知っておきたい!建築一式工事と土木一式工事の許可でできること

建設業者の皆さんにとって、「建築一式工事」と「土木一式工事」でできる工事の範囲を正確に把握することは非常に重要です。具体的にどのような工事が可能なのか逆にどのような工事の時は業種の許可がなくてはいけないのか理解することで、業務の適切な範囲を守り、トラブルを未然に防ぐことができます。

本ブログでは、建築一式工事と土木一式工事の許可でできること、できないことについて詳しく解説します。ぜひ最後までお読みください。

一式工事の許可とは

「建築一式の許可さえがあれば、建物関係はどんな工事でも許可業者として契約をとって工事ができる」「土木一式さえあれば、土木関係の工事は全て、許可業者として契約をとって工事ができる」このように誤解している人がいます。しかし、この一式工事の許可さえあれば、どんな工事でも請け負えるわけではありません

建築一式工事は、ビル一棟の新築工事のような建物を建設する工事で、土木一式工事は、道路やダムなどのように土木工作物を建設する工事のことです。一式工事の許可を取得することで、大規模プロジェクトを包括的に管理・施工することができます。

「一式工事」の特徴

包括的な工事管理:一式工事の許可を持つことで、工事全体を総合的に管理し、実施することが可能です。

大規模プロジェクト対応:新築や大規模な改修工事など、複数の専門工事が組み合わさるプロジェクトに対応できます。「一式工事」の許可は、ダム全体や橋全体、ビル全体の総合的なマネジメントを行う工事業種のため、元請けとして工事を受ける場合に必要です。

「一式工事を下請けに出す」や「元請けから一式工事を受ける」といったことは一括下請けの禁止(建設業法第22条)にあたる可能性があるので、基本的に起こりません。

目次

専門工事 個別の許可の必要性

一式工事の許可があっても、全ての種類の工事を請け負うことはできません。電気、管、防水など、特定の専門工事を行うためには、追加の許可が必要です。以下に、具体的な例を挙げて説明します。

電気工事:電気設備の設置や修理、メンテナンスを行うには、電気工事業の許可が必要です。一式工事の許可で建物全体の施工管理はできても、電気配線や電気設備の専門作業は別途の許可が必要です。

管工事:水道管やガス管の設置、修理を行うには、管工事業の許可が必要です。建築一式工事の許可では、このような専門的な配管工事を直接請け負うことはできません。

たとえ、特定建設業許可、大臣許可、建築一式といった、取得難易度の高い許可を持っている会社でも、細分化された工事(例えば電気工事業)の許可がない状態で、税込み500万円以上の電気工事業を請け負うと建設業法違反です。

建築一式工事の許可がカバーする範囲

建築一式工事の許可がカバーするのは、主に以下のような工事です。

新築工事:建物の新築全般を管理し、施工します。

改築工事:既存の建物の構造を変更する大規模な改築を行います。

増築工事:既存の建物に新たな部分を増設する工事を行います。

改装工事:建物全体の内外装の改装を行います。

これらの工事は、複数の専門工事が組み合わさる場合が多く、建築一式工事の許可があることで総合的な管理が可能です。しかし、専門的な工事を直接行う場合には、その分野ごとの許可が必要です。

まとめ

建築一式工事の許可を取得することで、大規模な建築プロジェクトを包括的に管理し、施工することができます。しかし、この許可だけでは全ての専門工事を直接請け負うことはできません。電気工事や管工事、防水工事などの専門分野には、それぞれ専用の許可が必要です。事業を展開する際には、どの許可が必要かをしっかりと確認し、適切な許可を取得することが重要です。適切な許可を持つことで、法令遵守と高品質な施工を実現し、顧客からの信頼を得ることができます。

行政書士 井戸 規光生 事務所では建設業許可関連業務を中心に承っております。許可要件を満たしているかのご相談だけでなく、許可取得に必要な書類作成、書類集めを一括でお引き受けいたします。また、許可取得後に定期的に行わなければならない手続きに関するサポート、締め切り期日管理も承ります。

初回のご相談は無料ですので、電話やお問い合わせフォームから、ぜひお気軽にご相談ください。

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この記事を書いた人

2024年に「行政書士 井戸 規光生 事務所」を設立しました。
建設業、遺言・相続サポート業務に特化した名古屋市南部の地域密着型事務所です。
高校時代はラグビー部に所属。地元名古屋のスポーツチームを応援しています。

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