活用

遺言書によって、特定の相続人に不動産を単独で相続させる指定をすることで、共有状態を回避できます。自筆証書遺言や公正証書遺言を活用し、意思を明確に残しておくことが重要です。

換価分割・代償分割の検討

換価分割とは不動産を売却して現金化し、その代金を相続人で分ける方法です。代償分割では、不動産を取得した人が他の相続人に代償金を支払います。いずれも、共有によるトラブルを未然に防ぐ有効な手段です。

やむを得ず共有にする場合の注意点

持分割合とルールを明確に

やむを得ず共有にする場合でも、各人の持分割合を正確に定め、登記に反映させましょう。また、不動産の使用方法や管理費用の負担割合についても取り決めておくことが望まれます。

共有者間の管理協定の締結を

共有者間で管理協定を締結しておけば、売却や管理に関する取り決めをあらかじめ定めておくことができます。これにより、後々のトラブルを防ぎやすくなり、不動産の適正な維持・活用が可能になります。

まとめ:トラブルを防ぐために、早めの対策を

相続した不動産を共有名義にすることは、当初は公平な分け方に見えるかもしれません。しかし、時間の経過とともに、共有者間の意見対立や、管理負担の不均衡、さらには持分の細分化による権利関係の複雑化といった問題が表面化してきます。一度トラブルが起きてしまうと、解決には多くの労力と費用を要することになりかねません。だからこそ、相続が発生した段階で、できる限り単独名義とするか、あるいは換価分割や代償分割を視野に入れた話し合いを進めることが大切です。やむを得ず共有にする場合であっても、管理ルールを明確に定め、将来のトラブルを未然に防ぐ工夫が必要です。大切な財産を守るためには、早めに対策を講じ、相続人全員で納得できる形を目指しましょう。行政書士井戸 規光生事務所では、相続にまつわるご相談を数多く承っております。不動産の共有名義のリスクを回避したい方や、すでに共有状態にある不動産について適切な対応を取りたい方へ、具体的なアドバイスと実務サポートをご提供しています。相続後に「こんなはずではなかった」と後悔しないためにも、専門家のサポートを早めにご活用ください。初回相談は30分無料ですので、お電話052-602-9061またはEメールido.kimioアットマークofficeido.com、お問い合わせフォームからお気軽にご相談ください。

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この記事を書いた人

2024年に「行政書士 井戸 規光生 事務所」を設立しました。
建設業、遺言・相続サポート業務に特化した名古屋市南部の地域密着型事務所です。
高校時代はラグビー部に所属。地元名古屋のスポーツチームを応援しています。

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